岡田外務大臣

第二回TICAD閣僚級フォローアップ会合(二国間会談概要)

平成22年5月4日

 5月2日午後,岡田外務大臣はアルーシャ(タンザニア)におけるTICADフォローアップ閣僚会合に出席しているアフリカ各国の外務大臣等と二国間会談を行ったところ,その概要以下のとおり。

 なお,以下のやりとりに加え,岡田大臣からは,各大臣等に対し,今次閣僚会合への参加に対する感謝と新政権の対アフリカ外交重視の姿勢を改めて表明するとともに,二国間だけでなく国際場裡での協力も強化したいとして,気候変動問題への対応や国連安保理改革実現のための協力を求めた。各国からは,TICADプロセスを通じた日本の対アフリカ支援に関し感謝の意が表明された。また,各国とも気候変動問題の重要性に同意するとともに,鳩山イニシアティブを含め,日本がこの分野で引き続きリーダーシップを発揮することへの期待を表明した。また,安保理改革については,多くの国より日本の常任理事国入りへの支持が表明されるとともに,改革の実現に向けて引き続き協議していくことで一致した。

1 ムウェンチャ・アフリカ連合(AU)副委員長

  • (1)岡田大臣から,2006年にスーダンを訪問した際,AU部隊の活躍ぶりを目の当たりにして心強く感じた,AUが紛争調停やPKO等,アフリカの平和と安全保障の分野で益々重要な役割を果たしていることを評価する,また,経済・開発の分野でも重要な役割を果たそうとしていることに注目している旨述べ,日本としてもアフリカ問題への貢献の観点からAUとの関係をさらに強化していきたく,そのため本年ピンAU委員長を訪日招待したい,また,TICADプロセスへのAUの参加強化についても引き続き積極的に検討していきたい旨述べた。
  • (2)ムウェンチャ副委員長から,ピン委員長をはじめとし,AU委員会としてもTICADプロセスを通じた日本のアフリカへの貢献を高く評価している,貴大臣が本日のスピーチでも述べた日本のAUとの協力強化の意向はまさに我々が長年望んできたことである,AUとしても平和・安全保障,気候変動,人材育成,貿易,テロ,海賊等の二国間だけでは対応できない国際的課題に多国間協力の観点から積極的に取り組んでいきたい旨述べた。また,ピン委員長の訪日招待に感謝する,日本との協力を強化する機会としたい旨述べた。

2 ムシキワボ・ルワンダ外務・協力大臣

  • (1)岡田大臣から,ジェノサイドの悲劇から16年間,ルワンダがカガメ大統領の下,国民融和,民主化及び開発に取り組み,堅調な経済成長を遂げていることを評価する,本年1月に在ルワンダ大使館を開設したところであり,これを機に二国間関係がさらに大きく進展することを期待する旨述べた。
  • (2)ムシキワボ大臣から,大使館開設を機に二国間関係が顕著に進展していることを歓迎する,農村開発等についての日本の質の高い支援はMDGsとの関係においても大いに貢献しており,感謝したい旨述べた。また,ルワンダは経済成長や社会変革について日本の経験から学びたく,特に貿易,投資を強化し,民間セクターを育成したいと考えており,この分野でも人的資源の管理等に関し日本との関係を強化したい旨述べた。

3 ンサンゼ・ブルンジ外務・国際協力大臣

  • (1)岡田大臣から,ブルンジが多くのPKO要員を派遣し,アフリカの平和構築に貢献していることを評価する,国家再建,平和構築のためのブルンジの努力を日本としても引き続き積極的に支援していきたい旨述べた。また,6月の大統領選挙をはじめとする選挙プロセスを我が国としても支援している,民主化や平和の定着のための重要なステップであり,是非とも選挙を成功させてほしい旨述べた。
  • (2)ンサンゼ大臣から,日本が多くのプロジェクトを通じてブルンジの国家再建に貢献していることに感謝する,経済は長年危機的な状況にあったが,今は経済成長に向け努力しており,特にインフラやエネルギー,農業,教育,気候変動対策等の分野で支援を必要としている旨述べた。また,気候変動問題について,コペンハーゲン合意については,日本からの要請を踏まえ,今次会合への出発直前に同意表明文書に署名を行ってきたところである旨述べた。また,来る選挙については民主的で透明な,かつ国際社会が満足するようなものとなるよう,すべての必要な措置を講じている,紛争から抜け出し,民主化を達成した国の良い例となるよう最大限努力する旨述べた。

