経済

WTOサービス・10月クラスター会合(10月1日~5日)の概要

平成24年10月11日

  1. 各種定例会合において,サービスの分類問題や国内規制等に関する技術的な内容を議論。サービス貿易理事会においては,国際携帯ローミングや電子商取引に関する今後の取り組み等について意見交換。
  2. サービス貿易の更なる自由化に関し,我が国を含む有志国を中心に新たな協定の策定に向けた議論が続けられてきた。10月クラスター会合中も,協定の構成・構造,多国間化の方法,ルールなどに関する詳細な議論及び今後のステップについて専門家及び大使級で議論。

1.概要

 10月1日から5日まで,ジュネーブにおいてWTOサービス・クラスター会合(注1)が開催。昨年12月のWTO第8回閣僚会議を踏まえ,サービス貿易の更なる自由化をどのように進めていくか,各国首都から多くの参加者が集まり議論。

(注1)WTOサービス交渉は,関連する各種会合を一時期(1~2週間)にまとめて実施しており,これら一連の会合を併せて「サービス・クラスター会合」と称している。)

2.各種定例会合

(1)サービス貿易理事会

  • 国際携帯ローミング,電子商取引について最新の動向を議論。
  • 豪州から,サービス新協定に関する有志国会合の議論の現状が報告され,全てのWTO加盟国に開かれた取組であり多国間化を重視している旨強調。

(2)金融サービス委員会

  • ジャマイカよりGATSの第5議定書(:ウルグアイ・ラウンドにおける自由化約束に法的拘束力を持たせるためのもの)に関する国内手続き完了の報告。
  • 金融サービス貿易における最近の進展に関し,マクロプルデンシャル規制
    :投資者,預金者等を保護し又は金融体系の健全性や安定性を確保するための規制)を議論。多くの国から各国のプルデンシャル規制に関する経験を共有することについて賛同を得たが,今後の議論のあり方の詳細については継続審議に。
  • W/120や金融附属書における分類の相違点に関する研究や金融サービス貿易と開発に関するワークショップ(6月会合で開催)に関し議論。

(3)特定約束委員会

  • 事務局より,BPM6(:最新のIMF国際収支マニュアル。2008年12月公表。)に関するプレゼンテーションあり。同マニュアルはIMFのホームページ(他のサイトヘ)で参照可。
  • 分類問題では,エネルギーサービス及び気候関連サービスの議論を終了。新たに,流通サービスにおけるフランチャイズの扱いや,サービス提供者が政府か民間かによって郵便・クーリエサービスを分類することの妥当性等につき議論。
  • 次回会合では,流通サービス,郵便・クーリエサービスにつき引き続き議論するとともに,法律サービスに関する分類問題が取り上げられる予定。

(4)国内規制作業部会

  • 我が国を含む複数の加盟国から,資格・免許申請,手数料などに関する自国の国内規制措置を紹介。
  • 将来の議論のありかた(分野横断的な規律に加えて,分野・モード別規律の作成及び技術基準に関する議論を対象とするか否か)について検討。

(5)GATSルール作業部会

  • 緊急セーフガード措置を重視するASEANが,従来の見解を纏めた文書を発出。
  • 補助金,政府調達に関しては特段の提案は行われず。

3.サービス貿易新協定に関する有志国会合

  • 我が国を含む有志国(注2)が中心となり,新たな協定の策定に向けた議論が続けられてきている。今次クラスター会合開催期間中も,協定の構成・構造,多国間化の方法,ルールなどに関する詳細な議論及び今後のステップにつき有意義な議論が行われ,「大きな進展があった」との認識を共有。
    (注2)計20メンバー。日,米,EU,豪州,カナダ,NZ,メキシコ,チリ,コロンビア,韓国,香港,台湾,ノルウェー,スイス,パキスタン,ペルー,コスタリカ,イスラエル,トルコ,パナマ(なお,パナマは初参加。)。

4.フレンズ会合(推進派会合)

  1. (1)海運サービス:我が国議長の下,推進派の会合(フレンズ会合)を開催。フレンズメンバーの既存のFTA・EPAに関する調査結果を報告し,分析データの精緻化やフレンズ国増加の可能性等について議論。
  2. (2)ICTサービス:米国主導で開催。モバイル・アプリケーション,電子商取引,米EU・ICT通商原則などについて議論。

5.次回クラスター会合

 12月1日の週に開催予定。
 サービス貿易交渉の最新情報や詳細については,以下の外務省ホームページをご参照ください。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/wto/service/index.html

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