4月30日(月曜日)10時35分(現地時間)から約80分間,インド訪問中の玄葉外務大臣はクリシュナ・インド外相との間で,第6回日インド外相間戦略対話を行ったところ,概要以下の通り。
(注:日インド外相間戦略対話は,2007年以降,毎年日インド交互に実施されており,昨年は10月に東京で実施。)
- 両外相は,第6回外相間戦略対話及び同日行われる第1回閣僚級経済対話の実施を通じて日インド関係を更なる高みに持っていくことで一致。次官級2+2対話の早期実現を希望。また,先月実施された第2回日米印協議で有意義な議論が行われたとして評価。今後とも年次首脳会合をはじめとするこれらの対話を通じ,戦略的グローバル・パートナーシップを一層強化していくことで一致。
- 玄葉大臣から,海上保安庁とインド沿岸警備隊との間で訓練が実施されている他,ソマリア沖・アデン湾での海賊対処での協力が行われており,また,本年には海上自衛隊とインド海軍との間でに二国間海上訓練が行われることなどに言及しつつ,日インド間の海上安全保障での協力は着実に深化していると述べた。両外相は,日インド間の海洋における協力を更に発展させるため,海上安全保障を中心に広く海洋の問題を扱う事務レベルの「海洋に関する対話」の立ち上げで一致した。
- 玄葉大臣から,東アジア首脳会議(EAS)を,地域の共通理念や海洋等に関する具体的協力につなげる首脳主導のフォーラムに発展させたい旨述べ,EAS参加国を含めた海洋に関する拡大フォーラムについても両外相は引き続き協力することで一致した。
- 両外相は,いわゆるサイバー攻撃は国家の安全保障にも関わる重要な問題であるとして,今後,サイバー空間の安定的利用の確保のため,両国が国際行動規範案の議論等において協力することで一致するとともに,日インド間でサイバーに関する二国間協議を立ち上げること合意した。
- 玄葉大臣から,安全な宇宙空間の利用確保のため国際的規範作りが必要として,両外相は宇宙分野において緊密に協力することで一致した。
- 日インド原子力協定交渉については,両外相は,双方にとって満足のいく合意を得られるよう,協定交渉を進展させていくことを再確認。玄葉大臣から,日本の核軍縮・不拡散に対する強い思いへの理解を要請した。
- レアアースの共同開発については,両外相は,早期実現を図ることで一致した。
- 北朝鮮について,玄葉大臣より,いわゆる人工衛星と称するミサイル発射に関しては安保理決議の明確な違反であり,これを非難する強力な安保理議長声明が出されたことを評価するとともに,両外相は,北朝鮮に対し更なる挑発行為の自制を強く求めることで一致した。
- このほか,両外相間で,ミャンマー,スリランカ,アフガニスタン等の地域情勢や国連安保理改革につき意見交換が行われた。