本18日(火曜日)午後6時から午後8時50分頃まで,菅直人総理大臣は,公式実務訪問賓客として訪日中のヤヌコーヴィチ・ウクライナ大統領 (H.E. Mr. Viktor YANUKOVYCH, President of Ukraine) と首脳会談及び夕食会を行い,経済関係強化を中心とした二国間関係,グローバルな課題における協力や国際情勢につき意見交換を行いました。概要は以下の通りです。
会談後,両首脳により「日本・ウクライナ・グローバル・パートナーシップに関する共同声明」への署名が行われ,また,両首脳の同席の下,国際協力銀行(JBIC)とウクライナ輸出入銀行との間のバンク・ローンへの署名が行われました。
- 二国間関係
(1)菅総理から,ウクライナは,EUとロシアの間の地政学的に重要な場所にある友好国であり,大きな協力の潜在力がある,また,ウクライナがこれからも民主的な国として発展することを期待する旨述べました。これに対し,ヤヌコーヴィチ大統領から,ウクライナの内政の安定に触れつつ,IMF支援を得て構造改革や近代化に邁進していることや,2012年のサッカー欧州選手権も念頭にインフラ整備が進んでおり,日本企業の参画を期待していることを説明しました。さらに,同大統領から,今次訪日を機に,ウクライナ国民が深い尊敬の念を有し,民主主義重視と平和的外交の追求という共通項を有する日本との関係を新たな段階へと発展させていきたい旨述べました。
(2)経済関係強化のため,両首脳は,投資協定締結交渉の開始等,様々なツールを活用し,また,ウクライナにおける投資環境の整備を進め,両国間の経済関係を強化推進していくことで一致しました。この問題で,菅総理から投資専門家の派遣を通じて協力する用意を示したのに対し,ヤヌコーヴィチ大統領から謝意を表明しつつ,同専門家が円滑に活動できるよう環境整備する旨,またウクライナにおける投資誘致のための税制改革について述べました。
(3)菅総理は,肥沃な黒土地帯を有するウクライナとの間で,農業投資の促進や農業生産や輸送に関する知見と技術を共有していく旨述べ,ヤヌコーヴィチ大統領は,これを歓迎しました。
(4)両首脳は,両国外相による日・ウクライナ協力委員会をはじめとする両国間の対話と協力の枠組みを活用しつつ,経済,科学技術,文化交流をはじめとする幅広い分野で協力を深めていくことで一致しました。 - グローバルな課題に関する協力
(1)菅総理から,被爆国として,ウクライナが昨年末に同国保有の高濃縮ウランの大部分を国外移送したことを高く評価する旨述べました。ヤヌコーヴィチ大統領からは,チェルノブイリ原発事故に関連する日本の支援に対し,ウクライナ国民を代表して感謝する旨,謝意が表明され,両首脳は,日本の被爆国としての知見の共有をはじめ,協力を進めていくことで一致しました。
(2)この他,双方が関心を有する国際情勢等について意見交換が行われました。