平成19年11月20日
福田総理は、シンガポールにおいて、フンセン・カンボジア首相、ブアソーン・ラオス首相、ズン・ベトナム首相との間で、11月20日17時30分から18時30分まで日CLV首脳会談を行ったところ、概要以下のとおりです。
(1)福田総理より以下のとおり述べた。
(イ)日本は1990年代初頭から一貫してメコン地域開発を重視。その豊かな潜在力を更に開花させ、メコン地域がまさに「希望と発展の流域」となるよう共に努力したい。
(ロ)CLV各国及びメコン地域全体に対するODAを今年度から3年間拡充していく。
(ハ)メコン地域が一つの経済圏として発展していくため、東西回廊及び第2東西回廊の整備を重視。日ASEAN統合基金のうち2千万ドルを活用して、両回廊が実際にビジネスに利用されるよう物流効率化のための支援を行う。現在、東西回廊実用化に向けた課題を調査する実走実験を実施中であり、具体的な支援にはその結果を反映させていく。
(ニ)CLVの国境地帯である「開発の三角地帯」について、日本として今年度は25件25億円以上の協力案件を実施するほか、日ASEAN統合基金を通じた2千万ドルの支援を準備しており、具体的支援案件のパッケージを日メコン外相会議で採択させたい。
(ホ)日本とメコン地域との貿易投資の拡大に向けて、本年6月の日カンボジア投資協定署名及び日ラオス投資協定交渉の前進を歓迎。また、法的枠組みの整備に加えて、実態上の貿易投資環境の整備も重要であるとの認識のもと、日越共同イニシアティブの継続と12月の日ラオス官民合同対話の実施を歓迎。
(ヘ)日本とCLVの相互理解を深めるため、今後5年間で4千人を超えるCLV各国の青少年を日本に招聘する。
(2)以上の福田総理の発言を受けて、CLV全ての首相から、福田総理の総理就任に祝意が表明され、日本の変わらぬCLVとの協力の姿勢に感謝が示された。
(3)フンセン・カンボジア首相より以下のとおり述べた。
これまでの日本のODA、特に東西回廊・開発の三角地帯への日本の協力に対し感謝しており、今後ともこの支援を継続して欲しい。開発の三角地帯では道路建設が重要である。投資協定が署名されたことから、日本からの投資を誘致したい。また日本とシエムリアップ間のチャーター便の開設を歓迎する。
(4)ブアソーン・ラオス首相より以下のとおり述べた。
東アジア・東南アジアにおける日本の役割を支持する。特に、開発の三角地帯における日本の協力に感謝したい。内陸国ラオスにとって鉄道で近隣国とつながることが重要であり、これに対して日本に協力をお願いしたい。来年1月の日メコン外相会議の際に日ラオス投資協定の署名を行いたい。
(5)ズン・ベトナム首相より以下のとおり述べた。
東西回廊・開発の三角地帯における日本の協力に感謝する。また、南北高速鉄道、南北高速道路、ホアラックハイテクパークの3案件に対する協力を引き続きお願いしたい。日本とCLVの協力においては、持続的発展の確保、生態系保全、文化交流、観光、青年交流が重要である。
(1)福田総理より以下のとおり述べた。
拉致、核、ミサイルといった北朝鮮の諸懸案の解決に向け、引き続き関係各国と共に努力していく、我が国及び北朝鮮双方と密接な関係を有するCLVの協力を得たい。
(2)フン・セン首相より以下のとおり述べた。
自分から先般カンボジアを訪問した北朝鮮首相に対して、拉致被害者を解放し、日朝国交正常化をするよう働きかけを行った。拉致問題は人道問題であり、次回の北朝鮮人権決議を支持する。
(3)ブアソーン首相より以下のとおり述べた。
拉致は国際法違反かつ非人道的行為であり受け入れることはできない、日本の拉致被害者に同情をする。
(4)ズン首相より以下のとおり述べた。
昨年訪日した際に発表した共同声明で北朝鮮が拉致問題に対応する必要があることを表明している。また、日朝国交正常化プロセスに可能な限りの貢献を行う用意がある。
福田総理から、日本の常任理事国入りへのCLVの支持に感謝するとともに、安保理改革の実現に向けた継続的な支持を要請し、CLV側から改めて我が国の常任理事国入りへの支持が確認された。