平成19年9月8日
現地時間8日午後6時(日本時間同日午後5時)から約1時間、APEC首脳会議に出席した安倍総理は、プーチン露大統領と会談を行ったところ、概要以下のとおり。
(1)日露関係の総論についてのやり取りとして、共通の戦略的利益に基づくパートナーシップの構築に向け、日露間のハイレベルの政治対話を継続していくことで一致した。
(2)具体的には、本首脳会談のフォローアップを行うべく、10月下旬に東京で日露外相会談を行い、11月上旬にナルィシュキン副首相が訪日することで一致した。また、年内にモスクワで第3回戦略対話を実施することで一致した。
(1)安倍総理より、日露関係を強化することを重視しているが、両国関係をより高い次元に引き上げるには平和条約締結が不可欠である等述べ、平和条約交渉の進展を図る必要性を強調した。プーチン大統領からは、ロシアは平和条約の締結が可能となるような、双方に受入可能な解決策を見出すことに関心を有しており、このための作業を、本年も、また、国家院選挙と大統領選挙の後も続けていきたい旨の発言があった。
(2)その上で、両首脳は、ハイリゲンダムでの日露首脳会談における合意を受け、「日露行動計画」の重要な柱の一つである平和条約交渉につき、具体的な進展が得られるよう、両首脳が指示を出し、今後、進展を図るべく日露双方が一層努力していくことで一致した。
(3)時間の関係で首脳会談では触れられなかったが、両国外務省間では、交渉進展のための環境整備に資するものとして、また、北西太平洋における重要な協力として、北方四島を含む日露の隣接地域における生態系の保全等に関して協力を行うことで一致している。日本側より、日露の専門家による会議を9月後半に札幌で開催し、(イ)海洋環境の把握、(ロ)沿岸環境の保全、(ハ)海洋生態系の保全等、について話合いを開始することを提案しており、双方で検討を進めていくことで一致している。
(1)前回のハイリゲンダムでの日露首脳会談において、安倍総理が示した「極東・東シベリア地域における日露間協力強化に関するイニシアティブ」に関し、今次首脳会談で、プーチン大統領より、日本のイニシアティブを支持し感謝している、ロシアとしても日本と協力して極東・東シベリアの開発を行っていきたい、8月に承認された「極東・ザバイカル発展連邦プログラム」では約2.6兆円のロシア連邦予算の支出が予定されている等のコメントを得た。
(2)これを受け、両首脳は、今後の両国間の取組について議論し、当面、以下の措置を含めてフォローアップしていくことで一致した。
(イ)シベリア鉄道を含むロシア国内の鉄道の近代化・高速化を通じて、日露間の物流を円滑化することにより、貿易及び投資を促進させるため、日露の官民による鉄道分野の協力に関する会議の早期開催に向けた調整を行う。
(ロ)極東海域での海棲生物の資源管理を強化するため、ロシア船舶による密漁・密輸出対策として日露間で協力し得る措置の検討を目的として、密漁・密輸出問題に関する日露協議を9月に東京で開催する。
(ハ)日露エネルギー協力における象徴的なプロジェクトであるサハリン・プロジェクトについて、LNG供給契約が確実に履行されるよう、引き続き日露両国政府が協力していくことで一致した。また、日露双方にとって互恵的かつ戦略的意義を有する太平洋パイプライン・プロジェクトの早期実現のため、日露の官民で協力していくことで一致した。
(ニ)「極東・東シベリア地域における日露間協力強化に関するイニシアティブ」のフォローアップを行うため、10月第4週に、貿易経済日露政府間委員会の下での第1回地域間交流分科会をロシア極東において開催する。
(1)ポスト京都議定書の枠組みとして、2013年以降の実効性のある国際的枠組みの構築に向けて協力していくことで一致した。
(2)また、両国は、京都議定書に基づいて行われる共同実施(JI)における日露両国の努力を促進することを確認した。
青少年交流について、将来の日露関係発展の礎として重要性にかんがみ、かつ、来年の北海道洞爺湖サミットに向け、その抜本的拡充を図るべく、現行の青年交流協定を年内に改正することを目指し、協定改正交渉を開始することで一致した。
実務分野での協力として以下を進めていくことで一致した。
(1)日露両国民の往来を活発にし、両国民の相互理解を増進するための具体的な取組として、査証簡素化協定締結のための交渉を促進する。
(2)両国の実務的な協力を促進していくための措置として、原子力協力協定締結に向けた交渉を加速させる。