サルマン国防大臣との会談
ムクリン総合諜報庁長官との会談
1. 主な行事等
(1)1月7日
- (ア)アブドルアジーズ外務大臣代行との会談
- (イ)アブドルアジーズ外務大臣代行主催昼食会(ザヤーニGCC事務局長も参加)
- (ウ)日GCC戦略対話覚書署名式
(2)1月8日
- (ア)ナイミ石油鉱物資源大臣との会談
- (イ)サルマン国防大臣との会談
- (ウ)ムクリン総合諜報庁長官との会談
2. 成果
(1)アブドルアジーズ外務大臣代行との会談
7日12時40分から約3時間弱、アブドルアジーズ外務大臣代行との会談を行い、主として二国間関係について議論したところ、概要以下のとおり。
(ア)二国間関係
玄葉大臣より、スルタン皇太子薨去のお見舞い、東日本大震災に際してのサウジ側からのLPG供与への謝意を表明。双方は、エネルギー関係のみならず、政策対話の強化、次官級協議、若手外交官交流、合同委員会の実施、投資協定交渉の進展、水等のインフラ分野の協力等を通じて二国間関係の協力の裾野を一層拡大することで一致。
玄葉大臣より、現下の中東情勢及び震災からの復興に向け、日本の必要とする原油供給と原油価格の安定につき要請したところ、サウジ側はこれに同意。また、双方は、太陽光発電等の再生可能エネルギー分野での協力を強化していくことで一致。
(イ)日GCC関係
玄葉大臣より、日GCC・FTA交渉を早期に再開したい旨述べたところ、先方よりFTA交渉の日程については関係機関と協議したい旨応答。
(2)同外務大臣代行主催昼食会(ザヤーニGCC事務局長も参加)
(ア)中東地域情勢
ザヤーニGCC事務局長も交えた昼食会では、主に中東・北アフリカ地域情勢に関する率直かつ集中的な意見交換を実施。玄葉大臣より、イランの核問題を深刻に懸念しており、我が国としても追加制裁を実施した、平和的・外交的な問題解決が重要であり、圧力とともに粘り強い対話が必要である旨述べた。
これに対し、先方より、イランは地域問題に介入を続けており、核を保有すれば地域の脅威となる、期限を設けて同国に対応する必要がある旨応答。イエメンについては、玄葉大臣より、2月の大統領選挙支援に向け、約114万ドルの拠出を決定した旨紹介。アフガニスタンについては、玄葉大臣より、7月に東京会合を主催するとしてサウジアラビアを招待。サウジアラビアからは、和解に向けて努力しているが、外部からの押しつけとなってはならない旨発言。
(イ)日GCC関係
双方は、本日の日GCC戦略対話覚書署名を受け、日GCC関係を抜本的に強化していくことで一致。
(3)日GCC戦略対話覚書署名式
同日13時半、アブドルアジーズ外務大臣代行及びザヤーニGCC事務局長との間で日GCC戦略対話の覚書に署名(注)。
- (注)日GCC戦略対話覚書概要
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- 日GCC戦略対話(閣僚級):年次会合の開催
出席者:日本の外相、GCCの現・次期議長国外相、GCC事務局長
場所:GCC現議長国、GCC事務局本部(リヤド)、日本又は双方が決定する場所
議題:1)政治的な問題及び地域・国際的な事項、2)貿易、投資、エネルギー、FTA等の経済分野、3文化、教育、科学研究、環境及び保健 等
- 高級実務者委員会:戦略対話の前に年一回開催
戦略対話の議題を作成・検討
協力分野検討のため、小委員会を設置できる
- 日GCC戦略対話(閣僚級):年次会合の開催
(4)ナイミ石油鉱物資源大臣との会談
8日午前、ナイミ石油鉱物資源大臣と約45分間会談を行った。双方は、再生可能エネルギーを含めたエネルギー分野で協力関係を一層強化していくことで一致。
玄葉大臣より、現下の中東情勢及び震災からの復興に向け、日本の必要とする原油供給と原油価格の安定につき要請したところ、ナイミ大臣から、サウジアラビアは原油市場の安定に引き続きコミットするとともに、日本が必要とする原油を供給する用意がある旨述べ、双方は、引き続き緊密に協議していくことで一致。
また、再生可能エネルギーについて、玄葉大臣より、我が国ではグリーンイノベーションを加速している旨を説明したところ、ナイミ大臣からは、太陽光発電を始めとする再生可能エネルギー及び省エネルギーに大きな関心を有しており、日本との協力を深めたい旨の発言があり、双方は、かかる分野での協力を強化していくことで一致。
さらに、ナイミ大臣からは、エネルギーに加え、食料、環境、水の4政策分野で日本と協力していきたいとの意向が示され、詳細については日サウジアラビア合同委員会で議論することとなった。また、玄葉大臣から投資協定交渉の早期合意を求め、ナイミ大臣はこれに同意。
(5)サルマン国防大臣との会談
8日午前、サルマン国防大臣と約30分間会談を行った。玄葉大臣からは、サルマン国防大臣の就任を契機に両国の防衛交流を深化させたい旨述べ、双方は、相互利益に基づき、国防分野を含むあらゆる分野での関係強化を進めることで一致。
玄葉大臣より、サウジアラビアに対して、日本の必要とする原油供給と原油価格の安定につき要請している旨述べたところ、サルマン国防大臣からは、原油を含めたあらゆる分野での協力を行いたい旨応答。
また、会談では、和やかな雰囲気の下、サルマン国防大臣の訪日時の思い出や、第二次世界大戦後の我が国の発展について話された。
(6)ムクリン総合諜報庁長官との会談
8日昼、ムクリン総合諜報庁長官と約45分間会談を行った。玄葉大臣より、サウジアラビアは中東・湾岸地域の安定の要であり、日本のエネルギー安全保障上も死活的に重要である旨述べた。双方は、情報分野での協力を進めることで一致。
双方は、現下の中東地域情勢に関し意見交換。イランについては、玄葉大臣より、同国の核問題を深刻に懸念しており、追加的な制裁を行った、平和的・外交的解決が望ましい旨述べたところ、ムクリン長官より、イランは、湾岸地域として、また、世界全体としての懸念がある、全ての国は核の平和的利用の権利を有するものの、核兵器の保有には反対する、日本の政治・経済的重要性に基づき、イランにアドバイスすることを期待する旨述べた。また、シリアについては、玄葉大臣より、アラブ連盟の取組にもかかわらず死者数が拡大していることを懸念している旨述べたところ、ムクリン長官より、サウジアラビアも問題悪化を懸念しており、現状には反対だが内政干渉はしないとの立場である旨述べた。