外務大臣

玄葉外務大臣のロシア訪問(概要)

平成24年7月28日

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 7月28日,ロシア黒海沿岸のソチを訪問した玄葉外務大臣は,ラヴロフ外務大臣と日露外相会談(現地時間7月28日10時から約1時間40分間の会談,共同記者会見を挟んで約45分間のワーキング・ランチ)を行ったほか,同日15時15分からプーチン大統領を約45分間表敬した。

I 日露外相会談

1 日露関係一般

 両外相は,アジア太平洋地域の戦略環境が変化する中で,日露関係の発展が両国の戦略的利益に合致するという共通の認識を改めて確認した。玄葉大臣からは,あらゆる分野で日露関係を進めていくためには,国民各層の支持が必要であること,そのためには協力の具体的な成果,両国間の相互信頼,相手国の国民感情への配慮が重要であることを指摘した。

2 領土問題

  1. (1)ロス・カボスでの両首脳の合意に従い,玄葉大臣とラヴロフ外相との間で率直な意見交換を行った。玄葉大臣からは,四島の帰属は日本にあることを述べつつ,アジア太平洋地域の戦略環境が変化する中で,領土問題の解決の必要性が高まっていることを指摘した。両外相は,問題の解決に当たり,これまでの両国間の諸合意や法と正義の原則を基礎とすべきであること,静かで建設的な環境の下で,議論を継続することで一致した。また,両外相は,頻繁に首脳,外相,次官級のそれぞれのレベルで議論を行うことを確認した。他方,法と正義の原則の中身をはじめ,領土問題をめぐる双方の立場には大きな隔たりがあることが改めて明らかになった。
  2. (2)ロシア首相の国後島訪問について,玄葉大臣から遺憾であるとの日本側の立場を明確にしたのに対し,ラヴロフ外相からは,日本側の抗議は受け入れられない旨反論があった。両外相は,互いの国民感情に配慮しつつ,相互信頼を構築することの重要性を確認した。

3 日露協力

(1)安全保障・防衛

 両外相は,日露安保協議,日露戦略対話に対する高い評価で一致し,防衛当局間,部隊間交流が活発に行われることに期待を表明した。これまで民間で行ってきた日米露三極有識者会合を,政府関係者を含めた会合(1.5トラック)に発展させることについて意見が一致した。

(2)海をめぐる協力

 両外相は,海をめぐる協力の重要性を確認し,個別の協力を進めていくことで合意した。水産物の密漁・密輸出対策に関する二国間協定の具体的作業の進展を歓迎した。

(3)経済

 両外相は,相互利益の観点から,日露経済関係の更なる発展に期待を表明した。玄葉大臣からは,日本が外国からの天然ガスの調達を順調に進める中,日露の協力プロジェクトが時機を逸することなく進むことを期待していることを指摘し,両外相はウラジオストクLNGプロジェクトの実現やサハリン3プロジェクトへの日本企業の参画の実現に期待を表明した。また,玄葉大臣から,ロシアのWTO加盟を歓迎したのに対し,ラヴロフ外相は加盟プロセスにおける日本の支援に謝意を表明した。玄葉大臣から,ロシアの投資環境整備や法の支配の一層の強化の重要性を指摘し,日露投資協定の改正を提案した。ラヴロフ外相は,ウラジオストクAPECに向けた日本の協力に謝意を表明した。

4 人的交流・議員交流

 両外相は,議員交流を含む人的交流,文化交流の重要性を指摘した。

5 国際問題

  1. (1)最近の北朝鮮情勢について議論を行い,引き続き日露両国が緊密に意思疎通をしていくことを確認した。拉致問題について,ラヴロフ外相から連帯の意が示された。
  2. (2)シリア情勢について,ラヴロフ外相から基本的立場の説明があり,玄葉大臣から,ロシアが国際社会の声に留意し,建設的な役割を果たすことを促した。
  3. (3)アジア太平洋地域情勢や協力の枠組み,イランの核問題,欧州情勢,北極に関する協力などについても議論が行われた。

II プーチン大統領表敬

1 日露協力

 玄葉大臣から,次の首脳会談に向けた期待等に関する野田総理からのメッセージを伝えた。また,アジア太平洋地域の戦略環境が変化し,グローバルな競争が激しくなる中で,日露関係の進展が双方の戦略的利益に合致することを述べるとともに,極東シベリア開発をめぐる日露協力の潜在力に言及し,相互信頼が深まれば協力が現実的なものになるだろうと指摘した。

 プーチン大統領から,日露の協力の分野の多様化への期待が表明され,ロシアにおける日本企業の進出を支援していきたいと述べた。特に,安全保障,経済,エネルギー,原子力,宇宙,水産物の密漁・密輸出対策,文化交流の協力の拡大について具体的な話があった。

2 領土問題

 玄葉大臣から,日露両国は平和条約を締結することで強力なパートナーになり得るとして,あらゆる分野で協力を進める中で,双方が受け入れ可能な解決策を探っていきたい,首脳,外相,次官級のレベルで協議を続けていきたいと述べた。プーチン大統領からは,双方が受け入れ可能な解決策を探るべく平和条約交渉を継続したいと述べた。また,相互信頼の下,相手国の国民感情への配慮をしつつ,前向きに話し合いを進めていくとの基本的方向性について認識が一致した。

III 今後の日程

1 日露首脳会談

  1. (1)ロシア側から,ウラジオストクAPEC首脳会議の際の日露首脳会談の提案があり,今後調整していくこととなった。
  2. (2)野田総理の訪露の日程について今後外相間で調整することとなった。

2 森元総理の訪露

 玄葉大臣から,森元総理が旧交を温めるためにプーチン大統領とお会いしたいとの意向を有していると伝達したのに対し,プーチン大統領は,いつでもお会いする用意がある旨述べ,今後,訪露の日程を調整していくこととなった。


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