その他の地球規模課題トピックス
持続可能な海洋経済の構築に向けたハイレベル・パネル第1回会合
平成30年9月24日
本9月24日(月曜日)17時30分(日本時間4時30分)から約2時間,ニューヨーク近代美術館で「持続可能な海洋経済に関するハイレベル・パネル」第1回会合が開催されたところ,同会合の概要,及び同会合に寄せた安倍晋三内閣総理大臣のメッセージ(代読:鈴木外務省国際協力局地球規模課題審議官)の概要は以下のとおりです。
- 冒頭,共同議長を務めるソールベルグ・ノルウェー首相及びレメンゲサウ・パラオ大統領より開会の挨拶が行われた後,出席した各国首脳(注)及びトムソン国連海洋特使が,持続可能な海洋経済に関するそれぞれの見解を述べました。
- 安倍総理はそのメッセージの中で,ソールベルグ首相が主導した本パネルのイニシアティブは,ゴール14をはじめとする持続可能な開発目標(SDGs)の達成に寄与するものであるとして高く評価した上で,本パネルでの議論に際し,海洋における法の支配の徹底と,科学的根拠に基づく海洋の保全と利用の調和を重視すべきである旨を指摘しました。その上で,本パネルで取り扱うべき課題として,以下の3点を挙げました。
(1)1点目の,海洋プラスチックごみ問題については,海洋プラスチックごみ対策は待ったなしであり,全ての国が,一人一人が,自分自身の問題として行動を起こす時であるところ,本パネルでも対応につき議論を深めたい旨指摘した上で,日本の知見・技術を活用して,この問題に関し国際社会に貢献していく旨述べました。また,この問題をG20大阪サミットでも取り上げ,大阪サミットで,この問題に世界全体でとり組むための実効性のある対策のイニシアティブを打ち出し,日本がこの問題への国際的対策を主導したい旨述べました。
(2)2点目は,気候変動が海洋にもたらす影響への対応であり,気候変動の海洋への影響を指摘した上で,本パネルにおいて,気候変動に脆弱な小島嶼開発途上国支援のあり方も含め,本件につき議論する必要がある旨指摘しました。
(3)3点目は,持続可能な漁業のための取組であり,IUU(違法・無報告・無規制)漁業は海洋生物資源の持続可能な利用に対する脅威である旨述べ,本パネルでも,IUU漁業への対応を議論したいと述べました。
(注)ノルウェー及びパラオに加え,本ハイレベル・パネルのメンバーであるフィジー,ガーナ,ジャマイカ,メキシコ,ナミビアの首脳が出席。
【参考】持続可能な海洋経済の構築に向けたハイレベル・パネル
(1)ノルウェーが立ち上げを主導し,安倍総理を含む以下の海洋国家の首脳で構成;
ノルウェー(ソールベルグ首相),パラオ(レメンゲサウ大統領),日本(安倍総理),インドネシア(ジョコ大統領),ポルトガル(コスタ首相),
メキシコ(ペニャ・ニエト大統領),ジャマイカ(ホルネス首相),ガーナ(アクフォ=アド大統領),ナミビア(ガインゴブ大統領),フィジー(バイニマラマ首相),
チリ(ピニェラ大統領),豪州(前首相がパネル・メンバー。政権交代により,現首相がパネル・メンバーとなるか現時点では不明)。
(2)持続可能な開発目標(SDGs)の実現への貢献を目的とし,健全な海洋環境保全や持続可能な海洋経済の構築等に向けた方策を議論する。
(3)2018年から2020年まで,国連総会のマージン等で年1回程度パネル会合を行い,パネルの議論の成果物として,最終報告書を作成。
(4)最終報告書は,SDGsの中でも海洋の保全・持続可能な利用に関する目標14の実施に関し議論する,2020年の「国連海洋会議」で発表予定。