安倍総理大臣

安倍総理のベトナム公式訪問(結果概要)

平成18年11月21日

【ポイント】

  • 一ヶ月間に日越の首脳が相互に公式訪問したことにより、10月のズン首相の訪日の際に築いた日越の新政権の絆が一層強固なものとなった。
  • 日越首脳間の共同声明に基づき、二国間関係を戦略的パートナーとして高めていくため、二国間関係の強化に加え、北朝鮮問題、安保理改革等地域・国際的課題につき幅広く議論し、協力を確認した。
  • 日越両国の外相を共同議長として、日越協力委員会を実施することに合意。
  • 新たな試みとして、御手洗経団連会長を団長とする130名を超える大規模な経済ミッションの同行を実現。
  • 日越首脳と経済ミッションとの会合、日越経済セミナー、経済ミッションと越関係大臣との会合を実施するなど、官民一体となって、日越両国の経済関係の強化に取り組んだ。

1.日程(11月19日-20日)

(1)歓迎式典及び経済ミッション団員も参加の大規模なズン首相主催晩餐会が開催され、ベトナム側から今次訪問の歓迎の姿勢が示された。

(2)日越首脳会談に加え、日越首脳と財界人との会合を行い、二国間関係を戦略的パートナーとして高めていくため、幅広い議論を行った。

(3)チエット国家主席表敬、マイン書記長表敬を行った。

(4)日越経済セミナーでスピーチを行った他、タンロン工業団地を視察した。

(5)安倍総理夫妻主催で、今次経済ミッション、ズン首相夫妻を始めとする越政府要人、経済関係者等、約950名を招いた大規模なレセプションを開催し、日越両国の官民関係者の交流機会を作った。

2.経済ミッション

(1)御手洗経団連会長を団長とする130名を超える大規模な経済ミッションの同行を実現。右は経済界のベトナムへの高い関心を示すもの。

(2)日越首脳との会合に同席した。

(3)フック計画投資大臣等の参加する日越経済セミナー、ター郵電大臣等ベトナム政府要人との懇談を実施。

(4)ホアラック・ハイテクパーク視察、タンロン工業団地を視察。

3.日越首脳会談(19日午後)

(1)両首脳は、一ヶ月間に日越首脳が相互に公式訪問するということは緊密な日越関係を象徴しており、日越首脳間の共同声明に基づき、二国間関係をアジアの平和と繁栄のための戦略的パートナーとして高めていくことに一致した。

(2)両首脳は、10月の日越首脳会談でズン首相から提案があった日越協力委員会について、日越両国の外相を共同議長として実施することに合意した。

(3)ズン首相より、これまでの日本の経済支援に感謝し、WTO加盟承認、経済連携協定交渉の開始等に言及しつつ、投資環境改善につとめていきたいと述べた。

(4)ズン首相より、改めて日本のODAに感謝するとともに、南北高速道路、南北高速鉄道及びホアラック・ハイテクパークへの協力を求めた。これに対し、安倍総理より、3案件に関し調査団を派遣し、ハイテクパークに企業の視察ミッションを派遣することを表明した。

(5)両首脳は、日越文化交流フォーラムを早期に開催することを確認した。安倍総理より、日本語教育等各種文化交流事業のための拠点を設置することを表明した。

(6)ズン首相より、10月の訪日の際に、北朝鮮問題についての共通認識ができたと述べた。安倍総理は、北朝鮮が核の放棄に向けて着実に約束を実施することが重要、拉致の早期解決のためベトナムの理解と支持を得たい旨述べた。ズン首相は、拉致を含む北朝鮮問題について、総理の懸念を理解し、日本の立場を支持する旨述べた。

(7)両首脳は、安保理非常任理事国選挙でのベトナムの立候補がアジア・グループ内で承認されたことを祝福しつつ、今次総会中の安保理改革の重要性を確認した。東アジア首脳会議、ASEAN+3などの一連の地域協力での協力を確認した。

4.日越首脳と財界人の会合(19日午後)

(1)安倍総理より、今般の130名を超える大規模な経済ミッションの同行は、日越経済関係強化のための新たな試みであり、経済界のベトナムに対する高い関心を現している旨発言した。

(2)両首相は、ベトナムのWTO加盟承認を祝福しつつ、スピード感をもって経済連携協定を交渉すること、日越共同イニシアティブの行動計画を協力して実施し、日越間の貿易投資促進に、共に努力していくことを確認した。

(3)安倍総理より、IT人材の育成、エネルギー協力、原子力協力、インフラ整備等の分野で官民協力を進めること、ベトナム経済発展及び貧困削減支援の一環として、ホーチミン都市交通等のプロジェクトについて、我が国の技術・ノウハウを活用した支援を検討したい旨表明した。また、安倍総理より、南北高速道路、南北高速鉄道及びホアラック・ハイテクパークに関し改めて言及した。

(4)御手経団連会長より、WTO加盟承認を祝福しつつ、市場経済化を通じた構造改革、生産・輸出拠点としての魅力増加、一年以内の互恵的な経済連携協定締結への期待を表明すると共に、物品貿易自由化促進、知的財産権の保護を要請した。御手洗会長より、今次ミッションに参加企業した企業だけでも、今後数年間で約850億円の投資を行う見通しである旨表明。

(5)秋山関経連会長より、より具体的な民間の意見交換の場を作ることが必要、ベトナムのこれからの経済発展のためには、エネルギー、特に電力の安定供給が重要であり、原子力なども含めて企業同士で協力を進めたい旨述べた。

(6)ベトナム企業代表から、人材育成、技術移転に対する日本の協力を期待する旨発言があり、安倍総理から、人材育成は経済発展の鍵であり、引き続き支援していきたい旨述べた。

(7)ズン首相から、貿易・投資拡大のために投資環境整備に尽力すること、2015年まで平均8%成長を目標としインフラ整備が急務であること、ベトナム社会の安定性、低廉で豊富な労働力が魅力であることを述べつつ、3案件の実施は投資促進にも資する旨述べた。

5.チエット国家主席表敬(20日午前)

 安倍総理から、チエット国家主席の北朝鮮問題を含むAPECでの議長采配を評価した。また、安倍総理から、ベトナムのWTO加盟承認、日越経済連携協定交渉に言及。チエット国家主席より、日本のODAに感謝を表明しつつ、ODAの厳正管理、効率使用を確認した。

6.マイン書記長表敬(20日午後)

 両首脳は、首脳共同声明に基づき、二国間関係を戦略的パートナーとして高めていくこと、北朝鮮問題を含む多国間関係でも協力することを確認。マイン書記長より、日本の経協、企業投資の越発展への貢献に触れ、両首脳は、経済関係強化につき話し合った。

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