経済

WTOサービス・12月クラスター会合(12月5日~6日)の概要

平成24年12月14日

  1. 各種定例会合において,サービスの分類問題や国内規制等に関する技術的な内容を議論。サービス貿易理事会においては,通報制度や電子商取引に関するワークショップ開催等について意見交換。
  2. サービス貿易の更なる自由化に関し,我が国を含む有志国を中心に新たな協定の策定に向けた議論を継続。今後,各国で必要な国内手続を経た後,来年早期に交渉を開始することで有志国の意見が一致。

1.概要

 12月5日から6日まで,ジュネーブにおいてWTOサービス・クラスター会合(注1)が開催。昨年12月のWTO第8回閣僚会議を踏まえ,サービス貿易の更なる自由化をどのように進めていくか,各国本国政府から多くの参加者が集まり議論。また,クラスター会合に先立ち,サービス貿易新協定に関する有志国会合(3日及び4日。5日は大使級会合)が開催された。

 (注1)WTOサービス交渉は,関連する各種会合を一時期(1~2週間)にまとめて実施しており,これら一連の会合を併せて「サービス・クラスター会合」と称している。)

2.各種定例会合

(1)サービス貿易理事会

  • サービス貿易理事会下部機関(以下(2)~(5))の年次報告書案,及び本理事会年次報告書案が提示され,全て採択。
  • GATSの通報制度に関して議論。各国からは,透明性を確保する上で,通報は重要な制度であり,引き続き議論したいとの意見が出された。
  • 米国から電子商取引に関するワークショップ開催に向けた提案がなされ,開催に向けた議論を継続することで合意。
  • 豪州から,サービス新協定の目的や検討状況について報告があり,本取組に関心を有するWTOメンバーと議論したい旨強調した。これに対して,一部の新興国・途上国などからは,ドーハ・ラウンド交渉全体に悪影響を及ぼすとして引き続き懸念が表明された。

(2)金融サービス委員会

  • 金融サービス貿易における最近の進展につき,マクロプルデンシャル規制(注:投資者,預金者等を保護し又は金融体系の健全性や安全性を確保するための規制)に関して意見交換するにあたり,GATSルールに法的解釈を加えないことを確認。次回会合にて各国の経験等の議論を行う予定。
  • 「金融サービス貿易と開発」では,今後の議論のテーマ(LDCの経験,マイクロファイナンス,金融自由化が開発に与える影響等)について検討。
  • 第5議定書未批准国の進捗に関する報告及び,分類問題の今後の進め方について議論。

(3)特定約束委員会

  • 分類問題では,流通サービス及び郵便・クーリエサービスの議論を終了。新たに法律サービスについての議論を開始。
  • GATS第21条(約束表の修正)の運用について,事務局が事実関係を整理したペーパーに基づき議論。
  • 次回会合では,法律サービスにつき引き続き議論するとともに,運送サービスに関する分類問題が取り上げられる予定。

(4)国内規制作業部会

  • 国内規制に関連した技術的議論を継続。我が国を含む複数の加盟国から,資格の認証及び評価,資格の不備の識別,試験制度などに関する自国の国内規制措置を紹介。
  • これまでの分野横断的な規律の議論に加えて,来年のクラスター会合において,分野・モード別規律の議論をどのように進めるか検討。議長が計画案を提示し,各国が議論。

(5)GATSルール作業部会(非公式会合)

  • 緊急セーフガード措置,政府調達,補助金について,将来の議論のありかたについて検討。

3.サービス貿易新協定に関する有志国会合

 我が国を含む有志国(注2)が中心となり,新たな協定の策定に向けた議論を継続。今後,各国で必要な国内手続を経た後,来年早期に交渉を開始することで有志国の意見が一致。また,各国が交渉で扱いたい規律や来年の交渉プロセス(日程や課題など)についても議論。

 (注2)計21メンバー。日,米,EU,豪州,カナダ,韓国,香港,台湾,パキスタン,イスラエル,トルコ,メキシコ,チリ,コロンビア,ペルー,コスタリカ,パナマ,NZ,ノルウェー,スイス及びアイスランド(なお,アイスランドは今回初参加)。

4.次回クラスター会合

 3月18日の週に開催予定。
 サービス貿易交渉の最新情報や詳細については,以下の外務省ホームページを御参照ください。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/wto/service/index.html

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