経済

2011年対日貿易政策検討会合

平成23年2月17日

概要と評価

 2月15日及び17日の2日間,WTOにおいて我が国の貿易政策をレビューする対日貿易政策検討(TPR)会合が開催されたところ,概要及びとりあえずの評価は以下のとおり(香川外務省経済局審議官が我が国代表団長として出席)。

(参考)TPR会合: WTOでは,WTO協定に基づき,加盟国の貿易政策・慣行につき透明性を確保し,理解を深める観点から,加盟国の貿易政策等について定期的に質疑応答を行う貿易審査会合を行っている。我が国の審査は,ほぼ2年に1度実施(前回は2009年2月)されており,今回が10回目。

1 概要

 会合1日目,我が国より概要以下のとおりのステートメントを行い,米国,EU,中国,その他計29ヵ国・地域が発言。会合二日目には,事前の書面質問に対し,各国より更なる質問が寄せられた。

(1)我が国代表団ステートメントのポイント
  1. (ア)我が国は,保護主義の抑止及びWTOの下での多角的貿易体制の維持・強化を重視ドーハ・ラウンド交渉妥結に向けて引き続き積極的に交渉に参加
  2. (イ)「国を開く」方針に基づき「包括的経済連携に関する基本方針」を策定。豪州,韓国,EU等との経済連携や,日中韓FTA共同研究に積極的に取り組む。
  3. (ウ)開国を成長と雇用につなげる「新成長戦略」を実践。財政健全化,規制改革にも取り組む。
  4. (エ)農業改革に関し,商工業との連携や農地集約を通じた農業の転換を図る。「食と農林漁業の再生実現会議」を設置。
  5. (オ)世界経済の回復に向けたODAを増額。「貿易のための援助(AfT)」を重視。「開発イニシャティブ2009」を発表。
(2)各加盟国からの主な発言
  1. (ア)金融危機にも関わらず,我が国が新たな保護主義的措置を採っていないことを評価。「国を開く」との方針を評価,今後の改革に期待。
  2. (イ)(TPP交渉国より)我が国のTPP交渉参加への検討を歓迎
  3. (ウ)構造改革の遅れや,公的負債の増大を懸念。サービスセクターの低い生産性を改善する必要。対内直接投資が低水準。
  4. (エ)農業の国境措置(高関税,関税割当,非従価税等)及び国内支持の規模への懸念。
  5. (オ)衛生・検疫(SPS)関連措置の基準が国際的な基準から見て必要以上に厳格。牛肉輸入解禁に向け早急に対処すべき。
  6. (カ)外国企業の受注率の低さ等政府調達制度における諸問題の指摘。各種補助金への懸念(注)

    (注)ブラジルから,三菱リージョナルジェットへの支援が不透明であるとの懸念が表明され,これに対し我が国からは,必要な情報はWTO補助金委員会に適切に通報を行っており,透明性は確保されている旨回答を行った。

2 とりあえずの評価

  1. (1)本件会合に際して各国から書面で提出された質問は過去最多の約730問にのぼり,我が国の経済・貿易政策に対する各国の関心の高さが伺えた。
  2. (2)各国からは,我が国の政策に関し,「国を開く」との方針の下,高いレベルの貿易の自由化,対内直接投資の増加,規制改革の推進が図られることへの期待が表明された。また,一村一品運動への評価のほか,対アフリカ支援など途上国への支援を歓迎する旨が示された。
  3. (3)農産品の高関税等の国境措置や,SPS措置,政府調達といった分野では厳しい指摘もなされたが,我が国からは,各種改革への取組を含め,我が国の政策に関して説明を行い,各国の理解を深めたことは有意義。

報告書

 我が国の経済・貿易政策全般についてWTO事務局より事前に発出された報告書

ステートメント


Adobe Acrobat Readerダウンロード Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAcrobat Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータに対応したソフトウェアを入手してください。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る