4 スケレマニ・ボツワナ外務・国際協力大臣

  • (1)岡田大臣から,ボツワナは豊富な鉱物資源を有しており,大きな潜在的可能性を有する両国の経済関係をさらに発展させたい,ボツワナを含む中進国への円借款供与の対象分野を広域インフラ,農業及び農村開発にも拡大したところであり,ボツワナからの要請についても検討していきたい旨述べるとともに,本年カーマ大統領を訪日招待しており,二国間関係のさらなる強化の機会とすべく,実現を期待している旨述べた。また,地上デジタルテレビ放送について、日伯方式の採用につき検討を要請した。
  • (2)スケレマニ大臣から,日本からの支援に感謝の意を表するとともに,日本の円借款供与の対象分野拡大を歓迎する,ザンビアとの国境のカズングラ橋建設の実現に向けて協力をお願いしたい,また,カーマ大統領の訪日招請については,将来に向けた関係強化のよい機会とすべく,実現に向けて日程を調整していきたい旨述べた。また,地デジ方式については,南部アフリカ地域内の動向も踏まえ検討していきたい旨述べた。

5 ヨダ・ブルキナファソ外務大臣

  • (1)岡田大臣から,コンパオレ大統領は,TICAD I~IVのすべてに出席したアフリカ唯一の元首であり,我が国の対アフリカ外交に対するブルキナファソの一貫した協力に感謝する,また,アフリカの紛争調停と平和構築におけるブルキナファソのイニシアティブを高く評価する旨述べるとともに,民間ビジネス強化の観点から,タンバオ・マンガン鉱山の三井物産による開発権の獲得についてヨダ大臣の協力を要請した。
  • (2)ヨダ大臣から,海外青年協力隊を含め,日本からの協力を高く評価している,コンパオレ大統領がTICADに皆勤なのもまさに日本の役割の重要性を認識しているからである,日本とは安保理改革や核不拡散等についても協力を強化していきたい旨述べた。また,タンバオ鉱山の案件についてもテークノートした,様々な要素を踏まえながら検討したい旨述べた。

6 ブリト・カーボヴェルデ外務大臣

  • (1)岡田大臣から,カーボヴェルデ(以下,「カ」)が民主化を定着させつつ,2007年に後発開発途上国(LDC)を卒業し,中進国への移行に向けた取組を行っていることを評価する,貿易・経済面を含め協力関係をさらに強化していきたい旨述べた。
  • (2)ブリト大臣から,「カ」は,資源がないにもかかわらずLDCから卒業したアフリカで最初の国である,「カ」としてはその地理的利点や海洋を利用しつつ,地域の漁業基地や海洋調査の拠点となりたいと考えており,この分野での日本との協力も強化したい旨述べた。また,小国である「カ」にとっては地域の平和・安全保障が重要であり,その観点からギニアビサウ情勢及び西アフリカ地域での麻薬問題の拡大を懸念している,この問題について日本をはじめとする国際社会の支援を期待している旨述べた。気候変動問題については,コペンハーゲン合意への賛同を表明したところである旨述べた。

7 エサオ・トーゴ外務・地域統合大臣

  • (1)岡田大臣から,5月3日にトーゴでニャシンベ大統領の大統領就任式が予定されているにもかかわらず今回の閣僚会合に出席頂き感謝する,また,捕鯨問題に関するトーゴの従来からの協力,及び先般のシー・シェパードの妨害船船籍剥奪に対して謝意を表した。また,トーゴに対しては,今後,教育及び水・衛生分野等を中心に支援を実施していく旨述べた。
  • (2)エサオ大臣から,ニャシンベ大統領が日本との関係を重視していることは,大統領就任式にもかかわらず今回の会合に自分を派遣したことに表れている,捕鯨問題を含め国際場裡における日本との関係をさらに強化したい旨述べた。農業や保健,自然災害等日本のこれまでの支援に深く感謝する,TICAD IVの公約が守られていることを評価しており,今後もトーゴに対する支援が継続,強化されることを期待する旨述べた。

8 シライ・ジブチ国際協力担当大臣

  • (1)岡田大臣から,自衛隊・海上保安庁による海賊対処活動へのジブチの多大な支援に感謝する,アフリカの角地域の安定勢力であるジブチとの関係を戦略的に強化していきたく,この観点からゲレ大統領を訪日招待したい旨述べた。ジブチに対しては,水,エネルギー,沿岸警備隊強化の3つの重点分野を中心に協力を進めていく,また,海賊問題の解決には,ソマリアの安定や周辺国の海上取締能力向上という多層的な取組が重要であり,日本は国際海事機関(IMO)を通じジブチの訓練センター設置支援を行う旨述べた。
  • (2)シライ大臣から,両国間で戦略的パートナーシップが強化されていることは喜ばしく,日本からの支援に感謝するとともに,自衛隊等が円滑に活動できるよう必要なすべての支援を引き続き提供したい旨述べた。また,ゲレ大統領の訪日招待に感謝するとともに,今回のTICAD会合が大きな成果をもたらすことを確信している,日本がアフリカの経済・社会発展に関心を示し,努力を払っていることを高く評価する旨述べた。

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岡田外務大臣の南アフリカ訪問及びTICAD閣僚級フォローアップ会合出席 |  目次へ戻る