岡田外務大臣

第三回日中ハイレベル経済対話の概要と成果

平成22年8月28日

  • (写真)第三回日中ハイレベル経済対話1
  • (写真)第三回日中ハイレベル経済対話2
  • (写真)共同記者発表

 28日、北京において、第三回日中ハイレベル経済対話を開催。

 日本側出席者は岡田克也外務大臣(議長)、野田佳彦財務大臣、山田正彦農林水産大臣、直嶋正行経済産業大臣、小沢鋭仁環境大臣、自見庄三郎内閣府特命担当大臣(金融)、平岡秀夫内閣府副大臣(経済財政政策担当)、内藤正光総務副大臣、三日月大造国土交通副大臣の合計9名の大臣及び副大臣。

 中国側出席者は王岐山(おう・きざん)国務院副総理(議長)の他、楊潔チ(よう・けつち)外交部長、張平(ちょう・へい)国家発展改革委員会主任、謝旭人(しゃ・きょくじん)財政部長、陳徳銘(ちん・とくめい)商務部長、李毅中(り・きちゅう)工業信息化部長、周生賢(しゅう・せいけん)環境保護部長、韓長賦(かん・ちょうふ)農業部長、支樹平(し・じゅへい)国家質量監督検験検疫総局局長の部長クラス8名、畢井泉(ひつ・いせん)国務院副秘書長、陳健(ちん・けん)商務副部長、易綱(い・こう)人民銀行副行長、張永利(ちょう・えいり)林業局副局長の副部長クラス4名。

 本件対話の概要と主な成果は以下のとおり。

1.総論

  1. (1) 日中経済関係の相互依存が深化し、また、地域及び世界の経済においてますます重要な地位を占めるようになっている現状を踏まえ、世界経済の回復への対応、日中二国間の互恵協力とその課題、グローバル・地域における協力とその課題に関して、双方の経済担当閣僚による率直な意見交換が行われ、相互理解を深め、多くの点で具体的な協力について一致。
  2. (2) 今回の対話により、日中の戦略的互恵関係が経済面で強化されたことを歓迎。双方は、戦略的互恵関係を更に充実させ、具体化させるための努力を継続することを確認。また、日中双方が、地域と国際社会において重要な責任を果たしていくことで一致。

2.世界経済の回復への対応

 双方は、世界の「成長センター」であるアジアに位置し、世界全体のGDPの約17%を占める日中両国がそれぞれ安定した持続的経済成長を遂げることにより、世界経済の回復に大きく貢献することで一致。日本は「新成長戦略」と「財政運営戦略」を政治の強いリーダーシップで実現。中国は内需拡大と経済構造の改革を柱とする政策を着実に実施していくことを確認。日中双方は、今後とも互恵的な経済関係を緊密化し、地域と世界の経済発展に努力していくことで一致。

3.日中二国間の互恵協力とその課題

(1)グリーンエコノミー

 日中の省エネ・環境保護の分野でのこれまでの協力の進展を評価するとともに、今後とも協力を深めていくことに改めて一致。
10月に東京で開催する第5回「日中省エネ・環境総合フォーラム」の成功に向け、共に努力をしていくことで一致。また、グリーン経済と低炭素技術分野のモデルプロジェクト協力等の省エネ・環境について、積極的に推進していくことで一致。
大気、水、廃棄物などの環境汚染対策、温室効果ガス排出と環境汚染の対策を同時に行うコベネフィットアプローチ、黄砂、海洋ごみの発生源対策、エコタウンに関する都市間協力などの協力の進捗を評価し、一層の推進を確認。
 中国側は、唐山市の曹妃甸エコ工業パークについて期待を表明。日本側は、政府、経済界及び関係機関から構成し、関係者間の情報伝達を円滑にする「曹妃甸官民検討グループ」を立ち上げることを決定。

(2)産業協力

 日中流通物流政策対話の定例化、日中流通対話の設置、製造・情報産業における当局間の次官級定期協議の設置、情報通信協力の推進に一致。また、コンテンツ分野の協力と規制緩和を促した。

(3)金融協力

 両国の金融当局の二国間及び多国間での連携強化を評価し、金融市場の安定と発展等での更なる協力を確認。
金融機関の相互進出や業務範囲拡大の進展も評価。預金・貸出比率についての邦銀に対する柔軟な対応、上海証券取引所へのわが国上場投資信託の上場、中国への投資機会の拡大、外資出資比率規制の緩和による資本提携の進展、自動車第三者賠償責任保険の外資への開放を要請。

(4)ビジネス環境の改善

 日本側から、日本の産業界の要望を踏まえ、法制度の透明性確保、レアアースの輸出規制、自主イノベーション製品認定制度、自動車関連政策、知的財産の保護などの問題を中国側に提起、中国でのビジネス環境の整備を求めた。また、情報セキュリティ製品に関する対話の実施を確認。更には頻発する労働争議についての関心を伝達。
 税関協力の推進で一致。日中租税条約の改正に向けた作業の推進について一致。
中国側より、日本の中国進出旅行会社が中国人の訪日旅行取り扱い等について年内にも実施という意向が示されたことを歓迎。

(5)農林水産業協力の強化

 カツオ・マグロの資源管理、口蹄疫に関する共同研究、違法伐採対策について協力していくことで一致。日本側から、日本産農林水産物の輸出促進につき、改めて関心を表明。

4.グローバル・地域における協力とその課題

(1)グローバルな協力

 G20を通じた国際経済協力の重要性を認識し、ソウル・サミットに向けて、積極的に取り組むことに一致。保護主義的な動きの抑止と、WTOドーハラウンド交渉の早期妥結の重要性を確認。中国のWTO政府調達協定への高い水準での早期加入につき期待を表明。本年10月に日本で開催される生物多様性条約第10回締約国会議の成功に向けた協力を再確認。気候変動に関し、COP16の成功に向け、建設的な意見交換を実施。第三国に対する援助につき、日中の対話を進めることを確認。

(2)アジア太平洋地域の協力

日本側から、日中韓投資協定交渉を建設的に進めていくことを要請。また、日中韓FTA産官学共同研究を充実させていくことについて一致。地域金融協力を積極的に推進することを確認。日本で行われる本年11月のAPECに向けた日中の積極的協力で一致。

5.その他

(1)政府間・当局者間の覚書を作成及び署名

 日中の経済関係が幅広い分野において進展し、相互依存関係がますます深まっている結果、第三回日中ハイレベル経済対話の機会に、別添資料(PDF)のとおり、環境・省エネ、物流・流通、製造・情報産業などの分野で6つの政府間・当局間覚書が作成及び署名され、民間レベルでも1つの文書が作成されたことを歓迎。

(2)次回会合

 第四回日中ハイレベル経済対話を明年の双方の都合のよい時期に東京で開催することとした。


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