【ポイント】
- 岡田外務大臣は,24日(土曜日)夕方から25日(日曜日)にかけ,ラオスを訪問。
- トンルン副首相兼外相と日ラオス外相会談を行い,本年3月に首脳間で合意した包括的パートナーシップの一層の強化,投資環境整備,環境・気候変動及び地雷・不発弾等の国際場裡の課題における協力強化につき協議。
- ラオスのWTO加盟に係る日ラオス二国間交渉の終結に関する署名式を実施。
- チュンマリー国家主席兼党書記長及びブアソーン首相を表敬。また,ラオスにおける日本関連友好団体との懇談を実施。
- メコン河の視察及びメコン河委員会等の生物多様性保全に関する専門家との意見交換。
- 現地日系企業関係者との間で,ラオスの投資環境整備につき意見交換。
- 我が国ODAによる協力現場(青年海外協力隊の活動,我が国NGOとの連携及び環境・気候変動に係る支援)の視察及び関係者との意見交換。
1 日ラオス外相会談(24日18時30分~20時:以下すべて現地時間)
日ラオス外相会談
ラオスのWTO加盟に係る日ラオス
二国間交渉の終結に関する署名式
(1)二国間関係
- ア 日ラオス外交関係樹立55周年に当たる本年,両国首脳間で合意した包括的パートナーシップを一層強化していくことで一致。経済,経済協力,安全保障,防衛を含めた幅広い分野における両国関係の強化で一致。
- イ 経済関係に関し,ラオスにおける投資環境整備は重要であり,関連の人材育成も含め,両国間で緊密に意見交換を行い,協力を強化していくことで一致。
- ウ トンルン副首相兼外相から,日本の経済協力はラオスの貧困削減,社会経済開発に大いに貢献しており,感謝する旨表明。
- エ 会談終了後,両外相の立ち会いの下,宮下駐ラオス大使とポンサワット外務副大臣との間で,ラオスのWTO加盟に関する二国間交渉終結に係る文書に署名。
(2)環境・気候変動
- ア 岡田大臣から,「グリーン・メコンに向けた10年」イニシアティブの下,ラオスの環境・気候変動問題への取組を積極的に支援していく旨表明。また,本年10月に予定される生物多様性条約締約国会合(COP10),森林保全と気候変動に関する閣僚級会合でのラオスの参加及び協力を要請。これに対し,トンルン副首相兼外相から,両会合にラオスから代表団を派遣し,日本と協力していきたい旨表明。
- イ 岡田大臣から,メコン河の淡水イルカ保護に関する協力を進めていきたい旨表明。これに対し,トンルン副首相兼外相から,協力に感謝した上,カンボジアも加えた3か国で協力していきたい旨発言。
(3)地雷・不発弾
- ア 岡田大臣から,地雷・不発弾はラオスにとり非常に重要な問題であると同時に開発上の大きな制約ともなっており,日本として,今後も同分野への支援を継続していく,11月にラオスでクラスター弾に関する条約第1回締約国会議に日本政府からハイレベルを派遣する旨表明。これに対し,トンルン副首相兼外相から,日本の支援に感謝する,ラオスは本件締約国会議の主催国として最善を尽くしていく旨発言。
- イ 岡田大臣から,対人地雷禁止条約(オタワ条約)へのラオスの早期加盟を期待したい旨述べたのに対し,トンルン副首相兼外相から,加盟に向けた進捗について日本政府に説明していきたい旨表明。
(4)地域・国際場裡における協力
- ア トンルン副首相兼外相から,ラオスは日本の国連安保理理事国入りを今後も支持していく旨表明。岡田大臣から,今後安保理改革を進めていく中でラオスと協力していきたい旨発言。
- イ 岡田大臣から,北朝鮮の核・ミサイル問題,及び韓国哨戒艦「天安」沈没事件についての日本の立場を説明。トンルン副首相兼外相から,近々ラオスを訪問する朴宜春・北朝鮮外相との間で誠実に意見交換を行っていきたい旨発言。
2 ブアソーン首相表敬(25日 8時30分~9時05分)
- (1) 双方は,本年の日ラオス外交関係樹立55周年の機会に,日ラオス間の「包括的パートナーシップ」を更なる高みに上げるため,様々な分野での協力や幅広いレベルの交流を一層強化することで一致。
- (2) 岡田大臣から,菅政権においてもラオス及びASEAN重視の政策に変わりはない,ASEAN連結性強化,環境・気候変動に関し,ラオスへの協力を引き続き行っていきたい旨発言。
- (3) ブアソーン首相から,日本によるこれまでの支援に感謝する,2011年からの第7次社会経済開発5か年計画では貧困問題の解決,持続可能な社会経済開発を目標としており,日本からの支援を今後もお願いしたい旨発言。岡田大臣から,ラオスの方針は日本の援助政策に沿ったものであり,引き続き支援していきたい旨発言。
- (4) 地域・国際情勢に関し,双方は,東アジア地域協力,ミャンマー,朝鮮半島,地雷・不発弾,国連安保理改革について意見交換。
3 チュンマリー国家主席兼党書記長表敬(25日 9時10分~9時40分)
- (1) 岡田大臣から,本年3月のチュンマリー国家主席の公式訪日以降,日ラオス関係は国交樹立以降の55年間で最も高まっている状況にある,日本として両国関係の更なる強化に向けて努力していきたい旨発言。
- (2) チュンマリー国家主席から,自分(チュンマリー国家主席)が訪日した際に発表した共同声明において,日ラオス関係が「包括的パートナーシップ」に進化したことが明記されたことは歴史的なことであり,大変うれしく思う旨発言。
- (3) チュンマリー国家主席から,日本のこれまでの支援に感謝する,第7次社会経済開発5か年計画を踏まえ,今後も日本からの支援を期待する,また,文化遺産保護,保健・衛生,観光促進といった分野での協力も一層強化していきたい旨発言。
- (4) 岡田大臣から,日本国民の税金を使っている支援がラオスで大いに役立っていることをうれしく思う,環境と開発の両立については,日本の経験も共有していきたい,また,民間投資の呼び込みのため,投資促進のための基盤整備で協力していきたい旨発言。
4 メコン河視察(25日10時~11時半)
岡田大臣は,船上からメコン河の様子や周辺住民の生活を視察し,メコン河の生物多様性保全に関する現状と課題につき,ラオス政府及びメコン河委員会の関係者から説明を受け,意見交換を行った。
5 日系企業関係者との懇談(25日昼)
岡田大臣は,現地日本人商工会議所メンバーと懇談を行い,ラオスにおける日系企業の活動の現状,ラオスで事業を行う際の諸問題等につき率直な意見交換を行った。
6 我が国ODA及びNGO活動現場の視察(25日午後)
岡田大臣は,青年海外協力隊員の活動現場(シーコッタボン郡病院:助産師),我が国NGOとODAとの連携により実施中の職業訓練センター及び子ども教育開発センター,並びに我が国の無償資金協力及び技術協力による気象監視システム整備関係プロジェクトを視察し,ODAの更なる有効活用に向け,関係者との意見交換を行った。
シーコッタボン郡病院視察
職業訓練センター視察
子ども教育開発センター視察
気象監視システム整備関係プロジェクト視察
7 ラオスにおける日本関連友好団体との懇談(25日18時30分~20時)
岡田大臣は,ポンメーク保健大臣兼ラオス日本友好協会会長,カムシン・ラオス日本友好議員連盟会長及びセンドゥアン教育副大臣等の日本関連友好団体との懇談を行い,様々な分野・レベルにおける日ラオス関係の増進に向けて意見交換を行った。