6月26日(現地時間),菅総理は,ムスコカG8サミットに出席するため訪問中のカナダにおいて,11時45分から12時25分まで40分間,メドヴェージェフ大統領との間で日露首脳会談を行ったところ,結果概要以下のとおり。
【ポイント】
- 菅総理就任後,初めての首脳会談であり,両首脳間の信頼関係に基づく本格的な対話を行っていくための良いスタートとなった。
- 変貌著しい国際環境にあって,今後,様々な機会を利用して,領土問題を含め,日露双方の関心事について前進を図っていくことで一致。
- 領土問題について,首脳レベルを始め,高いレベルでのコンタクトを通じ,前進を図っていく必要があるとの認識で一致。
- ロシア側の関心事項として,メドヴェージェフ大統領より,サハリンIIのLNGプロジェクトの稼働開始に言及しつつ,エネルギーのみならず,その他の大規模プロジェクトを日露間で発展させていくことへの期待を表明。
1.総論
- (1) 今回の会談は,菅総理就任後,メドヴェージェフ大統領との初めての首脳会談であり,両首脳間の信頼関係に基づく本格的な対話を行っていくための良いスタートとなった。
- (2) 菅総理より,鳩山前政権の気持ちをしっかり引き継いで,日露関係に力を入れていきたい旨述べ,変貌著しい国際環境にあって,今後,様々な機会を利用して,領土問題を含め,日露双方の関心事について前進を図っていくことで一致。
この関連で,菅総理より,所信表明演説において国際社会の地殻変動に対処していく覚悟を述べたことを紹介しつつ,ロシアは,アジア太平洋にも面し,共に連携を強化していくべきアジア地域の隣国である,変貌著しい国際環境にあって,領土問題を含め日露関係を前進させる条件が以前よりも整っている旨を指摘。
2.領土問題
- (1) 領土問題について,首脳レベルを始め,高いレベルでのコンタクトを通じ,前進を図っていく必要があるとの認識で一致。
- (2) 上記に加え,菅総理から以下を発言。
(ア) メドヴェージェフ大統領が,2008年のG8洞爺湖サミット以来,領土問題の解決に向けて一貫して強い意欲をお持ちであり心強く思う。
(イ) 領土問題の解決は65年以上にわたる我が国国民の悲願。自分としても,鳩山前総理が最も力を入れた,この問題の最終的な解決のために首脳レベルで前進を図っていきたい。 - (3) これに対してメドヴェージェフ大統領は,領土問題は,両国関係の中で最も難しい問題であるが,解決出来ない問題ではない,双方に受け入れ可能な,建設的な解決策を模索していきたいと述べた。
3.経済問題
- (1) ロシア側の関心事項として,メドヴェージェフ大統領より,サハリンIIのLNGプロジェクトの稼働開始に言及しつつ,エネルギーのみならず,その他の大規模プロジェクトを日露間で発展させていくことへの期待を表明。
- (2) 菅総理からは,以下を発言。
(ア) 岡田外務大臣とフリステンコ産業貿易大臣との間で,極東・東シベリア地域のプロジェクトを含めて引き続き作業させており,その進展を期待。特にエネルギー分野に限らず,ロシアの近代化のためにも我が国の技術,資本は,両国が共に発展していく上で大きな要素になると思う。
(イ) 2012年のAPECウラジオストク開催は,ロシアのアジア太平洋地域との結びつきを強化していく上でよい機会となり,歓迎する。
4.韓国哨戒艦事件
菅総理から,今回,G8としての声明をまとめる上でメドヴェージェフ大統領の理解に感謝する旨述べたのに対し,メドヴェージェフ大統領から,北朝鮮の問題については複雑な問題が発生しかねず,注意深く見守っていかなければならない旨述べ,引き続き連携していくことで一致。