難民
鈴木外務副大臣のグローバル難民フォーラム出席
令和元年12月25日

1 12月18日(現地時間),鈴木馨祐外務副大臣は,国連難民高等弁務官事務所(UNHCR),スイス,ドイツ,トルコ,パキスタン,エチオピア,コスタリカ共催の第1回グローバル難民フォーラムに出席しました。
2 グローバル難民フォーラムは,昨年の国連総会で採択された難民グローバル・コンパクト(GCR)のフォローアップ会合として,主な難民受入国,ドナー国が難民問題解決にむけた取組を共有し,今後の財政的,政策的貢献について話し合うために開催されました。同会合には,国連加盟国,国際機関,NGO等から,首脳級や代表等約3,000名が出席しました。
3 鈴木副大臣は,今回の会合の中でスピーチ(英文)(PDF)
を行い,日本における第三国定住による難民の受入の拡大やシリア人留学生に対する教育機会の提供等の取組とともに,故緒方貞子国際協力機構(JICA)元理事長が提唱してきた「人間の安全保障」の考え方に基づく「人道と開発と平和の連携」を日本が中東やアフリカ等で推進していることを述べました。また,GCRで推奨される全社会的アプローチに基づき,本フォーラムの前に,市民社会主催による企業,大学・研究機関,メディア,NGO,国際機関及び難民等が参加する意見交換会が日本で開催されたことを紹介するとともに,来年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会への難民選手団の参加を歓迎し,日本のみならず世界中の人々に対し難民問題への関心を喚起する機会としたい旨述べました。
2 グローバル難民フォーラムは,昨年の国連総会で採択された難民グローバル・コンパクト(GCR)のフォローアップ会合として,主な難民受入国,ドナー国が難民問題解決にむけた取組を共有し,今後の財政的,政策的貢献について話し合うために開催されました。同会合には,国連加盟国,国際機関,NGO等から,首脳級や代表等約3,000名が出席しました。
3 鈴木副大臣は,今回の会合の中でスピーチ(英文)(PDF)

4 鈴木副大臣は,同会合出席の機会をとらえて,ペーター・マウラー赤十字国際委員会総裁(Mr. Peter Maurer, President of the International Committee of the Red Cross: ICRC),フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官(Mr. Filippo Grandi, United Nations High Commissioner for Refugees: UNHCR),アントニオ・ヴィトリーノ国際移住機関事務局長(Mr. Antonio Vitorino, Director General for International Organization for Migration: IOM),ヘルダ・フェルブルフScaling Up Nutrition(SUN)コーディネーター(Ms. Gerda Verburg, Coordinator SUN),クリスチャン・ソーンダース国連パレスチナ難民救済事業機関事務局長代行(Mr. Christian Saunders, Acting Commissioner-General, United Nations Releif and Works Organization for Palestine Refugees In the Near East: UNRWA)との意見交換,国際機関の邦人職員との懇親会等を行いました。
(1)マウラーICRC総裁との会談

鈴木副大臣は,ICRCのTICAD7への参加及び日本の民間セクターとの連携強化を評価し,公的資金の「限界」が見えてきている状況下にあって,保健分野をはじめとする人道支援におけるイノベーションの活用及び新たな資金調達モデルの構築が持続的な活動に必要であること,政府・民間・人道支援の異なるセクターが共通言語を見いだし協働するような取組が有用であることを述べました。マウラー総裁からは,ICRCの新しい資金調達モデルである「ヒューマニタリアン・インパクト・ボンド」によりアフリカでのリハビリテーション・センターの活動やイラクにおける水供給事業に必要な資金を調達している事例が紹介され,日本の民間セクターやJICAとの更なる連携への期待が述べられました。これに対し鈴木副大臣は,インパクトの客観的評価指標の確立が金銭的手法を更に取り入れるために不可欠であることを指摘しつつ,同インパクト・ボンドの取組が今後日本社会でも評価され投資が促進される可能性について言及しました。
(2)グランディ国連難民高等弁務官との会談

鈴木副大臣は,故緒方貞子氏の難民高等弁務官としての活躍に触れつつ,人間の安全保障の概念を踏まえた難民問題への全世界的取組を具体化する第1回グローバル難民フォーラムの開催に祝意を表するとともに,日本は難民支援の取組の効率化により最大限の効果が得られることを推奨しており,複雑化及び長期化する難民問題に対するUNHCRの活動を評価する旨述べました。グランディ国連難民高等弁務官からは,日本のUNHCRに対する拠出が近年減少傾向にあることに対する強い懸念が示され,UNHCRによる今後の難民支援に対する日本の継続的かつ安定したコミットメントを求める意向が述べられました。また,両者は,東京オリンピック・パラリンピック競技大会での難民選手団の参加と活躍が,難民問題への意識を高める機会となるよう協力することで一致しました。
(3)ヴィトリーノIOM事務局長との会談

鈴木副大臣は,国連機関の中で唯一移住を専門に扱うIOMのアジアでの活動に言及しつつ,気候変動が人々の移動の主要要因となっており,最も脆弱な人々が最も困難な状況に置かれていること,また,国境を越える移動が人々の生活を変える中で精神的な疲労も考慮した尊厳を守る取組が重要である旨述べました。ヴィトリーノ事務局長からは,日本の貢献に対する感謝及び民間セクターとの連携強化について述べられ,移民が受入国にとって負担だけではなく社会への貢献となりうること,また,IOMは移住を余儀なくされる人々への事前カウンセリングといった現場での取組も行っていることが述べられました。両者は,移民や移住及びその支援に関する世銀やIMF等の国際金融機関との協力について意見交換を行うとともに,今後の難民や避難民の支援に向けて一層協力していくことで一致しました。
(4)フェルブルフSUNコーディネーターとの会談

鈴木副大臣は,世界の栄養課題に取り組むために国連主導で設立されたSUN(Scaling Up Nutrition)のフェルブルフSUNコーディネーターと会談し,来年我が国で開催される東京栄養サミット2020に対する協力を要請するとともに,栄養問題が食や農業にも関連するテーマであり気候変動の影響も受けること,また,バリュー・チェーンも考慮したバランスのとれたアプローチを民間企業の責任範囲に適切な考慮を払いつつ取組を推し進めるという困難な両立を図ることが重要である旨述べました。フェルブルフSUNコーディネーターからは,日本の貢献に対する感謝とともに,食料安全保障でも,熱量確保を対象とするものと,たんぱく質やビタミンなどの栄養素の確保を対象とするものがあり,両者は混同されやすく,東京栄養サミット2020の機会を活かした更なる周知が必要である旨が述べられるとともに,2021年に国連が開催する食料システム・サミットへの協力も含め,今後更に日本との協力関係を強化したい意向が示されました。
(5)ソーンダースUNRWA事務局長代行との会談

鈴木副大臣は,パレスチナ難民に対するUNRWAの活動は中東の平和と安定に資するものとして評価し,その活動の効果や効率性及び組織改革を注視するとともに,財政危機にあるUNRWAに対して日本が今後も支援を継続していく旨述べました。また,国連組織全般の効率化が必要である点も強調しました。ソーンダース事務局長代行からは,CEAPADを含めた日本の貢献に対する感謝が示されるとともに,UNRWAの財政状況及びヨルダン川西岸やガザ地区の状況について説明があり,サービス提供機関としてのUNRWAの独自性や効率性が述べられました。
(6)国際機関の邦人職員との懇談
副大臣は最前線で活躍する邦人職員と,各国際機関の活動や民間資金の調達にかかる状況,国際機関への若い世代の関心や就職などについて議論を行い,邦人職員の更なる活躍を激励しました。