小泉総理大臣

小泉総理訪韓の概要
(6月20日・21日、於:ソウル)

平成17年6月20日

 6月20日、訪韓中の小泉総理は、青瓦台内の常春斎において、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領との間で約2時間にわたり日韓首脳会談が行うとともに、約1時間45分にわたり大統領主催晩餐会に出席したところ、概要とりまとめは以下のとおり。

1.日韓関係

(1)両首脳の冒頭発言

(イ)盧武鉉大統領より、日韓関係が困難な時期にあるときにお出で頂いたが、こういう時ほど、お互いの意見を聞き、率直な対話を行う必要がある旨述べたのに対し、小泉総理より、意見の相違や対立はあっても、日韓の友好関係を発展させるべく、実りある会談となるよう、率直に意見交換を行いたい旨応じた。

(ロ)小泉総理より、両国のサッカー・ワールドカップ・ドイツ大会への出場決定を喜ばしく思う、2002年の共催と成功は日韓新時代の到来を告げるものであった、この未来志向の流れを大事にしたい旨述べた。

(2)歴史問題(総論)

(イ)盧大統領より、北東アジアでの平和と共存の秩序構築のためには、日韓両国間の信頼が何よりも重要であり、日本が過去の不幸な歴史を反省し、そのような歴史が繰り返されないという確信を行動で示すことこそが両国間の信頼の基礎となる、日本の要人により信頼を崩すような言動が繰り返されてはならない旨述べた。

(ロ)これに対し、小泉総理より、本年2月下旬以降に日韓関係が辿った経緯には心を痛めている、韓国国民の過去を巡る心情は重く受け止めており、両国間の過去の問題への姿勢を実践で示すとともに、一時期の意見の相違があっても、大局的見地から両国関係を元の軌道へ戻し、未来志向で前に進めたい旨述べた。

(ハ)さらに、小泉総理より、我が国が戦後60年間一貫して、強固な民主主義に支えられた「平和国家」として、専守防衛に徹し、国際紛争を助長せず、国際平和と安定に最大限寄与する国である旨説明した。これに対し、盧大統領より、戦後の日本の歩みについては十分に理解しているとする一方で、歴史の問題を巡って信頼関係を回復するための日本側の努力が重要である旨指摘した。

(ニ)盧大統領より、現状では、良い関係が進展しても、一時の感情の高まりで、それが損なわれてしまう旨述べた。これに対し、小泉総理より、一部に国民感情の対立を煽る向きもあるが、それに指導者は乗ってはいけないと思う旨述べた。

2.新たな追悼・平和祈念施設、靖国問題

(1)盧大統領から、新たな追悼・平和祈念施設につき、その検討状況について提起したのに対し、小泉総理は、日本国民の世論等、諸般の事情を考慮して検討していくとした。(首脳レベルで合意を確認。)

(2)靖国神社の問題につき、大統領からその問題が日韓間の歴史問題の核心である旨述べた。小泉総理より、靖国神社を参拝するのは、決して戦争を美化したり、正当化して参拝しているのではない、心ならずも戦場に赴いた戦没者たちの追悼のために参拝している、もう二度と戦争を繰り返してはならないという不戦の誓いから参拝している旨述べ、その関連で昨日の硫黄島訪問の際に、そうした誓いを新たにした旨述べた。

3.日韓歴史共同研究

 両首脳は、第二期歴史共同研究委員会を発足させ、その下に「教科書小グループ」を設置すること、共同研究の成果については、広く周知させ、共通の認識に達した部分について、教科書編集の過程で参考とするよう、各々の教科書制度の枠内において努力することにつき合意した。

4.過去に起因する問題

(1)小泉総理より、(イ)朝鮮半島出身者の遺骨の調査・返還、(ロ)在サハリン韓国人や(ハ)在韓被爆者に対する支援等の過去に起因する問題への対応を人道的観点から可能な限り進めるとの方針を説明した。

(2)これに対し、盧大統領より、日本側の対応を評価するとした上で、更なる進展を期待する旨述べた。

5.日韓FTA

 小泉総理より、日本のASEAN各国との経済連携協定の状況も説明の上、日韓FTA交渉の再開に向け、双方が知恵を出し、交渉を進めるべく協議させたい、交渉を早急に再開することが大事である、高いレベルの交渉が重要である旨伝えたのに対し、盧大統領より、韓国の状況を説明しつつ、検討するとの回答があった。

6.交流の拡大

(1)小泉総理より、交流の更なる拡大の重要性を強調した上で、次世代を担う各界各層の人材の交流の積極的推進、青少年・スポーツ交流や教員交流の活性化、また、日韓サッカー親善大使の任命につき述べた。

(2)小泉総理より、「日韓友情年」についても、今後本格化する主要行事を官民を挙げて盛り上げていきたい旨述べた。

(3)これに対し、盧大統領は、日韓間で協力していきたい旨述べた。

7.羽田-金浦航空便の増便

 小泉総理より、羽田・金浦航空便を8月1日から現行の1日4便から1日8便へ増便する旨表明したのに対し、盧大統領は、これを歓迎する旨述べた。

8.北朝鮮

(1)盧大統領より、先般の鄭統一部長官他の訪朝を中心として核問題や南北交流の状況につき説明がなされた。

(2)両首脳は、六者会合が核問題の平和的解決のための最善の枠組みであり、会合の早期再開に向け協力していくとともに、日韓米の結束が重要である旨再確認した。小泉総理からは、六者協議の再開に向けて日米韓が連携していく重要性を改めて強調のうえ、拉致問題に言及し、引き続き韓国側の理解と支持を求めた。

9.ITER

 小泉総理より、韓国の協力に感謝する旨述べ、六極で協力を進めていく点で意見の一致をみた。

10.シャトル首脳会談

 両首脳は、次回首脳会談を本年中に日本で行うことで一致した。

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