本8日(木曜日)午後6時30分から約30分間,野田佳彦総理大臣は,首相官邸において,公式実務賓客として来日中のラウラ・チンチージャ・ミランダ・コスタリカ共和国大統領(H.E. Mrs. Laura Chinchilla Miranda, President of the Republic of Costa Rica)と会談するとともに,引き続き同大統領を招いて夕食会を開催したところ,概要は以下のとおりです。なお,日本側から,長濱内閣官房副長官,加藤外務大臣政務官,長島総理補佐官ほか,コスタリカ側から,カスティージョ外務大臣,ゴンサレス貿易大臣,クルス科学技術大臣ほかが同席しました。
- 二国間関係
(1)総論
ア 冒頭,野田総理大臣から,チンチージャ大統領の初の来日を歓迎するとともに,東日本大震災に際して,同大統領が自らツイッターで被災者のための赤十字への募金を呼びかけたことをはじめ,コスタリカからのお見舞いに謝意を表明しました。また,日本とコスタリカが伝統的に良好な友好協力関係を維持していることを強調しつつ,環境,平和,人権は両国が共に重視する分野であり,チンチージャ大統領の政権下でも二国間の関係をさらに深化させたい旨述べました。
イ これに対し,チンチージャ大統領は,今回の訪日招待に感謝の意を表明するとともに,今回の訪日を通じ,共通の価値を持つ日本との関係を一層緊密にしたい,初めて訪問するアジアの国が日本であることは光栄であると述べました。
(2)経済協力
ア 野田総理大臣から,日本はコスタリカとの経済協力において環境分野を重視しており,日本の協力が同国の発展に役立つことを期待する旨述べました。さらに,コスタリカ政府が昨年5月に中米で初めて地上デジタル放送日本方式を採用したことに謝意を表明しつつ,同方式の円滑な導入を支援するため,専門家の派遣を決定した旨述べました。
イ これに対し,チンチージャ大統領は,両国が重視する環境分野における日本の支援に謝意を表明するとともに,再生エネルギー及び生物多様性の分野においても日本と協力していきたい旨述べました。また,地上デジタル放送の導入にかかる日本の支援に感謝の意を表し,中米地域における同方式の普及に協力していきたい旨述べました。
(3)経済関係
ア 野田総理大臣から,チンチージャ大統領がアジア太平洋諸国との経済関係拡大に高い関心を示していることに言及し,来年日本で開催される予定のアジア中南米環境ビジネス・ハイレベル会合にコスタリカから政府高官を招待したいとの意を表明したのに対し,チンチージャ大統領は,招待に感謝すると述べるとともに,コスタリカはアジア太平洋地域との経済関係を重視しており,APEC加盟への希望を有している旨,及びTPPにも注視している旨述べました。また,チンチージャ大統領は他のアジア諸国とのFTAも進めているところ,日本とのEPA交渉開始に対する関心を表明しました。
イ さらに,チンチージャ大統領は,中南米地域を中心とした麻薬問題を含む国際犯罪への懸念にも言及しました。 - 国際場裡における協力
両首脳は,気候変動,安保理改革を含む国際場裡における協力についても意見交換を行い,種々の地球規模課題への取組において連携を深めていくことを確認しました。
また,両首脳は,午後7時05分から,首相官邸内において共同記者発表を行い,本日の会談の意義と内容について紹介しました。引き続いての夕食会では,再生可能エネルギー,経済関係の強化などについてさらに率直な意見交換を行うとともに,和やかな雰囲気の中,宇宙開発や女性の社会進出などにも話題が及びました。