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日中首脳会談(概要)
平成23年12月25日
![(写真)日中首脳会談-1(写真提供:内閣広報室)](images/pm_meeting_1112_01.jpg)
(写真提供:内閣広報室)
![(写真)日中首脳会談-2(写真提供:内閣広報室)](images/pm_meeting_1112_02.jpg)
(写真提供:内閣広報室)
25日(日曜日),中国・北京を訪問中の野田総理大臣は,人民大会堂において,16時30分(日本時間17時30分)から温家宝総理と共に歓迎式典に臨み,その後,16時40分(同17時30分)から約1時間20分,温総理との間で日中首脳会談を行ったところ,概要は以下のとおり。このうち,冒頭10分程度を少人数会合(日本側:齋藤官房副長官,中国側:楊潔チ・外交部長同席),残りの時間で全体会合(日本側:齋藤官房副長官,丹羽駐中国大使,筒井農水副大臣,山口外務副大臣,長島総理補佐官他,中国側:楊潔チ・外交部長,張平・国家発展改革委員会主任,陳徳銘・商務部長,程永華・駐日中国大使他同席)を行った。また,会談終了後,青少年交流及び日中省エネ・環境ファンドの2件についての署名式が,両国首脳立会いの下行われた。その後,温家宝総理主催歓迎宴が18時15分(同19時15分)頃から約1時間開かれた。
1 日中関係
野田総理から,以下の「日中国交正常化40周年に際する日中『戦略的互恵関係』の一層の深化に向けた6つのイニシアティブ」(ファクトシート(PDF)
)を表明したところ,本件イニシアティブの各項目の下での議論の概要は以下のとおり。
(1)イニシアティブ1:政治的相互信頼の増進
- (ア)双方は,日中関係に関し,日中両国が協力のパートナーとして,地域・グローバルな課題に共に取り組むことが益々重要であり,日中間の4つの基本文書を踏まえ,日中「戦略的互恵関係」をしっかりと発展させていくことが重要との基本的な認識で一致した。この中で,野田総理から,中国の発展は日本を含む国際社会にとってチャンスであると改めて強調した。
- (イ)双方は,政治的相互信頼の増進が日中関係発展の基礎であるとの共通認識の下,40周年である来年は,ハイレベル交流をこれまで以上に活発に行うことで一致した。具体的には,来年の中国首脳の来日,中国で行われる日中韓サミットへの野田総理の出席,日中ハイレベル経済対話の早期開催などの実現に向けて調整することで一致した。また,安全保障分野での交流等についても一致した。
- (ウ)以上に引き続き,北朝鮮情勢について議論を行った。なお,北朝鮮情勢については,この部分のほぼ冒頭でのやりとりに加え,下記(6)でも議論を行ったところ,それらをとりまとめて整理すればやりとりの概要は下記2を参照。
(2)イニシアティブ2:東シナ海を「平和・協力・友好の海」とするための協力の推進
- (ア)双方は,「日中高級事務レベル海洋協議」の立上げに合意し,また,日中海上捜索・救助(SAR)協定が今般原則合意に至ったことを確認した。
- (イ)野田総理から,東シナ海資源開発に関する国際約束締結交渉の早期再開を改めて強く要請した。これに対し,温総理から,2008年の東シナ海資源開発に関する両国間の合意を履行すべく,双方の意思疎通を更に進め,共に努力したい旨発言があった。
(3)イニシアティブ3:東日本大震災を契機とした日中協力の推進
- (ア)双方は,震災を契機とした協力を引き続き推進していくことで一致した。この中で,野田総理から,来年2月に北京で開催される「元気な日本」展示会兼40周年開幕式に,日本から直嶋正行・元経済産業大臣を総理特使として派遣する旨紹介した。
- (イ)日本産食品等に対する中国の輸入規制措置について,野田総理から,改めて,一層の規制緩和及び早期の規制解除を強く要請した。これに対し,温総理から,科学的レビュー及び国民の安全を確保するとの観点から,関連の措置を引き続き検討していきたい旨述べた。
- (ウ)野田総理から,福島第一原発について冷温停止状態を達成した旨述べた上で,中国政府による福島等の重度被災地への渡航自粛措置の緩和,早期解除を要請した。温総理から,科学的レビューをした上で真剣に検討したい旨述べた。
(4)イニシアティブ4:互恵的経済関係のグレードアップ
- (ア)双方は,日中間で経済に関する幅広い分野での協力を更に進め,互恵的経済関係をグレードアップすることで一致した。
-
(イ)双方は,拡大する日中経済関係を金融面から後押しするため,(1)日中間の貿易等での両国通貨の利用促進,(2)円・元直接交換市場の発展支援,(3)両国通貨建て債券市場の発展支援,(4)海外市場での両国通貨建て金融商品サービスの発展慫慂,(5)協力促進のための合同作業部会の設置,の5点について合意した(ファクト・シート)。
- (ウ)双方は,省エネ・環境分野において,日中省エネ・環境総合フォーラムや今回設立されることになった日中省エネ・環境ファンドなども活用し,一層協力を推進していくことで一致した。この中で,双方は,日中協力の象徴的案件として,曹妃甸及び連雲港での大規模プロジェクトでの協力を各々の状況に応じ適切な形で協力を進めていくことで一致した。
