アジア

令和4年5月23日

 5月23日、タイ・バンコクにおいて、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)第78回総会が開催され、我が国から、三宅伸吾外務大臣政務官が出席しました。概要は以下のとおりです。

1 三宅政務官のスピーチ(ポイント)(23日午後)

ESCAP総会において、スピーチを行う三宅外務大臣政務官
ESCAP総会において、スピーチを行う三宅外務大臣政務官
  • (1)冒頭、ロシアによるウクライナ侵略を厳しく非難しつつ、日本は、国際秩序の根幹を守り抜くため、引き続き、国際社会と結束して毅然と行動していく考えである旨述べました。
  • (2)次に、今次総会のテーマである持続可能な開発の促進に関し、2月にUNDPが発表した特別報告書に触れつつ、各国が「連帯」の精神をもって、人新世における人間の安全保障への新たな脅威に協調して対処することが重要であると述べました。また、その観点から、日本は、「誰一人取り残さない」という理念に基づき、将来のパンデミックへの予防・備え・対応を強化し、より強靭、より公平、より持続可能なユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進に取り組んでいることを紹介しました。
  • (3)さらに、人間の安全保障を脅かす深刻な課題として気候変動問題に言及し、日本が先進国全体での年間1000億ドルの資金目標の不足分を率先して補うため、昨年6月のG7サミットにおいて2021年から2025年までの5年間で官民合わせて600億ドル規模の支援、昨年11月のCOP26において同5年間で最大100億ドルの追加支援の用意があること、適応支援を倍増し、同5年間で約148億ドルの適応支援をそれぞれ表明したことに言及しました。
  • (4)また、防災の重要性を指摘しつつ、我が国の取組として、太平洋の島嶼国を対象とした津波に対する防災能力の強化やESCAPを通じた障害者包摂及びジェンダー平等に配慮した防災政策立案への支援の実施を紹介しました。
  • (5)最後に、日本は、SDGsが達成された、しなやかで強靱なポスト・コロナの時代へ向けて、ESCAPや地域の関係者と連携して引き続き関連の取組を進めていく考えである旨述べました。

 総会スピーチ(英文(PDF)別ウィンドウで開く仮訳(PDF)別ウィンドウで開く

2 日本・タイ・UNEP共催プラスチック汚染に関するイベント出席(23日午後)

閣僚級サイドイベントで挨拶を行う三宅外務大臣政務官
会場において、三宅外務大臣政務官の挨拶の映像が流されている様子
  • (1)三宅政務官は、日本とタイ及び国連環境計画(UNEP)共催の閣僚級サイドイベント「プラスチック汚染-プラスチック汚染をなくすための次のステップ」に出席しました。当イベントには、アジア太平洋地域の政府関係者、学術関係者、NGO、その他民間部門関係者が参加しました。
  • (2)三宅政務官は、同サイドイベントにおいて開会挨拶(英文(PDF)別ウィンドウで開く仮訳(PDF)別ウィンドウで開く)を行い、海洋環境等でのプラスチック汚染は、国境を越えて生態環境等に影響を及ぼすものであり、ESCAP各国が直面する緊急性の高い課題になっていることを指摘しました。その上で、我が国が2019年G20サミットにおいて、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を提唱し、着実な成果を上げてきている旨述べるとともに、本年後半から始まる新たなプラスチック汚染に関する条約の交渉に向け、我が国がESCAPや他機関と連携しながら積極的に貢献していく考えを表明しました。
  • (3)また、当プラスチック条約交渉に寄与するため、我が国は、政府間交渉委員会の共同議長の候補者として、小野洋(ひろし)・環境省地球環境局長をノミネートしていることを表明し、小野氏が「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」のとりまとめで大きな役割を果たした人物であることなどを紹介しました。

3 三宅政務官とアリシャバナESCAP事務局長との会談(23日午前)

三宅外務大臣政務官が、アリシャバナESCAP事務局長と意見交換を行っている様子
意見交換の前に、三宅外務大臣政務官とアリシャバナESCAP事務局長が、記念撮影を行っている様子
  • (1)三宅政務官から、本年のESCAP創立75周年への祝意を伝え、アジア太平洋地域におけるSDGsの達成に向け貢献していきたい旨述べるとともに、ウクライナ情勢に関し、ESCAPと連携して取り組みたい旨述べました。また、ESCAPにおける邦人職員の増強に向け理解と協力を求めました。
  • (2)アリシャバナ事務局長からは、これまでのESCAPに対する日本の協力に感謝の意が述べられるとともに、障害者包摂やジェンダー平等を始めとするアジア太平洋地域の開発課題解決に向け、日本との協力を促進していきたい旨の発言がありました。

4 三宅政務官と各国要人との会談

 三宅政務官は、今次総会の機会を捉え、以下のとおりバイ会談を行いました。

(1)トンパーン・サワンペット・ラオス外務副大臣との会談(23日午前)

会談を前に、三宅外務大臣政務官とトンパーン・サワンペット・ラオス外務副大臣が記念撮影を行う様子

 冒頭、三宅政務官から、本年3月の日ラオス首脳電話会談及び先月の日ラオス首脳会談の成果に言及し、日・ラオス戦略的パートナーシップの更なる強化に向けて協力していきたい旨述べました。また、来年の日ASEAN友好協力50周年特別首脳会議の機会にパンカム首相の再度の訪日を期待していると述べつつ、今後も両国の関係を深めていきたい旨述べました。
 これに対し、トンパーン・サワンペット外務副大臣からは、これまでの日本による交通インフラの整備等の支援に対し謝意が述べられると共に、4月の日ラオス首脳会談の成果を踏まえ、空と陸の連結性強化などを見据えて両国間の戦略的パートナーシップを強化していきたい旨の発言があり、引き続き協力していくことを互いに確認しました。
 この他、ウクライナ情勢、南シナ海や北朝鮮情勢を含む地域・国際情勢等についても意見交換を行いました。

(2)アブドッラ・シャヒード・モルディブ外務大臣(第76回国連総会議長)との会談(23日午後)

会談を前に、記念撮影を行う三宅外務大臣政務官と、アブドッラ・シャヒード・モルディブ外務大臣

 冒頭、三宅政務官から、本年は日・モルディブ外交関係樹立55周年であることに触れつつ、アブドッラ・シャヒード外務大臣が第76回国連総会議長として、国際社会が直面する諸課題の解決に向けて指導力を発揮されてきたことを高く評価しており、節目の本年、両国の友好関係が一層発展することを期待している旨述べました。
 アブドッラ・シャヒード外務大臣より、これまでの新型コロナウイルス感染症対策等における日本の支援に謝意が述べられるとともに、日・モルディブ外交関係樹立55周年を契機に両国の友好関係をさらに深め、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日本と引き続き連携していきたい旨の発言がありました。

5 その他

 このほか、バンコク在住の国際機関邦人職員5名との間で、邦人職員増強に向けた取組等について意見交換を行いました。


アジアへ戻る