平成21年1月11日
中曽根外務大臣は、1月11日(土曜日)、ラオスを訪問し、トンルン副首相兼外相との会談(1時間15分程度)等を行ったところ、概要は以下のとおりです。
(1)冒頭10分程度、少人数での会談が行われ、トンルン副首相兼外相より、中曽根大臣のラオス訪問を歓迎する旨述べたのに対し、中曽根大臣より、週末にもかかわらず自分(中曽根大臣)の訪問を暖かく受け入れてくれたことに感謝する、自分は参議院ASEAN議員交流推進連盟会長として、ASEAN及びメコン地域の発展のために尽力してきた旨述べました。また、中曽根大臣より、本年は日メコン交流年ということで、日メコン交流年バッヂをトンルン副首相兼外相に手渡し、同副首相はその場で右バッヂを着用しました。
(2)その後、全体会合が行われ、以下のとおり意見交換を行いました。
(イ)冒頭発言
中曽根大臣より、自身として初めてラオスを訪問できて嬉しい、昨年5月のチュンマリー国家主席訪日を始めとするラオス要人の訪日は成功を収め、日ラオス間の全面的な協力関係はあらゆるレベルで深化・拡大している、今後ともメコン地域の安定と発展に重要な役割を担うラオスの国造り、安定的・持続可能な発展を支援していく方針に変わりはない旨述べました。
トンルン副首相兼外相より、ラオス政府及び国民を代表して、中曽根大臣の訪問を歓迎する、ブアソーン首相から麻生総理に対するメッセージとして、麻生総理のラオス訪問を招請したい、また、2010年は日ラオス外交関係樹立55周年であり、ハイレベルの交流を是非行いたい旨述べました。
(ロ)経済協力
中曽根大臣より、昨年チュンマリー国家主席と福田総理(当時)が発出した「環境・気候変動に関する共同発表」をふまえた気候変動対策に関する協力案件を形成していく、また、昨年8月のラオスにおけるメコン河洪水被害の復旧・復興支援のための技術協力を行う旨述べました。
これに対し、トンルン副首相兼外相より、我が国の支援に対する深甚なる感謝が表明され、供与された援助を最大限有効に使っていきたい旨述べ、また、日本からのメコン河洪水被害にかかる支援に対し謝意の表明がありました。
また、同副首相より、東南アジア競技会(SEAゲーム)のための武道館をラオスに建設するための日本の支援案件(6億円)に対する謝意の表明があり、中曽根大臣より、本件武道館を早期に建設したい、また、1月末にラオスから武道関係者を招待する予定である旨述べた。また、今般署名するノン・プロジェクト無償資金協力(12億円)に対してもトンルン副首相兼外相より謝意の表明がありました。
(ハ)貿易・投資促進
トンルン副首相兼外相より、日ラオス二国間では、政治レベルの関係のみならず、両国のビジネスマンの往来及び日本からのラオスに対する投資の拡大を希望している旨述べました。
これに対し、中曽根大臣より、良好な二国間関係を更に増進するためには貿易・投資関係の拡大が重要である旨述べ、両外相は、昨年8月に発効した日・ラオス投資協定の第1回合同委員会を本年春に開催することで一致しました。
また、中曽根大臣より、昨年12月の投資促進のための日ラオス官民合同対話第2回会合でラオス政府が発表した投資環境改善のための「行動計画」の着実な実施に期待する、日本側はオール・ジャパンとしてラオスの投資環境改善に向けた取組を支援していく旨述べました。
(ニ)日メコン協力
トンルン副首相兼外相より、日メコン交流年を盛り上げるため、ラオスは様々なプロジェクトを考えている、特に日メコン女性議員会議を主催したい旨提案があり、中曽根大臣は右提案を歓迎する旨述べました。
トンルン副首相兼外相より、カンボジアから本年に主催したいとの提案があった第2回日メコン外相会議について、ラオスとしても右提案を支持しており、自分(トンルン副首相兼外相)も出席したい旨述べました。これに対し、中曽根大臣より、第2回メコン外相会議については、日程等を今後調整しつつも、ラオスを含むメコン各国と協力して成功させたい旨述べました。
(ホ)不発弾処理、クラスター弾に関する条約
中曽根大臣より、昨年末にラオスがクラスター弾に関する条約に署名を行ったことを高く評価し、会談後、不発弾処理のため草の根・人間の安全保障無償資金協力(7000万円)への署名を行うことに触れた上で、今後もラオスにおけるクラスター弾を含む不発弾処理事業への支援を行っていく旨述べました。
また、中曽根大臣より、昨年12月3日にオスロで行われたクラスター弾に関する条約の署名式に自分(中曽根大臣)も参加し、同条約への署名を行ったが、同条約が一日も早く発効するよう希望しており、日本として関連の支援を行っていきたい旨述べました。これに対し、トンルン副首相兼外相は中曽根大臣の考えに同意する旨述べました。また、同条約への未署名国に対し協力して働きかけていくことで双方が一致しました。
(ヘ)北朝鮮問題
中曽根大臣より、最近の日朝関係について説明を行った上、日本として、核、ミサイル、拉致の問題を包括的に解決し、過去の問題を清算して、日朝国交正常化を目指したいというのが基本的な立場であるが、現在はそれに向けた具体的な動きはない旨述べました。
これに対し、トンルン副首相兼外相より、拉致被害者及びその家族に対し心より同情申し上げる、拉致は許されない行為である、被害者及びその家族の思いに心から共感する旨述べました。また、同副首相より、ラオスは北朝鮮と伝統的に友好関係を有しているが、これを踏まえつつ、北朝鮮が国際社会により一層歩み寄ることを期待している旨述べました。
会談終了後、両国外相は、ノンプロジェクト無償資金協力(12億円)に係る交換公文への署名及び不発弾処理のため草の根・人間の安全保障無償資金協力(約7000万円)に係る署名への立ち会いを行いました。
この他、中曽根大臣は、本年ラオスが主催するアジア太平洋議員フォーラム(APPF)総会歓迎レセプションへ出席し、サイソムポーン・ラオス国民議会副議長とともに祝辞を述べました。