野田総理は,現地時間6月18日13時10分から約30分間,G20首脳会合に出席するために訪問中のメキシコのロス・カボスにおいて,プーチン・ロシア大統領との間で日露首脳会談を行った。両首脳による初めての会談であったが,会談は打ち解けた雰囲気の中で行われた。
1 日露関係一般
両首脳は,アジア太平洋地域の戦略環境が大きく変化しているとの認識の下,この地域の安定と繁栄に貢献するため,日露間の取組を強化することで一致した。特に,安全保障・防衛分野における協力,海をめぐる協力を進めていく重要性を確認した。
2 領土問題
両首脳は,領土問題に関する交渉を再活性化することで一致し,静かな環境の下で実質的な議論を進めていくよう,それぞれの外交当局に指示することとした。そして,領土問題を含め幅広い分野で両国関係の進展につき議論するため,できる限り今夏にでも玄葉大臣をモスクワに派遣することで調整することとなった。
3 経済
両首脳は,両国の経済関係の一層の発展が日露双方の利益となるとの基本的認識を改めて確認した。また,エネルギーを始めとする経済分野での協力を互恵の原則に従って進めていくために自ら積極的に関与していくことで一致した。
野田総理から,ウラジオストクLNGプロジェクトの実現やサハリン3プロジェクトへの日本企業の参画など,具体的な進展を期待している旨述べた。
プーチン大統領から,最近,日本からの投資案件は増加しているが,日露経済の潜在力に比べれば日露間の貿易額はまだ低いとして,更なる発展への期待の表明があった。
4 人的・文化交流
両首脳は,両国関係の一層の発展のためには,あらゆるレベルでの交流を活性化し,相互理解を深めることが必要であるとの認識で一致し,国民レベル,議員レベルでの交流,文化面での交流を深化させていくことを確認した。
特に,野田総理からは,草の根レベルの支援や交流の事例として,震災後に石巻で救助活動を行ったロシア救助隊員のお嬢さん,アンナ・メリニコヴァちゃん(1歳)が日本で白血病の治療を受けていること,東北地方の人々の感謝の気持ちとして,秋田県からプーチン大統領に秋田犬の寄贈がなされる予定であることの紹介があった。
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