本31日(月曜日)17時45分から約45分間,野田佳彦総理大臣は,グエン・タン・ズン・ベトナム社会主義共和国首相(H.E. Mr. Nguyen Tan DUNG, Prime Minister of the Socialist Republic of Viet Nam)と首相官邸において会談したところ,概要は以下のとおりです(ベトナム側から,ヴー・ドゥック・ダム官房長官,ホアン商工大臣,ヴィン計画投資大臣,フエ財政大臣,タン交通運輸大臣,クアン科学技術大臣他が,日本側から,玄葉光一郎外務大臣,齋藤勁官房副長官,長浜博行官房副長官他が同席。)。
また,会談後,18時半から共同声明署名式および共同記者発表を行うとともに,18時45分から約1時間30分,野田総理夫妻主催晩餐会を行いました。
1.冒頭
野田総理から,ベトナムの洪水被害にお見舞いを述べるとともに,東日本大震災に際してのベトナムからの支援と励ましに対する謝意を表明しました。これに対しズン首相は,お見舞いに謝意を表明するとともに日本の復興を確信すると述べました。両首脳は,戦略的パートナーシップ対話をより推進し,ハイレベルの頻繁な往来や対話を維持し,信頼関係を強化していくことで一致しました。
2.経済協力
野田総理から,本日,計6件,約926億円の円借款に関する交換公文に署名する運びとなり喜ばしいと述べたのに対し,ズン首相は,これまでの日本からの支援と,2006年に自分(ズン首相)から協力を依頼した案件が実施に向け着実に進んでいることに謝意を表明し,東日本大震災にもかかわらずベトナムへのODAを強化していただいていることに感謝したい,日本からの支援は非常に有効に活用されており,ベトナムの経済・社会の発展に大きく貢献している,今後も引き続き日本からのODAの効果を高めたい旨述べました。
3.経済関係
経済関係について野田総理は,日本がベトナム輸出品への不当廉売関税及び相殺関税に係る特例措置の不適用を決定した旨伝達し,ズン首相はこれに謝意を表明しました。野田総理は,日本からの投資に対するベトナムの環境整備を要請しました。これに対し,ズン首相は,日本からの投資を歓迎する,ベトナムは日本からの投資が円滑に実施されるよう最大限配慮する旨述べました。
続いて,ズン首相は,我が国の高い原子力技術の活用について期待を表明しました。これに対し野田総理は,ベトナムの原子力発電所建設に関する協力パートナーとして,今回の東京電力福島第一原子力発電所事故の経験と教訓を共有しつつ,ベトナム政府の意向も踏まえて,高い水準の原子力安全が実現されるよう,ベトナム側と引き続き協力していく旨述べました。
両首脳は,レアアースの共同開発に関し,共同開発の早期実施に向け作業を加速させることで一致しました。また,ベトナムからの看護師・介護福祉士候補者受け入れに基本合意したことは大きな前進であり歓迎したいとしました。
4.その他
両首脳は,2013年は日本とベトナムとの外交関係樹立40周年であり,同年を日越友好年とすることで一致しました。また,両国が共通に関心を有する地域・国際問題について意見交換を行いました。特に,ズン首相から北朝鮮情勢について提起があり,野田総理から拉致問題を含めて我が国の考え方を説明し,両首脳は認識を共有しました。
5.共同声明署名式及び共同記者発表
両首脳は,「日ベトナム共同声明」に署名を行うとともに,対ベトナム円借款「ラックフェン港国際港建設計画」交換公文への署名に立ち会いました。署名式に引き続き行われた共同記者発表において,両首脳は,本日の会談内容とODA案件6件の交換公文署名など,日本とベトナムとの協力の進展を紹介しました。
6.晩餐会
晩餐会は,両首脳夫人や各界からの参加者も交え,和やかかつ親密な雰囲気の中で行われ,両首脳は改めて日ベトナム間の協力を確認しました。