7月24日(土曜日),ラオスを訪問中の岡田外務大臣は,同日18時半(日本時間20時半)から約1時間半,トンルン・ラオス副首相兼外相との間で日ラオス外相会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。また,会談終了後,ラオスのWTO加盟に関する日ラオス二国間交渉妥結にかかる署名式が行われました。
1 二国間関係
- (1) 両外相は,本年は日ラオス外交関係樹立55周年であり,日ラオス関係,特に首脳間で合意した「包括的パートナーシップ」を更に推進することで一致しました。また,経済,経済協力,安全保障,防衛を含めた幅広い分野における両国関係の強化で一致しました。
- (2) 両外相は,最近の投資協定の締結・発効や,投資環境整備のための日ラオス官民合同対話の設置及び進捗,ビエンチャン日本人商工会の発足等を受けて,日本の投資家のラオスの関心が非常に高まっており,投資環境整備の重要性,また関連の人材育成にかかる協力について両国間で緊密に意見交換を行い,協力を強化していくことで一致しました。
- (3) 以上の他,トンルン副首相兼外相から,日本のこれまでの経済協力は,ラオスの貧困削減,社会経済発展のために大いに貢献しており,これに感謝する,ラオスの地方にあってもインフラ整備,橋梁,学校建設等で日本は支援して頂いており,これらの支援はラオス国民は皆知っている旨述べました。
2 環境・気候変動
- (1) 岡田大臣から,先日の第3回日メコン外相会議においてそのコンセプトを発表した「緑あふれるメコン(グリーン・メコン)に向けた10年」イニシアティブの下で,ラオスに対し,引き続き,環境・気候変動分野における支援をしていきたい,また,関連の人材育成協力でも協力していきたい旨発言。これに対し,トンルン副首相兼外相から,日本の環境・気候変動分野でのラオスに対する支援に感謝する,ラオス政府は,ラオスの森林被覆率を2020年までに70%までに引き上げるとの目標を設定しており,この目標のために種々努力をしている。これについては,ラオス国内での連携も重要だが,国際的な協力も得たい旨述べました。
- (2) また,岡田大臣から,本年10月に名古屋で開催予定の生物多様性条約締約国会合(COP10)及びその直前に開催される森林保全と気候変動に関する閣僚級会合へのラオスの参加及び協力を呼びかけました。これに対し,トンルン副首相兼外相から,COP10及び森林保全と気候変動に関する閣僚級会合にラオスは代表団を派遣する,本件について日本に協力していきたい旨述べました。
- (3) 岡田大臣から,メコン河の淡水イルカ保護に関する協力を進めていきたい旨述べ,トンルン副首相から,淡水イルカ保護に関する日本からの協力に感謝する,カンボジアとの間でも協力可能であり,3か国で協力していきたい旨述べました。
3 地雷・不発弾
- (1) 岡田大臣から,ラオスにおいて地雷及び不発弾の問題は非常に重要な問題であると共に,開発上の大きな制約となっていると承知しており,我が国はこの分野においてこれまで10億円以上の支援を行ってきている,今後も支援を継続したい旨述べました。これに対し,トンルン副首相兼外相から,日本の支援に対する謝意の表明がありました。
- (2) 岡田大臣から,本年11月にラオスで開催予定のクラスター弾に関する条約第1回締約国会議を日本は重視しており,本件会議に日本政府からハイレベルを派遣したい旨述べました。トンルン副首相兼外相から,岡田大臣の発言に感謝する,ラオスは本件会議の主催国として最善を尽くしていきたい旨述べました。
- (3) 岡田大臣から,対人地雷禁止条約(オタワ条約)へのラオスの早期加盟を期待したい旨述べたのに対し,トンルン副首相兼外相から,オタワ条約への加盟については種々問題があるが,加盟に向けた進捗について日本政府に説明していきたい旨述べました。
4 地域・国際情勢
- (1) トンルン副首相兼外相から,ラオスは日本の安保理常任理事国入りを支持してきており,今後も支持していく旨述べたのに対し,岡田大臣から,今後安保理改革を進めていく中でラオスと協力していきたい旨述べました。
- (2) 岡田大臣から,北朝鮮の核・ミサイル問題,及び韓国哨戒艦「天安」沈没事件についての日本の立場を説明し,また,核・ミサイル問題や拉致問題について北朝鮮が前向きな対応をとることが北朝鮮にとっても利益となる旨述べました。これに対し,トンルン副首相兼外相から,朴宜春・北朝鮮外相が間もなくラオスを訪問する,朝鮮半島の平和と安定及び北朝鮮が核兵器を放棄することがラオスを含む国際社会の願いである,北朝鮮が対話の場に戻ることが重要である,自分(トンルン副首相兼外相)は朴外相との間で誠実に意見交換を行っていきたい旨述べました。