- (エ)双方は,オープンスカイの早期実現,羽田-上海虹橋,羽田-北京の増便について,関係部門間で意思疎通を図っていくことで一致した。
- (オ)双方は,日中韓投資協定の早期の実質合意,それを踏まえて来年早い時期に日中韓FTAの交渉開始を目指すことで一致した。
- (カ)双方は,日中社会保障協定に関し,早期の締結を目指し,協議の加速化で一致した。この中で,野田総理から,中国における社会保険料の徴収が日本企業により急激な環境変化とならないよう配慮を要請した。
- (キ)野田総理から,北京到着後に日本産食品常設展示館に立ち寄ったことに触れつつ,コメなどの日本産農林水産物・食品の輸出促進について協力を要請した。
- (ク)その他,双方は,観光,知的財産権保護などの分野でも協力を推進していくことで一致した。また,野田総理から,レアアースの安定供給,金融規制緩和などについても中国側の協力を要請した。
(5)イニシアティブ5:両国国民間の相互理解の増進
- (ア)双方は,日中国交正常化40周年である来年を「日中国民交流友好年~新たな出会い,心の絆~」として,全面的な国民間交流を推進することで一致した。
- (イ)双方は,来年,日中双方で合わせて5000名規模の青少年交流を実施することで合意した。また,野田総理から,「キャンパス・アジア」構想の下で学生交流を一層促進したい旨述べた。
- (ウ)野田総理から,トキやパンダといった国民の心を明るくする分野での協力を推進したい,特に,パンダについて,被災地の期待も高く,協力をお願いしたい旨述べた。これに対し,温総理から,被災地の子どもたち等から手紙を頂いている旨言及した上で,トキ及びパンダの日本側への提供に向け,積極的に検討していきたい旨述べた。
(6)イニシアティブ6:地域・グローバルな課題に関する対話・協力の強化
- (ア)双方は,世界の主要国として,地域・グローバルな課題に関する対話及び協力を強化していくことで一致した。
- (イ)地域の経済連携に関し,野田総理から,アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向け,TPPのみならず,日中韓やASEANを含んだ経済連携の枠組み作りにもしっかりと取り組んでいく,中国とも協力していきたい旨述べた。これに対し,温総理から,東アジアの経済的な一体化の促進を,日中両国が共に進めていきたい旨述べた。
2 北朝鮮
(注:冒頭1(1)(ウ)のとおり,北朝鮮情勢については,上記1(1)政治的相互信頼の増進の部分,及び1(6)地域・グローバルな課題に関する対話・協力の部分でやりとりが行われた。)
- (1)双方は,金正日国防委員長の死去という新たな事態の下,朝鮮半島の平和と安定の確保は日中両国の共通利益であり,緊密に意思疎通を行い,冷静かつ適切にこの事態に対応していくことが重要との点で一致した。
- (2)野田総理から,概要以下のとおり述べた。
- (ア)金正日国防委員長の死去が朝鮮半島の平和と安定に悪影響を与えないことが重要である。この事態の下,中国の役割は極めて重要である。
- (イ)日本としても,今回の事態に対して積極的な努力を行っている。日中間で緊密に情報を共有・協力して今回の事態に冷静かつ適切に対応したい。
- (ウ)2002年の日朝平壌宣言に基づき,拉致・核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し,不幸な過去を清算して国交正常化を図るとの日本の基本的方針は不変である。
- (エ)六者会合における取組に関連して,今般の事態に関係国が連携して対応することで,いずれ核問題等の解決につなげていく環境を作ることが重要であり,そのために協力したい。
- (オ)拉致問題は日本にとって最重要課題の1つである。拉致問題の解決に向けて中国の理解と協力を改めて要請する。今回の新たな事態は,拉致被害者家族にも不安と期待をもって受け止められている。日本は北朝鮮に公館を置いておらず,拉致被害者を含む邦人の安全の観点から,中国の協力を要請する。また,今回の事態を,拉致問題をめぐる膠着状態を打開するチャンスにできるのではないか,という思いもある。北朝鮮の新しい指導部に対して,日朝関係を進めるためには拉致問題での前進が不可欠であるということを伝達して頂きたい。
- (3)温総理から,概要以下のとおり述べた。
- (ア)金正日国防委員長の死去を受けた情勢に注目している。朝鮮半島の平和と安定の維持は関係国の共通の利益に合致するものであり,関係国が冷静さを維持しながら引き続き努力することにより,六者会合を再開して対話と協力を通じて諸問題の解決と非核化を実現するとともに,朝鮮半島をめぐる情勢の長期的安定を図りたい。
- (イ)また,日朝関係についてはその改善を支持しており,中国側としても,日朝双方の対話と協議を通じて拉致問題を含む関連の問題が適切に解決されることを望む旨述べた。
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