安倍総理大臣

安倍内閣総理大臣の中国訪問(概要)

平成18年10月8日

1.日程概要

 1999年の小渕総理以来の公式訪問。10月8日午後に、歓迎式典及び温家宝総理、胡錦濤国家主席、呉邦国全人代委員長との会談を人民大会堂で行った。また、同日夜には、温家宝総理主催晩餐会及び内外記者会見が行われた。

2.全般的評価

(1)中国の指導者との間で、胸襟を開いて、両国の未来について語り合い、信頼関係を培った。今次訪中が、日中関係を更なる高みへと導く契機となったことを確信。

(2)日中関係に関し、「政治」と「経済」という二つの車輪をそれぞれ力強く作動させ、日中関係を高度の次元に高めつつ、全世界の課題の解決にともに取り組む「戦略的互恵関係」を築きあげていくことで一致。

3.主な成果

(1)日中関係全般

(イ)胡錦濤国家主席、呉邦国全人代委員長、温家宝総理と胸襟を開いて、両国の未来について語り合い、アジア及び全世界の平和と繁栄のため建設的な貢献を行うことが、日中両国が果たすべき責任であることを確認。

(ロ)そのために、「政治」と「経済」という二つの車輪をそれぞれ力強く作動させ、日中関係を高度の次元に高めつつ、全世界の課題の解決にともに取り組む戦略的互恵関係を築きあげていくことで一致。

(ハ)また、両国首脳間の信頼関係の構築が重要であり、頻繁に首脳間の対話を行うことで一致。総理から、胡錦濤国家主席及び温家宝総理の我が国訪問を招請し、中国側は同意。また、11月のAPEC首脳会議や12月のASEAN+3首脳会議での日中首脳会談についても、外交ルートで調整していくことになった。更に、ASEAN+3の場での日中韓首脳会談についても開催することで一致。

(2)歴史認識

 中国側より、歴史を鑑とし、未来に向かうとの精神が強調され、靖国神社参拝は、中国及びアジアの人々の感情を傷つけ、日中関係の政治的基礎を損なうものである旨述べた。これに対し、総理よりは、過去の歴史を直視し、平和国家としてのこれまでの歩みを、またこれからもこれを続けていく旨説明し、中国側の評価を求めた。これに対し、中国側は、積極的に評価する旨発言。また、靖国神社参拝については、総理の考えを説明し、行ったか行かなかったか、或いは、行くか行かないかについて言及しないこととしている、本件については、双方が政治的困難を克服し、両国の健全な発展を促進するとの観点から、適切に対処していきたい旨述べた。更に、総理よりは、中国の愛国主義教育に関連し、日本関連の教育や歴史展示物についての適切な対処を要請。また、双方は日中歴史共同研究の年内開始で一致した。

(3)北朝鮮情勢

 双方が、北朝鮮による核実験について深い憂慮を表明。また、六者会合の共同声明に従って六者会合プロセスを推進し、北朝鮮核問題の解決、北東アジア地域の平和と安定の維持のため、協力して共に力を尽くすことを確認した。拉致問題については、総理より、拉致問題の悲惨さと解決の重要性について説明し、理解と協力を求めたのに対し、先方からは、日本国民の関心について理解が示された。

(4)東シナ海資源開発問題

 東シナ海を平和・友好・協力の海とするため、協議のプロセスを加速し、共同開発の方向で、双方が受け入れ可能な解決の方法を模索することを確認した。更に、総理より、防衛交流の強化について提案したのに対し、温家宝総理より、関係当局に検討させたいと述べた。

(5)共通の戦略的利益拡大のための協力

(イ)総理より、東アジア地域協力を深め、その一環として日中韓投資協定の早期締結を含む日中韓協力を推進したい旨発言。これに対し、温家宝総理は、日中韓投資協定の早期締結に同意した。

(ロ)総理より、国連改革について、我が国の常任理事国入りについて大局的判断を要請した。これに対し、中国側より、より大きな政治的役割を担いたいとする日本の要望を理解する、国連に関する対話を強化したい旨発言。

(ハ)また、エネルギー、環境、金融、情報通信技術、ビジネス環境の整備等の分野での協力を強化することで一致。

(6)あらゆるレベルでの交流・対話の促進

(イ)経済関係閣僚間の定期的な対話、その他閣僚間の対話、政治、安全保障、経済、社会、文化等各分野の関係当局の協議を推進していくことで一致。

(ロ)明2007年(日中国交正常化35周年)に開催される日中文化・スポーツ交流年を通じ、国民交流を飛躍的に拡大すること、また、高校生交流を長期的に実施することで一致。

(7)台湾

 中国側より、台湾は、中国の核心利益であり、日中間の敏感な問題、3つの文書の明確な定めに基づき、日本が台湾とは民間の往来のみを維持することを希望する旨述べたのに対し、総理よりは、我が国の立場に何ら変更はない旨説明。

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