カナダ東部時間27日午後6時55分(日本時間28日午前7時55分)から約35分間(共同ぶら下がり含めると約50分間),G8・G20サミット出席 のためにカナダを訪問中の菅総理大臣は,オバマ大統領との間で就任後初めてとなる日米首脳会談を行ったところ,概要以下のとおり(先方:ガイトナー財務長官,エマニュエル大統領首席補佐官,ジョーンズ国家安全保障担当大統領補佐官,ドニロン国家安全保障担当大統領次席補佐官他同席,当方:岡田外務大臣,野田財務大臣,福山官房副長官他同席)。
1.日米関係
- (1) 菅総理から,30年前に国務省の招待で訪米した際に,米国の草の根市民運動の態様に感銘を受けた旨紹介するとともに,メキシコ湾石油流出事故に対してお見舞いを述べたのに対し,オバマ大統領から,日本からオイルフェンス及び沖合油回収装置に関する支援の申し出があることに対する謝意が表明された。
- (2) 菅総理から,日米同盟は過去50年以上に亘って我が国及びアジア太平洋地域の平和と繁栄の礎として不可欠な役割を果たしてきたが,アジア太平洋の平和と繁栄に日本が米国とともに寄与することができたことを誇りに思う,これから日米同盟をより深化させていくことが必要であり,今後日米間でよく協議していきたい,また,同時に日本国民自身が日米同盟の意味を議論することが重要であると考える旨述べた。これに対し,オバマ大統領から,日米同盟は,日本のみならずアジア太平洋地域全体の平和と繁栄の礎である旨,日米の友好関係及び同盟関係は新たな状況に応じて継続的に更新していく必要があるが,日米の中核的 な価値と共有されたビジョンは不変である旨述べ,引き続き日米で緊密に連携していくことで一致した。
- (3) 普天間飛行場の移設問題については,菅総理から,日米合意を踏まえ真剣に取り組んでいきたい,同時に沖縄の負担軽減のため引き続き努力していく, ルース大使にも連絡をとっていくこととしたく,米側の協力をお願いしたい旨述べ,日米双方で更に努力していくことで一致した。
- (4) 日米経済関係に関し,両首脳は,日米の関係閣僚間の対話等を深めながらクリーン・エネルギーを含む幅広い分野で日米の協力を進めていくことで一致した。
- (5) オバマ大統領から11月の訪日を大変楽しみにしている旨述べるとともに,菅総理に対する訪米招請があり,菅総理から,11月前にも訪米する機会があれば喜んで伺いたく,例えば,未だ出席することを決めている訳ではないが,9月の国連総会の機会もその一つの可能性として検討したい旨述べた。
2.国際情勢
- (1)北朝鮮
- 両首脳は,韓国哨戒艦沈没事件について,昨日のG8サミットで発出されたメッセージを踏まえ,国際社会として引き続き韓国を強く支持し,北朝鮮に対して明確なメッセージを出していくことの重要性で一致した。
- (2)イランの核問題
- 菅総理から,イランの核問題については,国際社会が一致して安保理決議を速やかに実施していくことが必要であり,日本もしっかりと制裁を実施していく旨述べたのに対し,オバマ大統領から,国連安保理決議の採択に際しての日本の支援に対する謝意が表明され,引き続き日米が緊密に連携していくことで一致した。
- (3)アフガニスタン・パキスタン
- 菅総理から,アフガニスタンの安定と復興は重要課題であるとの認識を示した上で,先般のカルザイ大統領訪日について紹介し,日本として警察の能力強化・給与負担,農業等の民生分野での支援を着実に実施していく旨述べたのに対し,オバマ大統領から日本の貢献に対する謝意が表明された。
- (4)その他
- 両首脳は,気候変動,核軍縮・不拡散等の幅広い課題についても日米の連携を強化していくことで一致した。