難民
上川外務大臣の第2回グローバル難民フォーラム出席(結果)
令和5年12月13日
現地時間12月13日(日本時間同日)、上川陽子外務大臣は、スイス連邦のジュネーブにおいて第2回グローバル難民フォーラム(GRF)の開会式に参加し、共催国としてステートメントを行いました。同ステートメントの概要は以下のとおりです。
- 冒頭、上川大臣は、世界の難民・避難民数は、この10年で2倍を超え、昨年初めて1億人を超えたことに触れつつ、子どもたちは青春時代を難民キャンプで過ごしており、たくさんのポテンシャルが失われ、「人間の尊厳」が脅かされていると述べました。そして、「人間の安全保障」の観点から、我々は団結し、難民・避難民一人ひとりの声に耳を傾けつつ、悪化の一途をたどる人道状況を何としても食い止めなければならないと訴えました。
- その上で、上川大臣は、短期的な人道支援に加え、より未来を見据えた、中長期的なアプローチを採る必要性を指摘し、祖国を追われた難民・避難民一人ひとりが、夢を語り、努力し、それを実現できる、それこそが、我々が心に描くべき未来の展望だと述べました。また、難民・避難民の中でもとりわけ脆弱な環境に置かれているのが、女性と子どもたちであると指摘しつつ、「女性・平和・安全保障」、いわゆるWPSの考え方は、難民・避難民への対応を考える上で欠かせないものである旨述べました。
- 引き続き、上川大臣は、海外や日本国内における教育等を通じた、日本による難民・避難民の自立支援を具体的な事例とともに紹介し、日本は、若い世代がその才能を開花させ、祖国の平和と復興に貢献する人材になることを強く後押ししている旨述べました。また、難民・避難民の夢が受入国の犠牲の下に実現することは決してあってはならないと述べ、受入国の負担の軽減に向けた日本の具体的な取組を紹介しました。
- さらに上川大臣は、難民・避難民そして受入コミュニティの人々の夢を実現するため、日本は、ドナー国、受入国、国際機関等が連携するためのプラットフォームとして、人道・開発・平和の連携(HDPネクサス)のマルチステークホルダー・プレッジを打ち出した旨述べ、HDPネクサスの取組をアフリカにおいて拡大している旨を説明しました。
- 結びに、上川大臣は、緒方貞子・元国連難民高等弁務官の言葉を引用しつつ、難民・避難民問題の大きな要因である紛争の解決は、自分自身を含む政治家の責任である旨述べました。そして、日本はGRFの共催国であるのみならず、本年のG7議長国、さらには国連安保理理事国でもあるとして、国際社会の平和と安定を確保するために引き続き全力を尽くしていくとの決意を述べ、ステートメントを締め括りました。
(注1)女性・平和・安全保障(Women, Peace and Security: WPS)
女性の保護に取り組みつつ、女性自身が指導的な立場に立って紛争の予防や復興・平和構築に参画することで、より持続可能な平和に近づくことができるという考え方。2000 年、国連安全保障理事会(国連安保理)において、同理事会史上初めて、国際的な平和と紛争予防、紛争解決には女性の平等な参画や紛争下の性暴力からの保護、ジェンダー平等が必要であると明記した「女性・平和・安全保障(Women, Peace and Security: WPS) に関する安保理決議第 1325 号」が全会一致で採択された。
(注2)人道・開発・平和の連携(HDP ネクサス)
短期的な「人道支援」と合わせて、中長期的な観点から、難民の自立支援や受入国の負担軽減のための「開発協力」を行い、さらに難民発生の根本的な原因である紛争の解決・予防に向けた「平和の取組」を進める考え方。