安倍晋三内閣総理大臣は,総理就任後初の外国訪問として,1月16日(水曜日)から18日(金曜日)まで東南アジア3か国(ベトナム,タイ,インドネシア)を公式訪問したところ,概要は以下のとおりです。
1.訪問日程(概要)
(1)ベトナム(16日)
ズン首相との首脳会談・共同記者発表,チョン共産党書記長との会談,サン国家主席表敬のほか,ズン首相夫妻主催晩餐会等に出席。
(2)タイ(17日)
インラック首相との首脳会談・共同記者発表,プミポン国王陛下拝謁のほか,在留邦人との懇談,泰日工業大学視察,インラック首相主催晩餐会等に出席。
(3)インドネシア(18日)
ユドヨノ大統領との首脳会談・共同記者会見等に出席。
(注)アルジェリアでの邦人拘束事案について直接指揮をとるため,その他の日程を取りやめ,予定を早めて帰国。
2.全体評価
(1)対ASEAN外交5原則
アジア太平洋地域の戦略環境が変化する中で,地域の平和と繁栄を確保していくため,自由,民主主義,基本的人権,法の支配など普遍的価値の実現と経済連携ネットワークを通じた繁栄を目指し,日本はASEANの対等なパートナーとして共に歩んでいく旨のメッセージを各国首脳に伝達。この観点から,18日の日・インドネシア首脳会談後,「対ASEAN外交5原則」を発表。
(注)対ASEAN外交5原則
- (1)自由,民主主義,基本的人権等の普遍的価値の定着及び拡大に向けて,ASEAN諸国と共に努力していく。
- (2)「力」でなく「法」が支配する,自由で開かれた海洋は「公共財」であり,これをASEAN諸国と共に全力で守る。米国のアジア重視を歓迎する。
- (3)様々な経済連携のネットワークを通じて,モノ,カネ,ヒト,サービスなど貿易及び投資の流れを一層進め,日本経済の再生につなげ,ASEAN諸国と共に繁栄する。
- (4)アジアの多様な文化,伝統を共に守り,育てていく。
- (5)未来を担う若い世代の交流を更に活発に行い,相互理解を促進する。
(2)ASEAN諸国との経済連携強化
投資・貿易の拡大やインフラ分野での協力を通じ,21世紀の「成長センター」の一翼を担うベトナム,タイ,インドネシアとの経済連携を一層強化することを各国首脳との間で確認。
(3)日・ASEANパートナーシップ強化
日・ASEAN友好協力40周年,日・ベトナム外交関係樹立40周年(日越友好年),日・インドネシア外交関係樹立55周年に当たり,2015年のASEAN統合に向けたプロセスをあらゆる側面で支援することを表明するなど,日・ASEAN間のパートナーシップ強化の基調を作った。
また,これに合わせ,2007年に安倍総理が始めた「JENESYS(21世紀東アジア青少年大交流計画)」(注)を再び実施することとし,「JENESYS 2.0」と名づけ,ASEANを含むアジア諸国との間で新たに3万人規模の交流を実施することを発表。
(注)2007年から5年間実施。ASEAN諸国との間では,約14,000人が交流。
2.各国首脳との会談(概要)
(1)日・ベトナム首脳会談
- ア 地域的課題を共有し,経済的に相互補完関係にある重要なパートナーとして,「戦略的パートナーシップ」を更に発展させることで一致。
- イ 貿易・投資,インフラ整備等の分野及び政治・安全保障分野の対話と協力をより積極的に推進するとともに,国民レベルでの交流を更に強化することで一致。
- ウ 北朝鮮情勢、南シナ海情勢等の地域・国際情勢について意見交換。
(2)日・タイ首脳会談
- ア 日本企業の拠点であり,基本的価値を共有するパートナーとして,「戦略的パートナーシップ」を更に発展させることで一致。
- イ 経済連携協定の円滑な運用やタイにおけるインフラ整備も含め,緊密に連携することで一致。
- ウ 北朝鮮情勢、南シナ海情勢等の地域・国際情勢について意見交換。
(3)日・インドネシア首脳会談
- ア 今般のジャカルタでの豪雨による洪水被害に対し,お見舞いの意を表明するとともに,日本政府として必要な支援及び協力を行う用意がある旨伝達。
- イ アルジェリアでの邦人拘束事案に関連し,卑劣なテロ行為により多数の犠牲者が出たことは断じて許されず,強く非難されるべきであること,また,テロとの断固たる戦いを共に進めていくことで一致。
- ウ 経済,政治・安全保障,交流の3分野で協力を推進し,「戦略的パートナーシップ」を更に発展させることで一致。
- エ 北朝鮮情勢、南シナ海情勢等の地域・国際情勢について意見交換。