ODAと地球規模の課題
ベトナム社会主義共和国に対する円借款1件及び無償資金協力2件に関する書簡の交換について
(ベトナムにおける「交通渋滞及び大気汚染の緩和」、「医療サービスの質向上」、「人材育成」に貢献)



12月16日、日ASEAN特別首脳会議の機会に行われた日・ベトナム首脳会談において、岸田文雄内閣総理大臣及びファム・ミン・チン・ベトナム社会主義共和国首相(H.E. Mr. Pham Minh Chinh, Prime Minister of the Socialist Republic of Viet Nam)立ち会いの下、山田滝雄駐ベトナム社会主義共和国日本国特命全権大使とレ・タン・カン・ベトナム社会主義共和国財政副大臣(Mr. Le Tan Can, Deputy Minister of Finance of the Socialist Republic of Viet Nam)、ダオ・ホン・ラン・ベトナム社会主義共和国保健大臣(H.E.Ms.Dao Hong Lan, Minister of Health of the Socialist Republic of Viet Nam)及びグエン・キム・ソン ・ベトナム社会主義共和国教育訓練大臣(H.E. Mr. Nguyen Kim Son, Minister of Education and Training of the Socialist Republic of Viet Nam)との間で、412億2,370万円を限度とする円借款(注1)1件及び総額25億1,500万円を限度とする無償資金協力2件に関する書簡の交換が行われました。
(注1)円借款:開発途上国に対してインフラ等の整備や財政上必要な資金を緩やかな条件(低い金利や長い返済期間)で貸し付ける協力。開発途上国にとっては、日本への返済を前提とした資金なので、効果的な活用や自立的発展に繋がることが期待される。また、本件には「本邦技術活用条件(STEP)」(注2)が適用され、車輛や信号・通信システムに、日本の技術が活用される予定です。
(注2)STEP:本邦技術活用条件(STEP)は、我が国の優れた技術やノウハウを活用し、開発途上国への技術移転を通じて我が国の「顔が見える援助」を促進するため、平成14年(2002年)7月に導入されたもの。
1 円借款「ホーチミン市都市鉄道建設計画(ベンタイン-スオイティエン間(1号線))(第四期)」(供与限度額412億2,370万円)
- 本計画は、ベトナム最大の都市であるホーチミン市において、都市鉄道及びその関連施設の整備を行うもので、ホーチミン都市圏の交通渋滞及び大気汚染の緩和を図り、もって地域経済の発展及び都市環境の改善を通じた成長と競争力強化に寄与するものです。
- 供与条件は以下のとおりです。
- 金利:年0.1%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
- 償還期間:40年(10年の据置期間を含む。)
- 調達条件:日本タイド
2 無償資金協力
- 国立がん病院における医療機材整備計画(供与限度額18億3,000万円)
本計画は、ハノイ市にある、国内最大のがん病院である国立がん病院において、医療機材整備を行うもので、診断体制の強化及びアクセスの改善を図り、もって同病院及び北部・中部地域における医療サービスの質向上を通じた、ベトナムの保健医療における脆弱性への対応に寄与するものです。 - 人材育成奨学計画(供与限度額6億8,500万円)
本計画は、ベトナム政府の中枢において活躍することが期待される若手行政官等が、本邦大学院において学位(修士・博士)を取得することを支援するもので、同国の開発課題の解決に貢献するとともに、人的ネットワーク構築を通じた二国間関係の強化に寄与するものです。
ベトナム社会主義共和国は、面積32万9,241平方キロメートル(九州を除いた日本の面積とほぼ同じ)、人口約9,946万人(2022年、越統計総局)、一人当たりの国民総所得(GNI)は4,010米ドル(2022年、世界銀行)。