地球環境

平成30年11月27日

 11月19日から11月23日にかけて,ジュネーブ(スイス)において,水銀に関する水俣条約の第2回締約国会議(COP2)が開催されたところ,概要は以下のとおりです。

1 全体概要

 本会合は,昨年9月の第1回締約国会議(COP1)の結果を元に,条約実施に係る詳細ルールや事務局の組織体制等の運営に関する事項に対する議論を促進するため,隔年開催を原則とする締約国会議の中間年に事務レベル会合として開催されたものです。また,水俣条約事務局が新たな国連機関として正式に発足して初めての会合になります。
 会合には140を超える国と地域や,関連の国際機関や市民社会団体等から,約900名が参加し,我が国からは外務省,経済産業省,環境省等からなる代表団が参加しました。

2 主な会議の結果

 本会合では,水俣条約の規定に基づき,締約国会議で決定すべき事項に関する議題が協議されました。なお,我が国は条約の運営を主導するビューロー会合(理事会に相当)のアジア・太平洋地域の代表として,ヨルダンとともに会合の円滑な実施に貢献しました。主な会議の結果は以下のとおりです。

(1)条約の運営に係る事項

ア 事務局の体制

 水俣条約事務局はジュネーブ(スイス)に置くこと,及び廃棄物・化学物質3条約(バーゼル条約,ロッテルダム条約,ストックホルム条約)事務局等との協力・調整の下,独立の事務局として運営されることが決まりました。

イ 地球環境ファシリティ(GEF)及び能力形成及び技術援助を支援する特定の国際的な計画(SIP)のレビュー

 地球環境ファシリティ(GEF)及び能力形成及び技術援助を支援する特定の国際的な計画(SIP)に関し,条約の規定に基づきレビューを進めることで合意しました。また,SIPについては,手続き規則及びプロジェクト審査のガイダンスが作成され,最初のプロジェクトが承認されたことが報告されました。

ウ 予算

 COP1で決定された2018年及び2019年の水俣条約事務局予算を再確認し,2019年の支出見込み比べて不足する分については,2018年からの持ち越し予算を充当することが決まりました。また,各締約国の拠出額については,2019年当初時点での締約国で分担するよう再配分することが決まりました。

(2)水銀規制に関する技術的事項

 我が国は,欧州連合や米国と共同で3つの決議案を提出するなど,水銀の規制に係る国際的なルール作りに積極的に貢献しました。COP2では,水銀の環境上適正な暫定的保管に関する指針,水銀によって汚染された場所の管理の手引き作成のロードマップ等が採択され,水銀廃棄物の範囲及び分類の具体的基準や条約の有効性評価の枠組みにおいて必要となる評価指標等の設定について引き続き議論を進めていくことを決定しました。

(3)関連イベント

 我が国は,会合期間中,日本の水銀対策や分析技術や,水俣市や水俣高校等と連携した情報発信に関する展示を行いました。また,水俣市関係者からのCOP2に向けたメッセージの放映等を行ったほか,世界水銀パートナーシップ,水銀モニタリング,野外焼却からの水銀排出のイベント等に参加し,日本の水銀対策に関する最先端の取組等を紹介しました。
 また,COP2に先立つ11月18日(日)に開催された世界水銀パートナーシップ第9回アドバイザリ会合において,我が国がリードする水銀廃棄物分野の進捗報告を行いました。

(4)次回締約国会議の予定

 次回の第3回締約国会議(COP3)は,2019年11月にジュネーブ(スイス)にて開催することを決定しました。

3 評価

 今次会合では,水銀に関する水俣条約の初年度の活動状況と今後の課題が確認されるとともに,事務局の体制や水銀の規制に必要な各種の技術的事項の詳細について検討が進められました。今後は,廃棄物・化学物質3条約(バーゼル条約,ロッテルダム条約,ストックホルム条約)事務局等との緊密な連携の下,より実効的で効率的な水銀の規制が進むことが期待されます。


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