地球環境

令和6年9月27日

 現地時間9月25日午前8時(日本時間同日午後9時)から約90分間、ニューヨークで開催中の国連総会ハイレベルウィークの機会に「持続可能な海洋経済の構築に向けたハイレベル・パネル」第6回会合が開催され、我が国から本パネルのメンバーである岸田総理大臣の代理として、中村和彦地球規模課題審議官が参加したところ、概要は以下のとおりです。

  1. 冒頭、今次会合の共同議長を務めたヨナス・ガール・ストーレ・ノルウェー王国首相( H.E. Mr. Jonas Gahr STØRE, Prime Minister of the Kingdom of Norway)及びスランゲル・S・ウィップス・ジュニア・パラオ共和国大統領(H.E. Mr. Surangel S. WHIPPS, Jr., President of the Republic of Palau)から、開会の挨拶と今後の本パネルの活動に関する展望が述べられたほか、「海洋パネル首脳コミュニケ2024」と題する首脳文書の発表及び2020年に発出された「持続可能な海洋経済のための変革」と題する首脳文書に関する進捗報告がなされました。また、新たに本パネルにアラブ首長国連邦(UAE)が参加することが発表されました。
  2. その後の議論の場では、2025年6月に開催される第3回国連海洋会議(UNOC3)、そして2025年以降の持続可能な海洋経済の実現に向けて、海洋パネルはどのように貢献できるかについて、本パネルのメンバー各国の首脳等による意見交換が行われました。
  3. 今次会合の機会に、我が国からは、岸田総理による概要以下のメッセージを発信しました。
    (1)UNOC3については、同会議の共同議長国であるフランス及びコスタリカのリーダーシップを支持し、海洋国家である日本としても、積極的に参加する意向である。日本からもベストプラクティスを紹介することで、他国が「日本モデル」を応用して海洋管理の改善につなげられるよう貢献したい。
    (2)日本は「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の提唱国として、プラスチック汚染を終わらせるための具体的な行動をとってきている。UNOC3では、海洋環境に関する様々な国際約束の交渉や実施の気運を高めることも、期待される成果の一つであり、現在交渉中のプラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書についても、多くの国が参加する効果的かつ進歩的な条約を実現するために、引き続き積極的に交渉に関与していく。
    (3)ブルーカーボンは、2025年以降の海洋パネルが貢献できる分野の一例。日本はブルーカーボン生態系の一部による吸収量を算定し、温室効果ガスインベントリに反映させ、気候変動枠組条約事務局に提出しており、このうち本年4月に報告した海藻藻場については世界で初めての報告となった。海洋パネルが、今後も有意義な協力の場であり続けることを期待する。
  4. また、ピーター・トムソン国連海洋特使 (Mr. Peter Thomson, UN Secretary-General’s Special Envoy for the Ocean)からは、科学的知見に基づいた報告書も作成している本パネルは、海洋分野の取組を議論する場として、独自の重要な役割を果たしており、UNOC3に向けても引き続き活躍することを強く望む旨の発言がありました。
(参考1)持続可能な海洋経済の構築に向けたハイレベル・パネル
  1. ノルウェーが立ち上げを主導し、以下の19の海洋国家の首脳で構成:ノルウェー、パラオ、日本、豪州、カナダ、チリ、フィジー、フランス、ガーナ、インドネシア、ジャマイカ、ケニア、メキシコ、ナミビア、ポルトガル、アラブ首長国連邦(UAE)、セーシェル、英国、米国
  2. 持続可能な開発目標(SDGs)の実現への貢献を目的とし、健全な海洋環境保全や持続可能な海洋経済の構築等に向けた方策を議論。
  3. 2018年以来、年1回程度パネル会合を行っており、これまで安倍総理大臣(当時)、菅総理大臣(当時)及び岸田総理大臣がメンバーに就任してきた。2020年12月には、「持続可能な海洋経済のための変革」と題する首脳文書を発出。

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