平成18年7月16日
7月15日18時過ぎ(現地時間)より約40分、G8首脳会合に出席するためサンクトペテルブルクを訪問中の小泉総理は、プーチン大統領と会談を行ったところ、概要以下のとおり。
(イ)両首脳は、2003年1月に小泉総理とプーチン大統領が共に作成した「日露行動計画」に基づき、これまで幅広い分野での互恵的協力が具体化されつつあり、貿易高の倍増、日本企業のロシア市場進出、エネルギーや防衛・治安分野での協力といった進展が達成できたとの点で評価が一致した。
(ロ)ハイレベルの政治対話、議会間交流の活性化について認識が一致した。
(イ)小泉総理より、これまでの諸合意及び諸文書に基づき、四島の帰属の問題を解決し、平和条約を早期に締結するため、引き続き真剣な努力を継続することが両国政府の責務であり、交渉を活発化させるため、両国外務大臣他に指示を出そうと述べた。
(ロ)この関連で、両首脳は、平和条約問題の解決に向けた環境整備を進める観点から、北方四島を含む隣接地域において、日露両国が共同で地震・津波対策等、防災分野で協力することについて協議していくことで一致し、今後、両国間で、地震・津波対策のためのネットワーク構築等の防災協力の実現に向けた具体的な作業を加速することとなった。
(ハ)プーチン大統領は、自分も領土問題を解決して平和条約を結びたいと考えている、環境整備の重要性も理解している、これらに関して、両国間の協議を活性化させたい、自分からも協議を活性化させるよう担当者に指示する、引き続きあらゆる分野における関係の全面的発展のために努力していきたいと述べた。
(ニ)また、四島交流、自由訪問及び墓参について、高齢化する元島民の負担軽減の観点から、引き続き改善していくことで両首脳の認識が一致した。
両首脳は、エネルギー分野における互恵的協力を発展させていくことで合意し、特に、太平洋パイプラインについて、早期に実現するべく日露両国で協力していくことで認識が一致した。
(注:首脳会談で詳細なやりとりはなかったが、発表することで合意されていたもの)
(イ)極東・シベリアの森林保全
地球温暖化対策等の観点から、極東・シベリアの森林保全について日露両国で協力していくことで一致し、「極東・シベリア森林保全作業部会」を設置することで合意した。
(ロ)漁業
我が国漁船による安定的かつ円滑な操業の実施のため協力していくことで合意した。
(ハ)ロシア船舶による水産物の密漁・密輸出問題
ロシア船舶による水産物の密漁・密輸出に対する取締りを強化するため、日露両国間で緊密に情報交換等の協力を強化することで一致した。
(ニ)人的交流の拡大
日露間の人的交流の拡大のために引き続き努力していくことが確認された。この関連で、日露関係の将来を担う青年の交流を一層深める観点から、本年夏にモスクワにおいて、両国の学生が参加する「日露学生フォーラム」を開催することで一致した。また、査証簡素化を早期に実現することで一致した。
(1)小泉総理より、7月5日の北朝鮮による弾道ミサイル発射に関し、国際社会全体として毅然として厳しい対応をとることが不可欠であるとして、北朝鮮のミサイル発射を明確に非難し、各国に然るべき行動を求める国際社会の確固たる意思を示す国連安保理決議の採択に向け、ロシアの協力を要請した。また、G8としても、北朝鮮に断固たるメッセージを発出することが不可欠であるとして、議長国たるロシアの協力に期待する旨働きかけた。さらに、拉致問題について、小泉総理より、この問題は、人権に対する重大な侵害であり、国際的な広がりを持つ問題であると指摘した。
(2)これに対し、プーチン大統領より、これらの問題に関する日本の懸念と不安には十分な根拠があり理解している、安保理決議については、受入可能な文言の調整を行っており、国連の場でも協議していきたいと述べた。
(3)両首脳は、北朝鮮が六者会合の場に戻ってくることが極めて重要との認識で一致した。