町村外務大臣

安保理改革に関するG4とアフリカ代表との外相会合等
(概要)

平成17年7月18日

<ポイント>

  • 7月17日(日曜日)、NY訪問中の町村外相は、17日(日曜日)、G4外相とアフリカ連合(AU)18カ国委員会代表との会合に出席した。また、G4外相とピン国連総会議長との会談、G4外相とアナン国連事務総長との会談にも参加するとともに、ピン国連総会議長及びエリアソン次期国連総会議長とも個別に会談を行った。
  • G4外相とアフリカ代表との会談では、国連・安保理改革について共通の行動を取る見通しについて議論し、G4決議案とAU決議案に多くの共通点があるとの認識に立って、相違点について議論を行った。その結果、国連常駐代表を通して、相違点を乗り越え共通の立場に到達する道を模索するメカニズムを設立することについて合意し、22日(金曜日)までに纏めることを目指すこととし、7月25日(月曜日)に再度G4+AU外相会合(場所は調整中)を開催して、その結果を評価することとなった。

1. G4外相とアフリカ連合(AU)18カ国委員会代表との会談(13時20分~15時40分)

(G4外相(アモリン伯外相、フィッシャー独外相、シン印外相、町村外相)会合を短時間行って、アフリカ諸国に対する対応振りについて議論した後、アフリカ諸国が参加して、G4外相とAU18カ国委員会代表との会談となった。アフリカからは、ナイジェリア、南アから外相、リビアから閣僚が、エジプトから副外相が、ジブチ、エチオピア、ケニア、ボツワナ、アンゴラ、ベナン、セネガル、ガンビア、コンゴ、チャド、アルジェリア、ガーナの国連常駐代表、AUの常駐オブザーバーが参加した。)

(1)町村大臣より、「今はまさに歴史的な機会であり、この機会を逃せば当面次の改革の機会は訪れない。過去60年の世界の変化を安保理に反映させ必要がある。60年前、日本は敵国であり、アフリカは植民地であった。AU決議案とG4決議案の違いはあるが、方向性は同じである。お互いが別々の案を主張すれば、3分の2の投票を得られないことになる。」、「国連改革が目的であり、その一方で安保理改革の進展は他の改革を進めることにつながるのであり、あと1週間でG4とAUの共同の案を作って相違点を埋めていってはどうか。どちらも3分の2をとれないとの事態になったら最悪の結果である。」との趣旨の発言を行い、他のG4外相よりも同様の趣旨の発言があった。

(2)アフリカ側よりは、「今は歴史的な機会であり、この機会を逃せば3~40年、同じような機会は巡ってこないであろう。今の決断を次世代に誇れるような決断にしたい。相違点は創造的に解決できるのではないかと考えており、アフリカは、今後大きな妥協を行うことができるかどうかはわからないが、これまで様々な妥協を行い、改革へのコミットをしている。アフリカとG4が別々に行動すれば共通の目的を達成することはできないが、一緒にやれば達成することができる。」との趣旨の発言が行われた。また、拒否権について、「拒否権が欲しいと言っているのではなく、拒否権を撤廃すべきであると主張しているのであり、今の常任理事国が拒否権を持っている限り、アフリカにも拒否権を与えないのは差別であると考えている。」との発言があった。

(3)こうした議論を踏まえて、G4とAUは、G4決議案とAU決議案に多くの共通点があるとの認識の下、交渉のメカニズムを作り、国連常駐代表を通じて相違点を克服する努力を探求することとし、7月25日(月曜日)に再度G4+AU外相会合(場所は調整中)を開催して、その結果を評価することとなった。

2. G4外相とピン国連総会議長との会談(11時15分~11時40分)

(1)G4外相より、ピン総会議長に対して現状評価を伺いたい旨述べたところ、同総会議長より「国連改革の必要性を強く認識しており、議長になる前に訪日招待を受けて小泉総理と会った際に述べた国連改革への決意は不変であり、国連全体の他の改革を失敗させないためにも、9月前に安保理改革についての決定を行うことが重要である。」との改革への強い決意表明があった。

(2)また、ピン総会議長より、今後の日程について、7月17日(日曜日)より急用でガボンに帰国し22日(金曜日)に戻ってくる、22日(金曜日)には9月の首脳会合の成果文書の配布が改めて行われ、27日(水曜日)及び28日(木曜日)はこの成果文書を巡っての議論が行われる予定である、更に国連総会の改革のための議論、パレスチナの壁についての緊急特別総会の日程も割かなくてはならないので、こうした様々な日程の中で議論を進めていく必要があるとの説明があった。さらに、ピン総会議長より、8月5日(金曜日)まではこちらにいるが、その後休暇を取り、22日(月曜日)に戻ってくる予定である、8月最終週には大車輪で9月首脳会合へ向けた作業をするとの説明があった。

(3)ピン総会議長より、会談の中で日本に対する言及が何度もされ、日本におけるこの問題への関心の高さを説明し、この問題が上手くいかなれば日本の世論は相当大きな影響を受けるであろうとの発言があった。

3. G4外相とアナン国連事務総長との会談(正午から短時間)

 主にG4外相より、安保理改革に関するG4の立場を説明し、アナン事務総長は聞き役に回った。

4. 町村外相とピン国連総会議長との会談(16時30分~17時00分)

(1)町村大臣より、ピン総会議長はアフリカ内部の状況をどう見ているのか、またP5、更にピン総会議長はワシントンに行き、米とも協議してきているので、こうした点を含め全体の状況を伺いたい旨述べた。

(2)これに対して、ピン総会議長より、アフリカ内部の状況については、一応の統一性は保たれているのではないか、9月の首脳会合までには安保理改革を進める必要があることを米を含む各国に伝えているといった発言があった。

5. 町村外相とエリアソン次期国連総会議長との会談(17時30分~)

(1)町村大臣より、次期総会議長の役割の重要性につき言及するとともに、日本は安保理改革のみならず、人権理事会、平和構築委員会といった事項にも強い関心を有していることを強調した。

(2)エリアソン次期総会議長より、9月14日(水曜日)~16日(金曜日)の首脳会合においてはピン総会議長とともに共同議長を務め、9月17日(土曜日)からは正式な議長となる予定である旨説明があった。また、国連改革については、平和構築委員会、人権理事会、人道改革といった改革も成し遂げていくことが必要であり、日本の姿勢を歓迎するとの発言があった。安保理改革については、これが他の広範な問題に悪影響を及ぼしてもいけないし、逆にその他の問題が安保理改革に悪影響を及ぼしてもいけない、9月の首脳会合までに安保理改革について決定を行わなければならないとの事務総長の見解に同意するとの発言があった。

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