岡田外務大臣

日中外相会談(概要)

平成22年8月28日

  • (写真)日中外相会談:楊中国外交部長と握手する岡田外務大臣
  • (写真)日中外相会談

 中国を訪問中の岡田外務大臣は,28日10時30分過ぎ(日本時間同11時30分過ぎ)から約1時間15分,楊潔チ・中国外交部長との間で会談を行い,引き続き11時50分過ぎ(日本時間同12時50分過ぎ)から約1時間,楊部長主催の昼食会に出席したところ,概要は以下のとおり。

1 日中関係

(1)日中関係総論

  1. ア 冒頭,甘粛省における土石流被害につき,楊部長から,天皇陛下,菅総理,岡田大臣等からのお見舞い,また,日本政府からの人道的援助に感謝申し上げる旨述べた。これに対し,岡田大臣からも,改めて本件に対しお見舞い申し上げる旨述べた。
  2. イ 双方は,今後予定されている様々な国際会議の機会も捉えつつ,ハイレベルの接触を一層緊密にしていくこと,特に,本年11月の横浜APECの成功,またその際の胡錦濤国家主席の訪日に向けて緊密に協力していくことで一致。
  3. ウ 楊部長から,改めて菅総理の訪中招請があったことを受け,都合の良い時期に菅総理の訪中が実現するよう双方で調整していくことで一致。
  4. エ 楊部長から,曹妃甸プロジェクトを今後の日中協力の象徴案件にしたいとの言及があったことを受け,岡田大臣から,日本企業も本プロジェクトには高い関心を有しているので,今後のインフラ整備の計画や具体的なメリットなどについてより詳細に検討するため,日本側で官民による協議の場を設け検討していきたい旨発言。

(2)文化・人的交流

  1. ア 岡田大臣から,日中の青少年交流はますます拡大しており,メディア関係者,社会科学者等新たに700名の招へいも加え,本年の青少年交流の規模は6千人以上となる見込みである旨述べた。これに対し,楊部長から,1000名の日本青年を上海万博に招待しており,その準備が順調に進んでいる,また,本年10月の河南省での「日本週間」といった事業は非常に良いものであり,中国側も重視している旨述べた。双方は,引き続き日中の若者間の相互理解増進に努めていくことで一致。
  2. イ 双方は,本年5月来日の際に温家宝総理から提案のあった,明年の「映画,テレビ・ドラマ週間」及び「アニメ・フェスティバル」について,日中間で具体的に協議を進めていくことで一致。
  3. ウ 双方は,新日中友好21世紀委員会の第2回会合を本年10月30日から11月3日まで,新潟及び東京で開催することで合意。

(3)海洋に関する問題

  1. ア 双方は,東シナ海をめぐる問題に関し,本年5月の温家宝総理来日以降,東シナ海資源開発に関する第1回国際約束締結交渉の開始,日中海上捜索・救助(SAR)協定に関する協議の実施,及び危機管理メカニズム(防衛当局間の海上連絡メカニズム)の創設に向けた防衛当局間の協議の再開に見られるように,両国間の協議が順調に進んでいることを歓迎し,これらの協議について早期に良い結論を得られるよう努力していくことで一致。
  2. イ 岡田大臣から,最近日本側排他的経済水域(EEZ)において,中国の調査船による資源探査の可能性が高い活動が行われたが,これは日本として受け入れられない旨述べた。楊部長は,東シナ海の境界画定は未定であり,日本のEEZは受け入れていない旨応答。
  3. ウ 南シナ海をめぐる問題に関し,岡田大臣から,先月のARF閣僚会合で述べたとおり,すべての関係者が協調して諸問題を平和的に解決することを日本として支持する旨述べたのに対し,楊部長から,本件は二国間の係争であり,二国間の問題として協議していくとの中国側の立場を説明。

(4)中国の軍事力に関する問題

 岡田大臣から,中国の軍備増強や国防政策の透明度の問題について問題提起。これに対し,楊部長から,中国の国防政策についてはこれまで説明してきているが,心配の必要はない旨応答。

2.地域と国際の問題

(1)北朝鮮

  1. ア 岡田大臣から,六者会合について,韓国哨戒艦沈没事件を受けた韓国の国民感情を踏まえれば,何事もなかったかのように六者会合を再開することは困難である旨述べた。
  2. イ 楊部長から,北朝鮮は経済発展に強い関心を有している旨紹介したのに対し,岡田大臣から,北朝鮮が経済発展に関心を有しているのであれば,各国が国連安保理決議による制裁を解除できるように北朝鮮が努力する必要がある旨指摘。
  3. ウ 双方は,北朝鮮をめぐる問題について,今後引き続き緊密に意思疎通することで一致。
  4. エ また,岡田大臣から,金正日国防委員長の訪中の報道に関し事実関係を照会したが,楊部長からは確定的な発言はなかった。

(2)東アジア地域協力

 双方は,日中韓FTAを含むアジア太平洋地域における経済連携や東アジア共同体構想を含む東アジア地域協力について,事務当局間での協議を強化することで一致。

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