
アジア・アフリカ首脳会議の際の日中首脳会談
(概要)
平成17年4月23日
23日夜、アジア・アフリカ首脳会議出席のためインドネシア(ジャカルタ)訪問中の小泉内閣総理大臣は胡錦濤中国国家主席との間で、約50分にわたりムリア・ホテルにおいて日中首脳会談を行ったところ、概要以下のとおり。(日本側:杉浦内閣官房副長官、田中外務審議官、佐々江アジア大洋州局長他、中国側:李肇星外交部長、崔天凱外交部アジア司長他同席)
1. 冒頭
胡主席
- 今次会談を契機に日中関係を健全かつ安定的な発展の軌道に乗せることを推し進めたい。
小泉総理
- 今次会談において、日中友好関係が両国のみならずアジア・世界にとって極めて重要であることを確認し、今次会談を通じ、日中間の友好協力関係を強化発展させたい。
2. 日中関係全般
(1)総論
胡主席
- 中国と日本はアジアと世界に重要な影響力がある国であり、両国関係が良好でないと日中双方に有利ではないし、アジアの安定的発展にも影響がある。
- 中国政府は一貫して日中関係を重視し、友好協力関係の方針を堅持している。21世紀に向けて両国関係を更に発展させることは、日中両国の国民全体が願っていることであることを確信している。
- 当面、日中関係には困難があるが、中国側として友好協力関係を発展させる方針に変化はない。中国は平和共存、子々孫々の友好、経済互恵、共同発展の堅持を望んでいる。我々は中国の発展は脅威ではなくチャンスであるとの小泉総理のお考えを積極的に評価している。また、最近日中関係について大局的見地に立ち、友好発展の重要性を主張しておられることに留意している。
- 率直に話したい。日中関係において、(1)3つの政治文書の重視、(2)歴史を鑑とし未来へ向かう、(3)台湾問題の適切な処理、(4)対話を通じた問題解決、(5)幅広い分野の交流、協力の拡大の5点が重要である。
小泉総理
- 中国においては反日感情、日本においては嫌中感情をもつ向きも一部にあるが、責任ある指導者としては、これらに影響されることなく、日中友好の大局に基づいて関係を発展させていくべきである。
- 日中関係を発展させるに当たって、貴国家主席の提起された5つの点に配慮していきたい。お互いの認識を本日の首脳会談で共有できたことを大変うれしく思う。
(2)中国におけるデモ活動
小泉総理
- 中国における日本大使館、総領事館、日本企業・日本人の活動について適切な対応を執ってほしい。(これに対し、胡主席は首肯。)
(3)「日中共同作業計画」
胡主席
- 最近日本側より提案のあった「共同作業計画」について、両国の関係部門で更に協議していきたい。
小泉総理
- 共同作業計画については、お互いにこれから真剣に検討し、両国関係の発展につなげていきたい。
(4)アジア・アフリカ諸国との関係
小泉総理
- アジア・アフリカ諸国の発展のためにも日中友好が如何に大切か、アジア・アフリカ諸国、国際社会も理解していると思う。
胡主席
3. 日中関係各論
(1)歴史認識
胡主席
- (靖国神社参拝、歴史認識ついて言及した上で)これらについて一々討論する気はない。歴史を正しく認識し、対処する為に、反省を実際の行動にうつして欲しい。厳粛かつ慎重な態度で歴史問題を処理して欲しい。
小泉総理
- お互いに反発の感情があるが、過去の非をあげつらうのではなく、未来に向かって如何に友好関係を発展させるかということが大切であると理解している。歴史を鑑とし、未来の友好を考えていきたい。
(2)台湾
胡主席
- 台湾問題は、中国の核となる利益に関わっており、13億の国民の感情にかかわるもの。中国の原則的立場を是非考慮してほしい。
小泉総理
- 三つの文書に基づいて今後の友好関係の発展を考えることについて、日本政府として些かの異議もない。
4. 総括
胡主席
- 今次会談を通じてお互いの違いや困難を克服して健全で安定した日中関係を構築していきたい。具体的なことは外交当局で緊密に協議させたい。
小泉総理