6月25日(金曜日)午前10時から10時30分(現地時間。日本時間25日午後11時から11時30分)まで,G8サミット出席のためにカナダを訪問中の菅総理大臣は,メルケル独首相と日独首脳会談を行ったところ,概要以下の通り。
1. 冒頭のやりとり
冒頭,サッカーW杯につき話題となり,日独双方が決勝トーナメント進出を果たしたことを祝しつつ,菅総理から決勝戦では日独が相まみえたい旨,また,メルケル首相より,独チームはこの後もタフな戦いが続くであろう旨,各々述べた。
メルケル首相より,菅総理ご就任を歓迎したい,従来から緊密な日独二国間関係を一層強化させ,国際的諸課題の解決に向け緊密に協力したい旨述べた。菅総理より,総理就任祝辞への謝意を表しつつ,日独関係一層強化のため協力したい旨述べた。
2. 世界経済
- (1) 菅総理から,メルケル首相はユーロの問題で種々ご苦労されていると伺っている旨ねぎらいの言葉をかけつつ,自らが財務相時代に手がけた「財政運営戦略」並びに「新成長戦略」を先日発表した,我が国は今後保育,介護,医療等の分野で新しい雇用を作り出しながらデフレを抑制していくという好循環を生み出したい旨述べた。メルケル首相から,独としても「賢い」財政健全化を目指している,また,財政健全化と構造改革の双方を目指したい,研究開発,教育,インフラ等の分野で長期的な雇用創出につなげていきたい旨述べた。
- (2) メルケル首相の質問に対し,菅総理から,国際社会は金融セクター規制の強化に向けて引き続き協力すべきである,日本はリーマン・ショックの影響は相対的に低かったともいえる,このような各国経済の個別の状況にも配慮すべし,また,規制強化が経済に与える影響を十分考慮すべきと応じた。
- (3) また,メルケル首相の質問に対し,菅総理から,金融機関のコスト負担に関し,それに反対ではなく,現に預金保険機構制度の存在等,既に金融機関に対し一定のリスク回避負担を求めているとの日本の現状を説明しつつ,各国の実情に応じて様々な政策手法がありうるとの認識を前提にすべしと応じた。
3.北朝鮮
- (1) 菅総理より,韓国哨戒艦沈没事件における北朝鮮の行為は地域の平和と安定に対する脅威であり,G8が韓国を支持し北朝鮮を非難する明確なメッセージを出すことが重要であり,貴国と連携したい旨述べた。
- (2) メルケル首相から,北朝鮮の行為を非難する,北朝鮮の行動が如何にアグレッシブかについて自分は個人的にも驚いている,挑発行為をやめさせるために何が効果的かよく議論していきたい,国連安保理での動きも見守っていきたい旨述べた。
4. 日EU経済連携協定
- (1) 菅総理から,非関税措置を含めた日EU経済関係の包括的な強化に向けた共同検討作業の開始についての4月末の日EU定期首脳協議における合意を重視している,この作業を日EU経済連携協定につなげるべく,貴首相のリーダーシップに期待したい旨述べた。
- (2) メルケル首相から,双方の貿易経済関係を強化したいとの意向を共有している,非関税障壁を削減していくことも重要であろう,欧州委員会を巻き込みつつ議論を続けていきたい旨述べた。
5.アフガニスタン
メルケル首相から,日独間ではアフガニスタン北部マザリシャリフでの病院復興における協力など,アフガニスタン復興において緊密に連携している旨述べた。菅総理から,先日訪日したカルザイ大統領と長時間議論した旨紹介しつつ,日本は鳩山前総理の下で発表した5年間で50億ドルの対アフガニスタン支援を,同国の安定と復興のため,農業,警察訓練等の分野を中心に,有効に活用していきたい旨述べた。
6.最後のやりとり
メルケル首相から菅総理の訪独招請があり,菅総理から,出来るだけ早く訪独したい,かつてドイツを訪れ都市開発の実情を見聞したことがある旨述べた。