
野田佳彦総理大臣とマンモハン・シン首相による共同声明(骨子)
平成23年12月28日
~国交樹立60周年を迎える日インドの戦略的グローバル・パートナーシップ強化に向けたビジョン~
- 野田総理はインドを国賓訪問。2012年に国交樹立60周年を祝うにあたり,日本とインドは,普遍的価値並びに幅広い戦略的・経済的利益に基づき,深い相互理解と活発な人的交流を有することを再確認。平和と繁栄のため,「戦略的グローバル・パートナーシップ」を強化する必要を確認。東日本大震災へのお見舞い・支援に謝意。世界に開かれた復興に最大限の努力を払う決意を強調。
- 首脳・閣僚間・事務レベルでの対話・交流に満足の意を表明。閣僚級経済対話の早期実施を期待。日印米協議の立ち上げを歓迎。2012年の海上自衛隊とインド海軍での二国間演習を歓迎。
- 日インド包括的経済連携協定(CEPA)の発効を歓迎するとともに,経済関係の一層の深化を期待。社会保障協定の交渉開始を歓迎するとともに,早期妥結を指示。
- 「デリー高速輸送システム建設計画第3フェーズ」及び「西ベンガル州森林・生物多様性保全計画」の2011年度前期対インド円借款案件2件,総額1342.88億円の供与を約束。シン首相は謝意。
- 日本の支援による貨物専用鉄道建設計画(DFC)西回廊の早期実現を重視。可能な限り早期に事業の実施を開始するため,第2フェーズに関する作業を促進するため協力することを表明。
- デリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC)計画に関し,両首脳は90億ドルDMICファシリティの立ち上げを歓迎。野田総理は,インド側による1,750億ルピーの基金の立ち上げに留意し,日本からの今後5年間で総額45億米ドル規模の資金面での貢献の意図を表明。日本のファシリティの有効活用及び日本企業による投資促進のため,インドが金融面の規制緩和。成功モデル3案件の早期実現に向け努力加速を決定。
- ますます多くの日本企業が直接投資を行っているチェンナイ・バンガロール間の地域におけるインフラ整備の重要性を強調。同地域の包括的な統合マスタープラン作成に協力。
- インドの高速鉄道システム開発において,野田総理は,日本の技術・専門性の活用を希望。シン首相は,インド高速鉄道の開発促進に対する日本の関心を歓迎。
- 従前の二国間通貨スワップの取決めを30億米ドルから150億米ドルに拡充することを決定。
- これまでの日インド原子力協定交渉の進展を歓迎。原子力安全を含む関心事項に適切な考慮を払いつつ,交渉者に対し妥結に向けた一層の努力を指示。野田総理は,日本の立場を説明。
- レアアース及びレアメタルの重要性を認識し,両国企業によるこの分野での二国間協力の強化を決定。早期にレアアースの生産・輸出に関する活動を日インド企業が共同で行うことを決定。
- ハイテク貿易促進のための進展を歓迎。情報通信技術(ICT)分野等での業務提携強化等で一致。
- キャンパス整備を含むインド工科大学ハイデラバード校に対する協力拡大,日本の支援によるインド情報技術大学ジャバルプルの進捗,製造業経営幹部育成プログラム(VLFM)の進展を歓迎。
- 両国首脳はアジアの海洋国として,海洋に関する国際法諸原則等へのコミットメントを改めて確認するとともに,航行の安全及び自由を含む海上安全保障分野での協力拡大を確認。
- ナーランダ大学に関し,日本から学術交流や人材育成等具体的貢献の意図を表明し,インドは歓迎。
- 核兵器の全面的な廃絶に向けた両国のコミットメントを再確認。野田総理は,包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効の重要性を強調。シン首相は,一方的かつ自主的な核実験モラトリアムに対するインドのコミットメントを改めて表明。両首脳は,兵器用核分裂性物質の生産禁止条約(FMCT)の交渉即時開始及び早期締結に向けた協働を確認。
- 東アジア・サミット(EAS),アフリカ支援,アフガニスタン,テロ対策,気候変動,生物多様性,国連安保理改革,WTO,G20等における協力を確認。
- 野田総理はシン首相の年次首脳会談のための訪日を招待。シン首相は喜んで受諾。