町村外務大臣

日韓外相会談(概要)

平成17年5月6日

 5月6日、ASEM外相会合参加のため京都出張中のまちむら のぶたか大臣は、潘基文(パン・ギムン)韓国外交通商部長官との二国間会談を行ったところ、概要は以下のとおり(なお、会談は15時40分~17時10分の90分行われた。)。

1. 日韓関係全般

(1)冒頭、町村大臣より、先般の兵庫県での列車事故へのお見舞いの言葉に感謝の言葉を申し上げる、首脳会談の成功に向け、率直な意見交換の場としたい旨述べた。これに対し、潘長官より、先月のイスラマバードでの会談は日韓関係の緊張緩和に有益であった、改めて列車事故へのお見舞いを申し上げる、盧武鉉大統領も来る日韓首脳会談では日韓関係を未来志向のものとすべく虚心坦懐に意見交換をできることを期待している、先般アジア・アフリカ首脳会談の場で小泉総理が過去について謝罪及び反省の言葉を改めて述べたことを評価している旨述べた。

(2)これを受け、町村大臣より、バンドンでの小泉総理の発言は、98年の日韓共同宣言を含む政府のこれまでの発言と軌を一にする、3月1日以降に韓国より示されてきた過去を巡る心情は重く受け止め、改めて国際場裏でその考え方を明らかにしたものと理解してほしい旨述べるとともに、日韓関係は全体として一時期の緊張状態から平静に向かっているとの認識を伝えた。

(3)次の日韓首脳会談につき、6月下旬を目処にソウルにて実施する方向で調整し、その成功のために両国で緊密に協議していくことで合意した。

2. 過去に起因する諸問題への具体的対応

(1)日韓歴史共同研究
 両外相間で、新たなメンバーとテーマによる枠組みの立ち上げにつき事務的検討を加速化させ、できるだけ早期に発足させるべく努力することで合意した。潘長官より、次期歴史共同研究においては研究成果が教科書に反映されることを希望する旨述べた。

(2)町村大臣より、総じて、前回会談時に説明した方針で、引き続き前向きの対応を行っていく、韓国側にも相談していきたい旨述べるとともに、個別案件について以下のとおりのやりとりがあった。

1)徴用者の遺骨調査・返還につき、潘長官より具体的な成果を希望する旨述べたのに対し、町村大臣より、現在進めている100社以上の民間韓国人を徴用していた企業への実態調査の夏までの完了を目指す旨述べ、5月中に政府間協議を行うべく日程調整を進めることで合意した。

2)北関大捷碑の返還につき、潘長官より、同碑の返還は日韓関係、ひいては南北関係の改善にも資する、日本側の積極的対応を期待する旨述べ、町村大臣より、引き続き靖国神社とも相談しつつ、誠意をもって仲介したい旨述べた。

3)在サハリン韓国人につき、町村大臣より、永住帰国等更なる支援を表明したのに対し、潘長官より感謝の意が表明された。

4)在韓被爆者支援につき、町村大臣より、健康管理手当支給申請についての在外公館の活用の可能性につき関係省庁と協議中である旨述べたのに対し、潘長官より、努力を評価する、被爆者手帳の申請・発給についても在外公館で可能となるよう検討をお願いしたい旨述べた。

3. 竹島問題

 両者は、お互いの意見の相違は明確であるが、双方の立場は立場として、冷静な解決に向け、双方の努力が必要である、との基本認識について意見が一致した。

4. その他の二国間個別案件

(1)漁業(資源管理協議)
 両者は、漁業資源管理に関する政府間協議の早期開催につき意見が一致した。

(2)日韓FTA
 町村大臣より、昨年の指宿での首脳会談以降進展がないのは残念である、交渉に入れば我が方としても柔軟かつ大胆な提案を行う用意がある、次の首脳会談までに全く交渉を行えないことは両首脳の意図にも反するものであり、早期開催に向けて政府全体で取り組んでほしい旨指摘したのに対し、潘長官より、日本とのFTAは他国と締結するFTAにも大きな影響を与えるものであり、高いレベルの内容とする必要がある旨述べた。

(3)査証免除の恒久化
 潘長官より、韓国人に対する査証免除の恒久化につき要望がなされたのに対し、町村大臣より、現在の期間限定査免の実施状況及び外国人犯罪を巡る治安状況を踏まえて総合的に検討している旨述べた。

(4)羽田・金浦間直行便の増便
 潘長官より、羽田・金浦間直行便の4便から8便への増便の要望がなされたのに対し、町村大臣より、現在国土交通省で真剣に検討中であり、夏頃を目処に答えが出せるよう協議を続けている旨述べた。

5. 北朝鮮

(1)潘長官より、北朝鮮の状況は重大な局面にある、日韓はその脅威に直接的に直面する当事国である、事態がさらに悪化する前に六者会合を開催して実質的進展をみる必要があり、中国の一層の努力が求められる、会合開催の更なる遅延は誰も望んでおらず、引き続き外交努力に力を注ぐべきと述べた。

(2)これに対し、町村大臣より、切迫感と緊張感をもって対応する必要がある、6月末で前回会合開催から1年が経過することになり、その間に北朝鮮が核開発を進めているとすれば遺憾な事態である、六者会合は問題解決の最も有効な枠組みであり、日米韓の一層の連携と中国の更なる役割が重要であると潘長官の認識を共有する旨述べた。

(3)町村大臣より、このままの状態が続く場合、次の段階での対応として、国連安保理等、他の選択肢の検討の必要性も出てくる可能性がある旨述べたのに対し、潘長官より、外交的手段を完全に尽くした上で、次の段階での話として、どういう対応があり得るか、日本ともよく相談したい旨述べた。

(4)町村大臣より、拉致問題を巡る国内状況を改めて説明し、我が国の立場への韓国側の理解と支持を求めた。

6. 国連の場での協力

 町村大臣より、我が国は戦後60年間にわたって平和愛好国としてひたすら努力してきた、現在の日本のありようには自信を持っている、国連改革全体を進めるために、大局的立場から我が国の常任理事国入りの希望を理解いただきたい旨述べたのに対し、潘長官より、韓国は日本の立場は理解しており、日本も韓国の立場を理解して頂けていると思う旨述べた。

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