本22日(火曜日)午後6時から約30分間,野田佳彦総理大臣は首相官邸において,実務訪問賓客として来日中のヌーリー・アル・マーリキー・イラク首相と会談するとともに,その後引き続き同首相を招いて夕食会を開催したところ,概要は以下のとおりです。なお,日本側から,齋藤内閣官房副長官,松下経済産業副大臣,長島総理補佐官ほか,イラク側から,ルアイビ石油大臣,アーミリー運輸大臣,カルブーリー農業鉱物大臣,アァラジー投資委員会委員長ほかが同席しました。
- 二国間関係
(1)総論
ア 冒頭,野田総理大臣から,東日本大震災に際するイラクからの支援への謝意を表明しました。また,イラクの民主化の進展を評価しつつ,イラクから米軍が撤退した後も,イラクが地域の安定勢力として発展することを期待する旨述べました。更に,日本がイラク復興支援を実施することで,イラクの発展に寄与してきたことに言及しつつ,両国のパートナーシップを新たな段階に引き上げたい旨述べました。
イ これに対し,マーリキー首相から,日本とのパートナーシップをあらゆる分野で強化するため訪日した旨述べ,債務削減,円借款,自衛隊の活動を含むこれまでの日本の多大な支援に感謝の意を表明しました。また,東日本大震災に際してのイラクからのお見舞いの意を改めて表明しました。
ウ 野田総理大臣から,マーリキー首相のリーダーシップの下,イラクの治安状況が改善していることを高く評価する旨述べつつ、イラクへ渡航・滞在する邦人の安全確保を求めたのに対し,マーリキー首相は万善を期すことを約束する旨述べました。
(2)経済関係
ア 野田総理大臣から,日本企業がイラク市場に積極的に参入し,イラクの復興に貢献することを期待する旨述べるとともに,貿易保険枠組取決めの署名及び投資協定の原則合意等,ビジネス環境整備での多くの成果を歓迎する旨述べました。これに対し,マーリキー首相から,イラクの治安は改善し,法整備も進んでいるとして,日本企業の進出拡大を求めました。
イ 双方は,エネルギー分野でも二国間協力を強化し,ガッラーフ油田,東バグダッド油田,ナーシリーヤ油田について協力と対話を促進することで一致しました。また,マーリキー首相より,緊急時の原油供給とLNGの安定的供給に関する申し出があり,野田総理大臣はこれに謝意を表明しました。
ウ 野田総理大臣から,インフラ構築支援として,保健,通信及び石油製油所に関する4案件に,約7.5億ドル(約670億円)の新たな円借款供与に必要な措置をとることとした,今回の日本の支援はこれまでの50億ドル支援の公約を達成し,新たな支援を行うものである旨述べたのに対し,マーリキー首相より,日本の支援はイラクのプロジェクトに大いに貢献するものであり,深く感謝する旨述べました。
エ 双方は,経済分野のみならず様々な分野での協力を強化していくため,2012年に開催する経済合同委員会においてフォローすることで一致しました。 - 地域情勢
野田総理大臣とマーリキー首相は,会談に引き続いての夕食会において,歴史的な変革期にある中東・北アフリカ情勢等について,率直な意見交換を行いました。また,夕食会では,日イラク両国が共にサッカー・ワールドカップ最終予選に進出したこと,イラクの文化資産保護などについてもなごやかな雰囲気の中で議論が行われました。