
金融・世界経済に関する首脳会合 宣言(骨子)
平成20年11月15日
米国ワシントンDC
(全文仮訳・英文(PDF)
)
今次危機の根本的な原因
- 高い成長、資本フローの伸び、安定が続いた期間に、市場参加者はリスクの適正評価無しに高利回りを求め、脆弱な引受け基準、不健全なリスク管理慣行、複雑で不透明な金融商品と結果としての過度のレバレッジが、システムを脆弱にした。いくつかの先進国では、政策・規制当局はリスクを適切に評価せず、金融の技術革新についていけなかった。背後にある主な要素は、一貫性と調整のないマクロ経済政策と不十分な構造改革などであり、これらが世界的マクロ経済上の持続不可能な結果を導いた。
とられた措置及びとるべき措置
- 努力の継続と金融システム安定に必要なあらゆる追加的措置の実施。
- 適切と判断される場合における金融政策による支援の重要性を認識。
- 財政の持続可能性の維持に資する政策枠組みを確保しつつ、状況に応じ、即効的な内需刺激の財政施策を活用。
- 新興国・途上国の資金調達を支援。危機対応におけるIMFの重要な役割を強調し、新たな短期流動性ファシリティを歓迎。
- 世銀、国際開発金融機関が開発支援にその能力を活用するよう奨励。
- IMF、世銀、国際開発金融機関が危機克服で引き続きその役割を果たすために、十分な資金基盤を確保。
金融市場の改革のための共通原則
- 危機の再来を防止するため、金融市場と規制枠組みを強化する改革を実施する。規制当局間の国際連携、国際基準の強化及びその一貫した実施が必要。金融機関もまた混乱の責任を負い、その克服のために役割を果たすべし。
- 我々は以下の改革のための共通原則と整合的な政策の実施にコミット。
- 透明性及び説明責任の強化:複雑な金融商品に関する義務的開示の拡大、金融機関の財務状況の完全・正確な開示の確保を含め、金融市場の透明性を強化。インセンティブは、過度のリスク・テイクを回避するよう調整されるべし。
- 健全な規制の拡大:すべての金融市場・商品・参加者が、状況に応じて適切に規制され、あるいは監督の対象となることを確保することを誓約。合意され強化された国際的行動規範に整合的に、信用格付会社に対する強力な監督を実施。規制枠組みを景気循環に対してより効果的にする。国内規制制度の透明性の高い審査にコミット。
- 金融市場における公正性の促進:投資家・消費者保護を強化し、利益相反を回避し、不法な相場操縦、詐欺行為、濫用を防止し、非協力的な国・地域から生じる不正な金融リスクへの対抗などにより、世界の金融市場の公正性を保護することにコミット。
- 国際連携の強化:各国・地域の規制当局が規制、その他の措置を整合的に策定するよう要請する。規制当局は、国境を越える資本フローを含め金融市場のすべての部門において、協調・連携を強化すべし。規制当局等は、優先課題として危機の予防・管理・解決のための連携を強化すべき。
- 国際金融機関の改革:世界経済における経済的比重の変化を適切に反映できるようブレトン・ウッズ機関の改革推進にコミット。最貧国を含め新興国・途上国がより大きな発言権と代表権をもつべし。金融安定化フォーラム(FSF)は新興国に早急に加盟国を拡大すべし。
閣僚及び専門家への指示
- 財務大臣にG20指導国(伯、英、韓)の調整により、プロセス・スケジュールの開始を指示。具体的な措置の最初のリストとして、2009年3月31日までに完結すべき優先度の高い行動を含めて添付の行動計画に規定。他の経済国や既存の機関が任命する専門家の提言も参考にしつつ、各国の財務大臣に対し、以下の分野を含む追加的な提言の策定を要請。
- 規制政策における景気循環増幅効果の緩和。
- 市場混乱時の複雑な証券についての国際会計基準の見直しと調整。
- 信用デリバティブ市場の強靱性と透明性の強化及びシステミック・リスク軽減。
- リスク・テイクと技術革新へのインセンティブに関連する報酬慣行の見直し。
- 国際金融機関の権限、ガバナンス及び資金需要の検討。
- システム上重要な機関の範囲を定義し、その適切な規制・監督の決定。
- 我々は、金融システム改革におけるG20の役割にかんがみ、今次原則と決定の実施をレビューするため、2009年4月30日までに再び会合する。
開放的な世界経済へのコミットメント
- 保護主義を拒否し、内向きにならないことの決定的重要性を強調。この観点から、今後12ヶ月の間に、投資・貿易に対する新たな障壁を設けず、新たな輸出制限を課さず、WTOと整合的でない輸出刺激策もとらない。
- WTOドーハ・ラウンドを成功裏に妥結に導くモダリティについて本年合意に至るよう努力。貿易大臣に対してこの目標の達成を指示し、必要に応じ直接支援する用意をする。
- 現下の危機が途上国に与える影響に留意。ミレニアム開発目標の重要性、開発援助に関するコミットメントを再確認。
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