総理大臣

野田総理夫妻のインド訪問(概要と評価)

平成23年12月29日

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  • (写真)日印首脳会談(写真提供: 内閣広報室)
    日印首脳会談
    (写真提供: 内閣広報室)
  • (写真)共同声明署名式(写真提供: 内閣広報室)
    共同声明署名式
    (写真提供: 内閣広報室)
  • (写真)クリシュナ外相の表敬(写真提供: 内閣広報室)
    クリシュナ外相の表敬
    (写真提供: 内閣広報室)

I.日程概要

  1. (1)野田佳彦総理は同夫人とともに,12月27日(火曜日)から29日(木曜日)にかけて,インドのデリーを国賓として訪問した。
  2. (2)主な日程として,28日午前に歓迎式典,ラージガート献花を行った後,クリシュナ外務大臣の表敬,インド世界問題評議会(ICWA)主催の講演(他のサイトヘ),インド経済三団体主催の昼食会に出席し,同日午後にはアンサリ副大統領との会談,シン首相との首脳会談,共同記者会見(他のサイトヘ)を行った後,シン首相夫妻主催夕食会に出席した。
  3. (3)日インド首脳会談では,政治・安全保障,経済をはじめとする二国間関係や,地域情勢・地球規模課題を含む幅広い分野での協力強化について意見交換を行い,会談後,「国交樹立60周年を迎える日インドの戦略的グローバル・パートナーシップ強化に向けたビジョン」と題する共同声明に署名を行った。

II.首脳会談概要

1.二国間関係

(1)総論
  1. (ア)野田総理から,東日本大震災に際してのインドからの多大な支援に改めて感謝の意を表明。シン首相から,日本の一日も早い日本の復興に対する期待が表明された。
  2. (イ)2012年に日インドで国交樹立60周年を迎える機会に国民レベルの相互理解を深めるために文化行事や人的交流を強化することで一致。
(2)政治・安全保障
  1. (ア)年次首脳会談の継続の重要性を確認するとともに,シン首相に2012年中の訪日を招請。シン首相は喜んで受諾。
  2. (イ)外相間戦略対話,防衛大臣間の会談が行われたことを評価。
  3. (ウ)航行の安全及び自由を含む海上安全保障分野での協力拡大を確認。2012年の海上自衛隊とインド海軍での二国間訓練実施の合意を歓迎。
(3)経済・経済協力
  1. (ア)本年8月の日インド包括的経済連携協定(CEPA)の発効や社会保障協定交渉の開始を歓迎。
  2. (イ)デリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC)については,日本は今後5年間で45億ドル規模の資金面での協力の実施を表明。本構想の実現に向け,日本企業の参加を促進していくことで一致。なお,インド側との間で,DMIC開発公社(DMICDC)への日本の関与,DMIC案件を促進するための金融規制緩和措置及びDMIC案件へのガスの割当,3モデル案件(グジャラート州ダヘジ地区海水淡水化事業,ラージャスタン州ニムラナ工業団地太陽光発電事業,マハラーシュトラ州ガス焚IPP発電事業)の早期実現等に合意した。
  3. (ウ)インド南部のインフラ整備,チェンナイ・バンガロール間の連結性向上,インドの高速鉄道構想に対し両国で協力を強化していくことで一致。
  4. (エ)デリー高速輸送システムを含む計2件,総額約17億ドル(約1,343億円)の円借款供与を決定。
  5. (オ)日インド間で通貨スワップ取決めに関し,従来の30億ドルから,150億ドルに拡充することで合意。
  6. (カ)原子力協力については,シン首相から,日本のセンシティビティはよく理解している旨述べ,両首脳間で,双方にとって満足のいく合意が得られるよう,協定交渉を進展させていくことで一致。
  7. (キ)レアアースについては,日本及びインドの企業間の共同事業の実施に向け協議を継続することで一致。

2.地域情勢・地球規模課題

  1. (1)北朝鮮に関し,野田総理から,北朝鮮情勢の安定が非常に重要であるとして,拉致問題を含め,インド政府の理解と協力を要請し,シン首相からは,日本と緊密に協力していきたい旨述べた。
  2. (2)アジアの地域情勢や,世界経済,気候変動,軍縮・不拡散,国連安保理改革等の地球規模課題についても意見交換を行い,両国で協力していくことを確認した。

III.評価

  1. (1) 日インド間では2006年に「戦略的グローバル・パートナーシップ」を構築して5年目となり,来年には国交樹立60周年の節目を迎えるが,今回の国賓としての訪問を通じて,内外に良好な二国間関係を印象づけ,また,両首脳間の信頼関係を更に強固なものとすることができた。
  2. (2) 二国間関係では,政治・安全保障面では,海上安全保障分野での協力を強化することで一致した他,経済面では,DMICに関する協力の進展,チェンナイ・バンガロールの連結性を含むインド南部のインフラ整備,二国間通貨スワップの拡充,デリー高速輸送システム他への円借款供与,レアアース共同事業など,多くの具体的な成果があった。
  3. (3)地域情勢・地球規模課題についても,アジアの様々な地域的課題や,世界経済,気候変動等の国際的課題に関して,両国間で引き続き協力を行っていくことを確認することができた。
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