
ASEAN+3外相会議(概要)
平成21年7月22日
7月22日8時半から約1時間半、ASEAN+3外相会議が開催されたところ、概要は以下のとおり。
1.地域国際情勢
(1)北朝鮮問題
中曽根大臣より、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射は地域の平和と安定の脅威であり、容認できないと述べ、国際社会が安保理決議を着実かつ全面的に実施することの重要性を強調した。また、六者会合を通じた解決を目指すとともに、国際社会が安保理決議を着実かつ全面的に実施することが重要であり、ASEAN+3でも連携して対応したいと述べた。
各国より、国連安保理決議違反を構成する核実験・ミサイル発射を非難するとともに、関連の国連安保理決議の完全な履行、六者会合の早期再開を求める旨の発言があった。また、朝鮮半島の安定が東南アジアの平和と安定にとっても重要との発言があった。
(2)ミャンマー
中曽根大臣より、スー・チー女史の訴追に対する深い懸念を表明し、ミャンマーがバン国連事務総長の働きかけを真摯にとらえ、国際社会に祝福されるようすべての関係者を含む形で民主化プロセスを進めることを期待すると述べた。
いくつかの国から、スー・チー女史の解放を含む民主化を進めていくことが重要との発言があった。
(3)インドネシアにおける爆弾事件
中曽根大臣を初め、いくつかの国より、17日にジャカルタで発生した爆弾テロ事件の犠牲者の家族に対する哀悼を表明するとともに、テロ対策の強化の必要性を指摘した。
2.ASEAN+3協力
(1)食料安全保障
- 中曽根大臣より、東アジアでも食料安全保障は今なお喫緊の課題であると述べ、我が国の貢献として、ASEAN内での食糧援助や農業インフラ整備支援、ASEAN域内の食料需給情報に関するネットワークの構築及び米備蓄に関するパイロット事業への貢献について説明した。
- また、中曽根大臣は、世界全体の食料生産の拡大には官民の農業投資の増大が必要であり、その際には、透明性と説明責任が不可欠であると述べ、、我が国がG8ラクイラ・サミットで提案した、責任ある国際農業投資の促進のための協議体の設置について、ASEAN+3各国の参加・協力を呼びかけた。
- 各国より、食料安全保障の重要性の指摘や、東アジア緊急米備蓄事業を強化する必要性について言及があった。また、G8がラクイラで発表した農業開発支援に対する期待が表明された。
(2)金融協力
- 中曽根大臣は、チェンマイ・イニシアティブ・マルチ化の年内実施、アジア債券市場育成イニシアティブなどのASEAN+3での金融協力に対する我が国の実質的な貢献について説明した。
- また、中曽根大臣は、危機の際に最大6兆円規模の円を融通すること等の新たな貢献を始め、我が国が、引き続きアジアの金融市場の安定に貢献していく考えを述べた。
- 世界経済・金融危機からの回復のための対策が重要であるとの点で一致。各国より、特にチェンマイ・イニシアティブ・マルチ化及びアジア債券市場育成イニシアティブにおける協力推進の重要性が指摘された。
(3)保健協力
- 中曽根大臣は、新型インフルエンザ対策について、今後、新型インフルエンザの被害が拡大するおそれがあり、鳥インフルエンザのリスクも減じていないことから、WHO等の国際枠組みやASEAN+3の地域枠組みを活用し、情報共有を始めとする、新型インフルエンザへの備えを一層強化することが重要であると述べた。
- また、中曽根大臣は、ASEANに対する抗ウィルス剤の備蓄に関する我が国の支援について紹介した。
(4)防災
- 中曽根大臣は、自然災害は長年に渡る開発の成果を一挙に失わせ、自然環境にも深刻な損害を与える可能性があると述べ、アジアにおける防災の需要性を指摘した。また、災害の経験から培った様々な防災の手法を生かし、ASEAN+3の中でも、「災害に強い国造り」を目指して各国と協力を強めていきたいと述べた。
(5)その他
- 各国より、世界経済・金融危機への対応として、東アジアにおける貿易・投資自由化の重要性が指摘され、特に東アジア自由貿易圏(EAFTA)の促進について期待が表明された。
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