平成20年1月10日
(1)高村外務大臣は、1月4日から6日にかけてタンザニアを訪問し、大統領、外務国際協力相等と二国間関係、ケニア情勢、TICAD及び多国間問題等につき意見交換。
(2)外相会談終了後二件の無償資金協力に関する交換公文を署名。
(3)タンザニア側は29年振りの我が国外相訪問を非常に歓迎し、我が国の経済協力につき改めて深甚なる謝意を表する一方、安保理改革、北朝鮮問題等につき我が国への支持を再確認。
(4)TICAD IVに関しては、大統領出席を再確認するとともに、会議成功に向け、全面的に協力したいとの意向を表明。
(5)高村大臣は、多数の関係者の前で日アフリカ関係及びTICADに関する政策スピーチを実施。また同会場で、ケニア情勢に関し、談話と人道支援決定に関する発表を行った。
(1)我が国の外務大臣によるタンザニア訪問は29年振り3回目(外相のアフリカ訪問としては2002年以来)。TICAD IV及びG8北海道洞爺湖サミットを前に年初行われた今次訪問は、これら会議に向けた弾みをつけると同時に、日本のアフリカ重視姿勢を印象づけるものとなった。
(2)当初大臣の訪問を予定していたケニアの情勢悪化について有意義な意見交換を行うとともに、我が国の憂慮を表明する大臣談話及び人道支援決定をタイムリーに発表。
(3)政策スピーチに関し、会場を急遽拡大するほど多くの出席者を得たことは、我が国への高い関心と親日感の証しであり、内容もタンザニア政府から高い評価を得た。
(1)キクウェテ大統領表敬、メンベ外務国際協力大臣との外相会談を実施、メンベ外務国際協力大臣主催昼食会およびムランバ産業貿易マーケティング大臣主催昼食会に出席し、二国間関係にとどまらず、地域情勢や国際社会の課題に至るまで幅広い分野での意見交換を行い、非常に良好な二国間関係を再確認。
(2)経済協力に関し、タンザニア側より、道路・電力を含むインフラ、保健、農業その他各セクターにおける従来からの日本の支援に再三深甚なる謝意を表明。高村大臣からはタンザニアが我が国対アフリカ支援の最重点国の一つであるとのメッセージを伝えた。今後の経済協力について、タンザニア側から特にインフラ部門を重視している旨指摘があり、具体的には、外相からニュー・バガモヨ道路建設、南部ムトワラ回廊構想の重要性が強調された。ムランバ産業貿易マーケティング相は、住友化学など日系企業の投資の重要性も強調。また、タンザニアにおける工業化を進めるために、1月末に我が国から派遣予定である産業開発アドバイザーの役割が非常に重要であるとして、大統領以下から一様に高い期待感が示された。大臣より、財政支援のE/N署名は、タンザニアの自助努力及びガバナンスを高く評価する証しである旨強調。
(3)国際場裡における協力に関し、先方から、日本の常任理事国入りを一貫して支持しており、他のアフリカ諸国も同様であるとの発言あり。また、キクウェテ大統領から、北朝鮮の核問題解決への協力の意思が示されたのに対し、高村大臣より拉致問題の重要性も指摘し、大統領から同様の理解と支持を得た。
(4)TICAD IVについて、キクウェテ大統領から改めて明確な参加意思が伝えられ、準備過程においても全面的に協力する旨発言があり、更に高村大臣よりの要請に対し、タンザニア以外のアフリカ首脳参加働きかけについても快諾した。
(5)ケニア情勢に関し、キクウェテ大統領より、政治的解決が最も重要であり、中立の立場に立って進めているケニア各陣営との話し合いの現状説明があった。高村大臣からは同大統領の仲介努力に関するイニシアティブに敬意を表するとともに、日本として支援する用意がある旨発言。
(6)外相会談終了後、メンベ外務国際協力大臣との間で、貧困削減戦略支援無償による財政支援(6.3億円)及び食料援助(コメの供与、7.1億円)のE/N署名を実施した。
(7)タンザニア政府要人、政府関係者、外交団、有識者、プレス等を招き、『「元気なアフリカ」をつくるパートナー』と題した政策演説を実施。日・タンザニアの協力事例を引き合いに出しつつ、TICADプロセスの意義・重要性を説き、また我が国の開発援助哲学及び「なぜ日本はアフリカに関わるか」についての理念的背景についても説明。2閣僚、4副大臣他、外交委員会委員長等を含む約250名が出席。
(8)上記スピーチに先立ち、ケニア情勢の憂慮を表明する談話を発表するとともに、ケニア国内避難民に対する緊急支援としてICRC(赤十字国際委員会)を通じた総額20万ドルの拠出決定を発表した。その場で在タンザニア・ケニア大使より右支援への謝意表明があった。
(9)また、我が国の経済協力により支援を行った病院等の施設や道路、魚市場の視察、国費留学生OBや在留邦人との懇談を行った。