防災

平成27年3月20日
3月14日(土曜日)~18日(水曜日),仙台において,第3回国連防災世界会議が開催されたところ,その概要と評価は以下のとおり。

1 概要

(1)開会式

 開会式(14日)には,天皇皇后両陛下が御臨席になった。潘基文国連事務総長,安倍総理大臣,奥山仙台市長等が開会の挨拶を行った。山谷内閣府防災担当大臣が会議の議長に選出された。

(2)総会セッション

 ハイレベル・セグメント(14日)では安倍総理大臣が我が国を代表してステートメントを行った。災害に強靱な社会に向けて「より良い復興」,事前の防災投資,女性のリーダーシップや様々な主体の連携の必要性を訴えた。日本の貢献策として,2015~18年の4年間で40億ドルの資金協力,4万人の防災・復興人材育成を含む「仙台防災協力イニシアティブ(PDF)別ウィンドウで開く」を発表した。

(3)ハイレベル・マルチステークホルダー・パートナーシップ対話

 「女性のリーダーシップ発揮」,「リスクに対応した投資」,「包摂的な防災」の三つのセッションが開催された。「女性のリーダーシップ発揮」セッション(14日)では,安倍総理大臣が基調講演を行い,東日本大震災の経験も踏まえ,防災における女性の役割の重要性を述べた。また,高市総務大臣が同セッションの共同議長を務めた。

(4)閣僚級ラウンドテーブル

 五つのセッションが開催され,「ポスト2015年防災枠組を支える国際協力」セッション(15日)では,岸田外務大臣が参加し,防災への事前投資,グローバル・パートナーシップ,人間の安全保障のアプローチが国際防災協力における鍵であると発信した。また,「災害からのより良い復興」(15日)セッションには太田国土交通大臣が参加し,日本がこれまで経験してきた阪神・淡路大震災,東日本大震災,水害等の教訓と,それを踏まえた防災・復興の取組について説明した。

(5)パブリック・フォーラム

 数多くのパブリック・フォーラム(350以上のシンポジウム・セミナー,200以上の展示,100以上のポスター展示)が開催され,竹下復興大臣が「総合フォーラム」に参加し,有村女性活躍担当大臣がパブリック・フォーラム「防災における女性のリーダーシップ」に参加した。

(6)閉会式

 最終日の18日に,兵庫行動枠組の後継となる新しい国際的防災指針である「仙台防災枠組2015-2030」(骨子(PDF)別ウィンドウで開く)」と,防災に対する各国の政治的コミットメントを示した「仙台宣言」(仮訳(PDF)別ウィンドウで開く)」が採択され,閉会した。

(7)バイ会談

 安倍総理大臣は10か国の首脳及び国連事務総長と会談し,6か国の副大統領及び7つの国際機関の長の合同表敬をそれぞれ受け,24の首脳と4つの国際機関の長等と昼食会を行った。また,岸田外務大臣は,10か国の外相等,国連事務総長及び2つの国際機関の長と会談し,6か国の副大統領・副首相と夕食会及び17の国際機関の長等と昼食会を行った。

(8)その他

 14日夕には,日本政府主催レセプションが開催され,安倍総理大臣夫妻,岸田外務大臣等が参加した。また15日夕には仙台市主催のレセプションが行われた。また,14日から20日にかけて,周辺被災地へのスタディツアー及びエクスカージョンも実施された。

2 評価

  • (1)本件会議には,185の国連加盟国が参加し,元首7か国,首相5か国(含日本),副大統領級6か国,副首相7か国(以上国連発表)を含む100名以上の閣僚等,6,500人以上が参加し,関連事業を含めると国内外から延べ15万人以上が参加し,日本で開催された史上最大級の国連関係の国際会議となった(参加国数では過去最大)。防災に対する国際社会の政治的なコミットメントを得て,防災の主流化を進める上で,大きな成果となった。
  • (2)仙台防災枠組2015-2030及び仙台宣言がコンセンサスで採択され,防災の新しい国際的指針の中に,防災投資の重要性,多様なステークホルダーの関与,「より良い復興(Build Back Better)」など日本から提案した考え方が取り入れられた。また,本年9月に採択される予定のポスト2015年開発アジェンダに防災の視点を盛り込むことの必要性が確認された。
  • (3)安倍総理大臣から,日本の貢献策として「仙台防災協力イニシアティブ」を発表し,防災に関する日本の進んだ知見・技術を活用して,国際社会に一層貢献していく姿勢を示した。潘基文国連事務総長が,記者会見において,「日本の支援は他の先進国の模範となる」と述べるなど,高く評価された。パブリック・フォーラム等を通じて,実際に防災に関する日本の知見・技術を発信することができた。
  • (4)被災地・仙台で開催され,周辺自治体の協力も得ることで,東日本大震災からの復興を発信する機会となった。具体的には,総理・大臣主催の会食や政府・仙台市主催レセプションで被災地の食材や酒類を積極的に活用することで,風評被害対策や被災地の振興に努めた。また,仙台市周辺の各地方自治体が実施するスタディツアー等を通じて,被災地の現状や復興状況を発信することができた。
  • (参考)総理,外務大臣の日程概要
      安倍総理大臣 岸田外務大臣
    3月
    14日
    • 国連事務総長との会談
    • 天皇皇后両陛下への御挨拶
    • 開会式出席(挨拶)
    • ハイレベル・セグメント出席(ステートメント)
    • 首脳会談(タイ,トルクメニスタン)
    • 総理主催ハイレベル昼食会
    • ハイレベル・マルチステークホルダー・パートナーシップ対話「女性のリーダーシップ」基調講演
    • 首脳会談(スワジランド,バヌアツ,ルワンダ)
    • 副大統領合同表敬(インドネシア,ガーナ,ザンビア,ブルンジ,ベトナム,南スーダン)
    • 日本政府主催レセプション
    • 日仏外相昼食会
    • 会談・表敬(インドネシア,パキスタン,スイス,シンガポール,UNITAR)
    • 日本政府主催レセプション
    • 副大統領・副首相との夕食会(ガーナ,南スーダン,ラオス,トルコ,モンゴル,トンガ)
    15日
    • 首脳会談(タンザニア,ジンバブエ)
    • 国際機関の長等による合同表敬
    • 首脳会談(ミクロネシア)
    • 日・カンボジア首脳昼食会
    • 首脳会談(キリバス)
    • 会談(国連事務総長,WFP,ケニア,ネパール,マラウイ,ベトナム)
    • 国際機関の長等との昼食会
    • 閣僚級ラウンドテーブル「ポスト2015年防災枠組を支える国際協力」ステートメント
    • 外相会談(フィジー)
    • 仙台視察(展示・施設等)

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