菅総理は、27日午前8時(現地時間)から約45分間、G20サミットに出席するために訪問中のカナダ・トロントにおいて、胡錦濤国家主席との間で首脳会談を行った(中国側:王岐山副総理、令計画・党中央弁公庁主任、王滬寧・党中央政策研究室主任、戴秉国・国務委員、・外交部長他、日本側:岡田外務大臣、野田財務大臣、福山官房副長官他同席。)。
1.日中関係
(1)日中関係全般
冒頭、胡主席から、菅総理就任への祝意が表明されるとともに、菅総理は長年日中関係に尽力されており、菅総理の下でも日中「戦略的互恵関係」が発展すると確信している旨述べた。これに対し、菅総理から、早いタイミングで胡主席と会談する機会を得たことは喜ばしい、新政権としても「戦略的互恵関係」の内容を深めていきたい旨述べた。
また、胡主席から、日中関係の強化に関して、以下の5点について提案があった。1) ハイレベルでの意思疎通と連携の強化(菅総理への訪中招請、11月の横浜APECへの胡主席の参加、政府・政党・議会・防衛当局間での交流・対話の強化)、2) 経済貿易協力の強化(ハイレベル経済対話の活用、エネルギー・環境・循環型経済・ハイテク分野での協力等)、3) 国際及び地域の問題での協力の強化(東アジア共同体の構築、国際金融・気候変動における協力強化等)、4) 人的、文化交流の強化(特に、青年間の相互理解)、5) 懸案の適切な処理と大局に立った対応。
これに対し、菅総理からは、先般の温家宝総理訪日の成功や今後予定されている第三回ハイレベル経済対話に触れつつ、自分(菅総理)の訪中招請に対しては、都合の良い時期に訪中したい旨述べた。また、各種交流の強化に賛同し、特に防衛当局間の信頼関係構築を進めたい旨述べるとともに、東アジア共同体については、長い視野で進めていきたい旨応じた。
(2)日中間の諸課題への取組と様々な分野での協力
菅総理から、「食の安全」についての進展を評価するとともに、東シナ海資源開発については、日中間で国際約束締結交渉の開始で一致しており、「戦略的互恵関係」の象徴的な案件として当局間で交渉を進めたい旨述べた。また、国際経済の問題、軍縮・不拡散の問題、気候変動の問題といった国際社会全体として取り組むべき課題についても、緊密に意思疎通し協力を進めたい旨述べるとともに、中国で労働争議が頻繁に発生していることに注視している旨述べた。
胡主席からは、東シナ海資源開発については、両国間の基本合意に沿って、日中両国が前向きに努力していくことを望む旨発言があるとともに、労働争議については、法律に従って適切に対処したい旨発言があった。
2.韓国哨戒艦沈没事件を含む北朝鮮問題
菅総理から、韓国哨戒艦に対する北朝鮮の行為は地域の平和と安定を損なう、許し難い行為であり、国連安保理において北朝鮮を非難する明確なメッセージを出す必要がある旨述べて、中国の前向きな対応を求めた。また、六者会合については、韓国哨戒艦沈没事件をしっかり解決することが大事である旨述べるとともに、拉致問題についての中国の理解と協力について謝意を表明した。
胡主席からは、朝鮮半島の動向を注視している、韓国哨戒艦沈没事件は不幸な出来事であった、朝鮮半島と北東アジアの安定を維持するために、関係各国は大局に立って冷静に対処すべきである、日本とは意思疎通を行い協力していきたい旨述べた。