写真:内閣広報室 |
11月18日、APEC首脳会議に参加するために釜山(プサン)を訪問中の小泉総理大臣は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と日韓首脳会談を行ったところ、やりとりの概要は以下のとおり。
小泉総理より、今般のAPECで多数の首脳が集い、会議が成功裡に進められていることは盧大統領の卓越した議事采配によるものである、今回の成功は韓国の発展に貢献すると思う旨述べた。
(1)小泉総理より、北朝鮮問題についても日韓間で密接に協力していきたい旨述べるとともに、今般のブッシュ米大統領と会談において、日米韓がより一層緊密に協力し、対応していくことで見解が一致し、同大統領は核問題の平和的解決に最大限努力する旨表明したことを紹介した。これに対し、盧大統領より謝意が表明されるとともに、北朝鮮の核問題に上手に協力し、対応していきたい旨述べた。
(2)盧大統領より日朝関係につき照会があったことを受け、小泉総理より、日朝関係では、拉致問題、核等の安全保障の問題のいずれも重視して解決に向けて対応している旨述べるとともに、拉致問題解決の重要性に言及しつつ、本日、タクシン・タイ首相と、タイでも拉致された人の話が出ていることを踏まえ、拉致問題についての日本とタイの間での協力の必要性につき認識が一致した旨紹介した。これを受け、盧大統領より、拉致問題が実務者の間で巧く処理され解決されることを期待する旨述べた。
(1)歴史問題等
(イ)盧大統領より、日韓関係は最重要の関係であり、両国民は交流を必要としている、韓国国民は、日本国民・日本文化を好む一方、小泉総理の靖国参拝や最近の多数の政治家による参拝は韓国に対する挑戦とも言うべきものであり、日本が過去に戻るとの懸念を惹起する、このような韓国国民の考え方を理解してほしい旨述べた。
(ロ)また、盧大統領は、韓国政府としては日本政府に対して謝罪や賠償を求める考えはないが、靖国参拝問題、歴史教科書問題及び竹島問題という3つの問題を解決する必要がある旨述べた。
(ハ)これに対し、小泉総理より、自身及び多くの国会議員による靖国神社参拝は、過去の栄光や過去の戦争の美化・正当化では決してなく、戦争への反省、不戦の決意と同時に、心ならずも戦争に赴き命を失った人々の犠牲の上に今日の平和があるという戦没者への哀悼の念を表明するためのものである旨説明した。
(ニ)その上で、小泉総理は、我が国の敗戦から今日に至る平和の歩み及び果たしてきた役割を誇りに思う、戦後60年間、平和・友好を基本として今日に至る中で、特に日韓関係を重視してきたし、日韓友好の重要性は理解している、両国は自由と民主主義、複数政党制、市場経済という共通の価値観を持ち、共に米国と同盟関係にある、このような二国間関係は世界にも多くない、両国間に意見の異なる部分があっても友好関係を促進すべきとの考えに変わりはない旨述べた。
(2)日韓間の交流等
(イ)小泉総理より、盧大統領より寄せられた清子内親王の御成婚への祝辞に対する謝辞を述べた。続いて、両首脳間で最近の出来事につきやりとりが行われる中で、盧大統領より、先般の衆議院議員選挙において小泉総理が大きな政治的困難を突破したことをお祝いする、これは小泉総理の卓越した判断力・決断力の結果である、重要なのは、これにより日本が改革を更に進める環境が整った点である旨の発言があった。これに対し、小泉総理より謝意を表明した。
(ロ)小泉総理より、最近の宝塚のソウル公演は多数の観客を集めて成功裡に終了したことを大変嬉しく思う、両国間に意見の相違があっても、今後もこうした交流は進めていきたい旨述べた。
(ハ)これに対し、盧大統領も賛意を示すとともに、過去の政権とは異なり、金大中政権及び自分(盧武鉉)の政権になって以降、人的交流・文化交流をより開放的に進めている旨述べた。
(ニ)これを受け、小泉総理より、日本国民は韓国の映画や文化に触れ、韓国に対する理解を確実に広げている旨述べた。