ODAと地球規模の課題

平成26年7月4日

1 日程

 6月23日(月曜日)から27日(金曜日)まで、ナイロビ(ケニア)において国連環境計画(UNEP)第1回国連環境総会(UNEA)が開催され、157か国の代表及び国際機関,ステークホルダー・メジャーグループ等が出席した。我が国からは北川知克環境副大臣,谷津龍太郎環境事務次官他が出席した。

2 会議の概要

 オヨーン・サンジャスレン・モンゴル自然環境・グリーン開発大臣が議長に選出され,持続可能な開発目標(SDGs)及びポスト2015年開発アジェンダ,持続可能な消費と生産(SCP)、野生動植物の違法取引についてハイレベルセグメントにおいて政策的な議論が,UNEP事業計画・予算,化学物質と廃棄物の適正管理,新たな喫緊の環境課題への対応やUNEAへの市民社会の更なる参加に関して事務レベルで行われた全体会合において技術的な議論が行われた。

 その内容はそれぞれ成果文書や決議として発表された。また,国連持続可能な開発会議(リオ+20)の成果文書「我々の望む未来」の実現に向け,UNEPの国連システム内での調整機能の強化,科学と政策のインターフェース等に関する決議が採択された。

(1)ハイレベルセグメント成果文書

 ハイレベルセグメントでは,リオ+20成果文書を踏まえUNEPとしてSDGsの環境的側面への有益なインプットを行うことを念頭に,SDGs及びポスト2015年開発アジェンダとSCP,並びに野生動植物の違法取引について議論が行われた。
 その成果文書では,リオ+20成果文書及び全てのリオ原則の完全なる実施の重要性が確認されるとともに,(ア)野心的,普遍的かつ実現可能なポスト2015年開発アジェンダを策定すること並びに同アジェンダは持続可能な開発の経済的・社会的・環境的側面の全てを包摂すること,(イ)SCP及び野生動植物の違法取引対策への一層の取組,(ウ)気候変動,生物多様性,小島嶼開発途上国支援等の重要性について国際社会に呼びかけている。
 北川環境副大臣からは,低炭素・循環型・自然共生社会の構築,SCPなどの具体的な取組とフォローアップの重要性,野生動植物の違法取引等に関し,発言がなされた。

(2)適正な化学物質・廃棄物管理の促進

 化学物質及び廃棄物分野の資金調達のための統合的アプローチについては,特別プログラムのToRが採択され,UNEP事務局長に対し同プログラムに関する信託基金の設置とその事務局機能の提供が要請された。

(3)新たな喫緊の環境課題への対応

 今次UNEAでは新たに生態系ベースの気候変動適応,大気汚染,海洋プラスチック廃棄物及び微小プラスチック,GEMS/WATER淡水監視システム等に関する対応の必要性が加盟国から提案され,決議が採択された。

(4)UNEAへの市民社会の更なる参加

 リオ+20の成果を受けステークホルダー・メジャーグループとの対話を一層促進するため,その参加の透明性を高めるための仕組みづくりについてコンタクト・グループが設置され議論が行われた。同グループは今後も引き続き検討を進めることについて合意した。

(5)その他

 有害廃棄物の越境移動及び管理のコントロールと対アフリカ輸入を禁止するバマコ条約はその第1回締約国会議決定,カスピ海海洋環境保護に関するテヘラン条約はその第5回締約国会議決定,及び汎欧州生物多様性プラットフォームは第6回欧州生物多様性会議成果文書を受け,UNEPがそれぞれの事務局機能を提供することが決定された。
 また,GEFの第5回評議会・総会において行われたGEF設立憲章の改正(”the Instrument for the Establishment of the Restructured Global Environment Facility”)について了承された。

3 評価

 国連環境総会により全国連加盟国から閣僚級の参加可能な環境に関する国際的議論のプラットフォームが実現し,上記2(1)をはじめリオ+20成果の実現に向けたハイレベルによる議論の第一歩となった。ハイレベルセグメントの議論の成果は今後,国連総会,国連経済社会理事会(ECOSOC),ハイレベル・ポリティカルフォーラム(HLPF)へとインプットされ,リオ+20で明記されたようにUNEPが世界の主導的環境機関(the leading global environmental authority)としての役割を果たしていくことが期待される。

 また,生態系ベースの気候変動適応,大気汚染,海洋プラスチック廃棄物等,新たな環境状況に対応するための決議の採択により,UNEPとしての具体的な環境課題への取組も引き続き進展を見せた。

 我が国としても,水俣条約の採択を受けた世界の水銀対策や持続可能な消費と生産10年枠組(SCP/10YFP)など,UNEPの主要な活動分野において,国内に所在するUNEP機関である国際環境技術センター(IETC)等を含む関連組織と連携し,引き続き貢献していく。


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