平成23年4月30日
30日(土曜日)午後4時20分頃より約70分間,ベルリン出張中の松本剛明外務大臣は,オーストラリア連邦外務大臣ケビン・ラッド閣下(The Hon Kevin Rudd MP, Minister for Foreign Affairs of Australia)と会談を行ったところ,概要以下のとおりです。
松本大臣より,東日本大震災に際する豪州の迅速かつ幅広い支援に謝意を表明し,ギラード豪州首相が外国の首脳として初めて南三陸町訪問し被災地の人々を勇気づけたことに感銘を受けた旨述べました。また,松本大臣より,今般の震災は地震,津波,原発に加え,風評被害の問題があるが,我が国は国際社会に対し最大限の透明性をもって迅速に情報を開示・提供していく旨述べました。これに対しラッド外相は,改めて哀悼とお見舞いの気持ちを表明の上,豪州は日本に対してなし得る全ての支援を行う用意がある旨述べました。また,両外相は,原子力の安全につき,IAEAにおいて緊密に協力していくことで一致しました。
(1)安全保障協力(2+2)
ラッド外相より,豪州は日本との2+2の枠組みを重視しており,次回は豪州で開催し日豪共通の戦略目標について議論を深めたい旨述べました。これに対し松本大臣は,日本も豪州との2+2を重視している,災害救援分野など議論すべき課題は多い,具体的な日程を今後調整していきたい旨応答しました。
(2)日豪EPA
松本大臣より,現在関係者が震災対応に追われているが,できるだけ早期に交渉が再開できるよう努力し,日豪EPAの妥結に向けて更に交渉を行いたい旨述べました。これに対しラッド外相より,日豪EPAによって日豪両国の経済が開放的になることは戦略的にも重要であるとの発言がありました。
(3)海上の安全
松本大臣より,シー・シェパードの妨害行為により昨年度の調査捕鯨が切り上げに追い込まれたことに遺憾の意を表した上で,捕鯨に関する意見の相違とは関係なく,こうした行為は許されない旨述べ,シー・シェパード船舶の旗国及び寄港国として再発防止に向け実効的な措置を講じるよう要請しました。これに対しラッド外相より,独立した司法当局が厳正に捜査を進めている旨応答しました。また,両外相は,良好な二国間関係が捕鯨問題によって損なわれていないとの認識を確認しました。
(1)両外相は,本日開催された核軍縮・不拡散外相会合の成果を確認するとともに,この会合は日豪両国のイニシアティブによって開始されたプロセスであり,両国が引き続き緊密に協力していくことが重要との認識で一致しました。
(2)両外相は,本年後半の東アジア首脳会議(EAS)は米国とロシアが正式に参加して開催される初めての拡大会議であり,その成功のため緊密に協力していくことで一致しました。
(3)両外相は,本年のG20サミットにおいては開発も重要な課題となるとの認識を確認の上,緊密に協力していくことで一致しました。
(4)両外相は,国連安保理改革について意見交換しました。ラッド外相からは,豪州は一貫して日本の常任理事国入りを支持しているとの発言がありました。
(5)そのほか両外相は中東情勢,フィジー情勢についても意見交換を行い,こうした重要な地域問題についても緊密に連絡を取り合っていくことで一致しました。