岡田外務大臣

岡田外務大臣の沖縄訪問(概要)

平成21年12月5日

 12月4日~5日、岡田外務大臣は、武正外務副大臣とともに沖縄を訪問し、地方公共団体首長(仲井眞県知事、伊波宜野湾市長、儀武金武町長)並びに財界、労働界、言論界の関係者と意見交換するとともに、キャンプ瑞慶覧及びキャンプ・ハンセンを視察して在沖縄米軍四軍調整官・第3海兵機動展開部隊司令官ロブリング中将と意見交換したところ、概要以下のとおり。なお、これらの他に、政務日程として、名護市にて地元住民との対話集会を、糸満市にて懇談会を行った。

1.記者会見

 5日夕に行われた記者会見における大臣の主な発言は次のとおり。

(1) 今回の訪問でいろいろな方のお話を伺うことができたので、参考にしたい。

(2) 普天間飛行場移設問題については、

(イ)日米同盟は現在の安保環境にかんがみ非常に重要であり、同盟が弱まる状況は外務大臣として作り出したくない。日米同盟の現状に非常に強い危機感を持っている。他方で沖縄の負担は減らしたい。外務大臣として何とか打開しなければならないと思う。自分が訪米するのは吝かでないが、まずは日本政府としてどうするか方向性をきちんと決めなければならない。

(ロ)自分としては、できるだけ年内に結論を出したいが、最終的に決めるのは総理である。難しい状況の中で政治決断しなければならないかもしれない。総理もいろいろと考えておられると思う。名護市長選挙については、中身に立ち入ることを述べない方が良いと思うが、一般論としては時間が経てば経つほど難しくなると思う。

(ハ)名護市の対話集会では、自分より、既に日米両政府で合意したことを白紙に戻すのは容易ではないと述べた。沖縄の民意が今回の訪問ですべて計れるとは思わないが、辺野古への移設は避けたほうが良いとの意見があったことは今回改めて感じた。

(ニ)伊波宜野湾市長は、沖縄の海兵隊の殆どがグアムに行くと米国のグアム環境アセス文書に書いてあると述べていたが、自分の理解は8000人は行くが半分以上は残る。ヘリも、グアムに来るものがすべて沖縄から行くとは限らない。但し、市長のご発言であるから、どちらの読み方がより現実に近いか検証する。

(3) 県知事とはこれからお会いして、日米協議の状況を説明する。

(4) 沖縄タイムス社長との意見交換はオフレコの前提であったのに、共同通信で報じられている。外務省と沖縄タイムスしか出席していないので、沖縄タイムス側から出たとしか思えない。基本的なことで信頼関係にかかわる。沖縄タイムス側に説明を求める。

2.個別行事

(1) 仲井眞県知事との意見交換は、非公式・小人数形式で行われた。

(2) 伊波(いは)宜野湾市長との意見交換では、市長から、米国の資料には沖縄の海兵隊の殆どがグアムに移駐する計画が書かれているとして、普天間飛行場もグアム移転を探求すべしとの主張がなされた。これに対し、大臣より、普天間飛行場の危険性を一日も早く除去することをスタートに考えてきた、同飛行場を抱える宜野湾市の市長がグアムに移転させるべきだとか、移設先の決定を急がないといったメッセージを発するのは結果として普天間飛行場の現状がより長く続くことにつながりかねないと指摘した。

(3) 儀武(ぎぶ)金武町長との意見交換では、町長より、キャンプ・ハンセンに係る諸問題(前4日県警が地検に送致した金武町「流弾」事件、陸軍複合射撃訓練場 (ATRAC)問題、日米地位協定の問題を含む。)について説明するとともに、一方で町と米軍とは日常的な交流を行うよう努めており、その成果もあってか最近1~2年は嘗てあったような深刻な事件は発生していないとの説明があった。

(4) キャンプ瑞慶覧については、部分返還可能な区域に係る米側説明を聴取するとともに、使用状況(住宅等)を視察した。キャンプ・ハンセンについては、金武町「流弾」事件に係る米側の立場につき説明を受け、米軍の県警との捜査協力関係に問題がなかったか否かといった点につき議論するとともに、レンジ4の陸軍複合射撃訓練場(ATRAC)を視察した。また、読谷村における引き逃げ被疑事件について、大臣より改めて県警の捜査への協力を求めたところ、ロブリング四軍調整官より、米軍として協力する、ただし日本の法律上できないことはできない旨述べた(注:刑事訴訟法に基づき逮捕されていない被疑者が警察への出頭に応じなくても良い権利を有することを念頭に、被疑者(弁護人)が任意の取調べに応じないとしている以上、米軍が強制的に被疑者を警察に連れていくことはできないとの趣旨と思われる。)。

(5) その他、財界(知念沖縄県経営者協会会長、當眞(とうま)沖縄経済同友会代表幹事)、労働界(仲村連合沖縄会長)、言論界(岸本沖縄タイムス社長)関係者との間で基地問題その他につき意見交換した。

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