6月26日午後5時45分から約35分間,G20サミット出席のためトロントを訪問中の菅総理大臣は,李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領との間で日韓首脳会談を行ったところ,その概要以下のとおり(我が方:岡田外相,野田財相,福山官房副長官ほか,先方:柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商部長官,金宗フン(キム・ジョンフン)通商交渉本部長ほかが同席)。
1.総論
- (1) 本会談は,首脳としては初の顔合わせであったが,極めて雰囲気の良い中行われ,首脳間の個人的信頼関係を構築していく上で意義のある会談となった。
- (2) 会談の冒頭,李大統領から,菅総理の就任につき祝意を述べた上で,民主党政権以降2国間関係がかつてなく強化され,菅総理に対する韓国国民の期待も高いとの発言があった。これに対して,菅総理から,韓国は,日本にとって最も重要な隣国、日韓関係の重要性については,鳩山前総理の思いを引き継ぎ,李大統領との間で個人的信頼関係を築いていきたい,日韓関係を未来に向かって更に発展させるため取り組んでいきたい旨述べた。
- (3) サッカー・ワールド・カップに関連して,李大統領から,残念ながら韓国は敗れたが,日本にはアジアの代表として準々決勝に進んでもらいたい旨述べた。これに対し,菅総理から暖かいお言葉に感謝する,選手にも伝達したい旨述べた。
2.哨戒艦沈没事件・北朝鮮問題
- (1) 菅総理から,韓国哨戒艦を魚雷で沈没させた北朝鮮の行為は地域の平和と安定に対する脅威であり,このような挑発行為は断じて容認しえない,今回のG8サミットにおいて力強いメッセージに合意できたことは良かった,ロシアもこれをまとめることに理解を示した旨述べた。これに対して,李明博大統領から,国連安保理及びG8での日本の積極的な協力に感謝するとの発言があった。
- (2) その上で,両首脳は、国連安保理が明確で力強いメッセージを出すように,日韓,日韓米で引き続き緊密に連携していくことで一致した。
- (3) また,拉致問題について,菅総理から、韓国政府に引き続き協力してほしい旨要請したのに対して,李大統領から,拉致問題は人権問題として取り組む課題であり,日韓で引き続き協力していきたい旨述べた。
3.日韓関係
- (1) 菅総理から,本年は,日韓関係にとって大きな節目の年,自分(菅総理)は,過去の歴史から目を背けることはしない,反省すべきことは反省しながら,これからの100年を見据え,真に未来志向の友好関係を強化していくべく,引き続き日韓双方で努力していきたい旨述べた。これに対して,李明博大統領から,2010年は過去を振り返りつつ、未来に向かっていく重要な年であるとの発言があった。
- (2) 両首脳は,民主主義・市場経済といった価値観を共有する両国に相応しい協力関係を,二国間,アジア,ひいては国際社会において構築していく基礎を築くべく,今後,シャトル首脳外交や国際会議の際の首脳会談を通じて,両首脳間で緊密に意見交換していくことで一致した。
4.日韓EPA
日韓EPAについて,菅総理から,自分の内閣でも日韓EPA(経済連携協定:Economic Partnership Agreement)を非常に重視している旨伝達した。両首脳は,5月29日の日韓首脳会談において日韓EPA交渉再開に向けたハイレベルの事前協議を行うことで一致したことを受けて,今後とも政治レベルが関与しつつ早期にこの協議を進めていくことが必要であるとの認識で一致した。
5.グローバルな日韓協力
両首脳は,日韓関係は,もはや二国間関係のみならず,国際社会全体において協力を推進していくべき「グローバルな関係」であり,環境,核軍縮・不拡散,アフガニスタン支援,日韓中FTA(自由貿易協定:Free Trade Agreenent)共同研究等,着実に進展させていくことで一致した。
さらに,両首脳は,11月のG20及びAPECに向けて緊密に協力していくことを確認した。